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「くそっ、あの女め……」
中島は、日本の腕で体を引きずりながら道路を這っていた。
下半身を吹き飛ばされてもなお、彼は磯野カツオへの憎しみだけで
生き続けたのだ。
「まったく、この僕をこんな目に遭わせた代償は体で払ってもらわないとな。
そりゃもう色んなイミでね、ぐふふふふふふ」
自らの殺すリストにもう一人の名を加えて、少年は道に血の跡を残しながら進んでいく。
その行く先には、救いがあるのだろうか。

ふと見上げると、道の真ん中に眼鏡をかけた中年の男が立っていた。
いかにもしょぼくれてうだつの上がらなさそうな風貌である。カモだな、と思った。
「おじさん、僕、いきなり怖いお姉さんに襲われて……助けて下さい」
「おやおや、大変だねえ」
眼鏡の中年男は目を剥いて彼に駆け寄る。
大して使えそうも無い男だし、ちょっと利用して頃合いを見て殺せばいいか。
そう考えていた中島に告げられたのは、思ってもいなかった言葉だった。

「じゃあ、今すぐ楽にしてあげるからね」

そして、中年男はポケットから千枚通しを取り出して、それで中島の右目を突いた。
「ぎゃあああああああああ!! な、何を……」
「あ、ついでにこっちも潰してあげるね」
男が再び千枚通しを振り下ろすと、中島の視力は失われた。
「ぐ、ぐああああああああ!! 」
「ああ、ごめんごめん。逆に苦しめちゃったね。じゃあ次こそ、ちゃんと殺してあげるからね」
中年男は穏やかな微笑を顔に貼り付けたままで、三回目の刺突を中島に食らわせた。
今度は右胸に、中島がこれまでの生涯で味わったことの無い痛みが走った。
もはや悲鳴すらも出ない。ただ、獣のように喚きながら血を撒き散らした。
「あちゃー。失敗しちゃったよ。普通、心臓があるのって左胸だよね。
よし、今度こそ大丈夫だからね。いくよっ」
男は相変わらずの、感情の読み取れない口調で言った。

(ああ、磯野。お前を殺そうなんて思っていたから、ばちが当たったのかな?
こんな、最初から君を殺すために近付いた僕のことを、友達だと言ってくれて、ありがとう。
なあ、もし僕が生まれ変わって、また君に会えたら、また、友達になってくれるかなあ?
おーい。い、そ、のぉ……)

ついに事切れた中島の前で、眼鏡の中年男―――岡崎直幸は、疲れたようにため息をついた。
「やれやれ、また必要以上に苦しめちゃったよ。もっとうまく殺さないと、朋也くんに叱られちゃうよ」
直幸は、たまたま仕事の都合で来ていた神奈川でバトルロワイヤル開始の放送を聞いた。
彼の仕事の仲間は、その日のうちにみな死んだ。
何年も男で一つで息子を育て、一途に一人息子のことだけを考えていた彼は、自分が取るべき行動として
『息子夫婦を生かすために、他の参加者を殺す』
ということしか思いつかなかった。
「朋也くんと渚さん、まだ無事だといいんだけどなあ。早く帰らないと。
きっと二人ともまじめだから、人殺しなんか出来ないだろうしなあ。かわりに私がやってあげないと」
息子夫婦とは、決して円満な関係ではない。むしろ、息子との父子関係は何年も前から冷え切っていた。
それでも、彼にとっては息子の朋也だけが自分の生きる理由だった。
「ああ、そうだ。この子の頭も持って行こう。朋也くんに、いいお土産になる」
直幸はそう呟くと、中島の首をバッグから出した鎌で切り取った。
「人間の骨でだしを取ったラーメンは美味しいっていうからなあ。
朋也くんたち、きっと喜ぶぞ」
バッグの中には、すでに三人の人間の首が入っていた。直幸はそこに中島の首も詰め込んで、
満足そうに微笑んでバッグを閉じた。

「さて、早く帰ろう。この調子で、朋也くんと渚さんへのお土産が増えていくといいなあ。
ああ、早く……朋也くんに、会いたいな」
殺し合いという非日常は、誰よりも息子思いだった優しき父親を別のものへと変えた。

三日目 東京都世田谷区磯野家周辺 0時】

【岡崎直幸@CLANNAD】
[状態]:健康(やや被爆の可能性も)
[装備]:千枚通し

その他不明
[道具]:支給品一式
[思考]
1:息子夫婦の元へ帰る
2:息子夫婦を生かすために、他の出場者を少しでも殺す
3:できれば殺した人間の首を集めて、息子夫婦へのお土産にする

【中島@サザエさん 死亡確認】
【蟹沢きぬ@つよきす 死亡確認】
【柚原このみ@To Heart2 死亡確認】
【霧島佳乃@AIR 死亡確認】



最終更新:2007年01月03日 21:56