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ここはとある日本国内の主要都市なら何処にでもある雑居ビルのとある事務所の中。
そこに1人の烏天狗がせっせと記事を書いていた。
彼女は元々自分の住んでいた世界でも同じように新聞を書いていたが、何の因果か今此処に居る。
そこで彼女はここでも新聞を書いて情報をそろえ、皆が元の場所に帰る方法を探すことにしたのだった。
内容が聖杯戦争を煽るような内容になっていたのは御愛嬌だ。
今は、先程調査に行った臨時の助手の報告を待っているところだ。

「全く、遅いですね。何をしているのでしょうか……」

彼女に元々助手は居ない。彼女はカラスを使役する事が出来るが、今回のように人間と組むのは初めてだ。
何で助手を取ったかと言うと、突然違う世界に連れてこられたので、途方にくれていた時、その助手がこの空きビルを探し出してくれたからだ。
現在、助手の知り合いが来るまでの間、保護する代わりに新聞を書くのを手伝わせることにしたのだった。

すると、カチャリと事務所のドアが開いた。
どうやら助手のお帰りらしい。助手は全身真っ黒の服装で、黒縁眼鏡をかけた大人しそうな青年だった。
変わったところがあるとすれば、前髪が左目を隠すように伸びていて、その左目はナイフか何かで斬り付けられた跡があった。

「すみません文さん、遅くなりました!!」
「遅いです、黒桐さん!! 予定よりも20分遅れてます!! 何でこんなに遅れたんですか!?」
「言われたとおりに調べていたら調べている間にも次から次へと新しいサーヴァントが現れているようで、その人たちの調査をしていたんです。これが彼らの資料です。……今回も宝具までは調べられませんでした。」

文と呼ばれた烏天狗が助手から受け取った資料は13人分とは思えないほど分厚かった。
それには、今まで現れたサーヴァントの宝具以外で判明している情報が事細かに書いてあった。
……キャスターの欄は字が震えていたが。

「……それにしても良くここまで調べられますね。私でも13人の過去の動向までをたった6時間で調べろと言われても無理ですよ?」
「そうですか? でも、もう少し時間があったら宝具を調べられたかもしれなかったんですが……」

口惜しそうな表情を作る助手、黒桐幹也だったが、ここまでやれば十分なのは言うまでもない。

「まあ、良いでしょう。とりあえず、今度は貴方が仕入れてきた新しいマスターとサーヴァントの情報で組みましょう。」
「あの……僕は何かすることありますか?」
「そうですね……まずはお茶が欲しいです。」
「わかりました。すぐに準備しますね。」
「ああ、その前に1つだけ言いたい事があります。」

お茶を汲みにいこうとした幹也を引き止めて文は助手に詰め寄った。

「これからはちゃんと時間通りに帰ってきてください。今は特に外が物騒なんですから。」
「ありがとう。ちゃんと気をつけるよ。」

助手は軽く礼を言うと、お茶汲みに戻っていった。
そうして、文が執筆に掛かろうとした時、上から1枚の紙が落ちてきた。
その紙には、

『マスター』

と書かれていた。
それを見た瞬間、文の顔から血の気が引いた。
巻き込まれてしまった。その事実が重くのしかかってきた。

「文さん? 何か上から紙が落ちてきたんですけど、『探索者/サーチャー』ってどういうことですか?」
「……黒桐さん。落ち着いて聞いてください。14組目が現れました。此処に。」
「え?」
「いいですか、私の所にこの紙が落ちてきました。そして、気が付けば私の右腕に令呪が出ていました。そして貴方にはサーチャーと言うクラス名の紙が落ちてきたと言うわけです。」
「つまり、僕が文さんのサーヴァントって事ですか? そういえば、文さんから何かが流れてくるような感じがしますね。」
「……何でそんな緊張感が無いんですか……?」
「だって、実感沸きませんし。」

その言葉に、文は盛大な溜息を吐いた。

*  *  *  *  *  *  *  *  *  *  *  *  *  *


「で、これが貴方のクラス別スキルですか。ものの見事に戦闘じゃ役に立ちませんね。」
「はぁ、すみません。」
「でも、情報収集にはこれ以上なく良いスキルが揃っています。まずは、生き残ることを目標にして頑張りましょう。」
「そうですね。……でもこれからどうするんです?」
「まずは周囲の確認から始めましょう? この周囲には何がありますか?」
「この周囲にあるのは、古い商店街と此処みたいな雑居ビルが殆どです。
それから、この周囲にまだサーヴァントは居ませんが、これまでの経緯を考えると、此方を追ってくるとすればユダのサーヴァント明智光秀でしょう。
彼らは新聞が出回っているのを知って僕達の事を嗅ぎ回っているみたいです。」
「あやや……もう目を付けられているんですか……」
「後、此方のほうへ向かってきているサーヴァントも居ます。ブッチギルンジャー、南光太郎さんとそのマスター、南春香さんです。」

文は少し考えて、結論を出した。

「黒桐さん。此処はこのビルを出て、別の場所に拠点を移しましょう。」
「あ……はい、わかりました。」
「それじゃあ、私は準備をしてきますので失礼します。」

事務所の玄関先には幹也が1人残された。
彼はふぅ、と1つ小さく溜息をついて、

「式、どうやら僕は大変なことに巻き込まれてしまったみたいだ。」

と、1人ごちた。


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【午前7時15分/日本・新宿】

【射命丸文@東方project】(マスター)
【状態】健康
【装備】手帳@現実
【道具】不明
【思考】
1:真実を新聞にして客観的に皆に伝える
2:この聖杯戦争を生き延びる
3:元の世界に皆で帰る方法を探す

【黒桐幹也@空の境界】(クラス・サーチャー)
【状態】健康
【装備】無し
【道具】不明
【宝具】不明
【思考】
1:式やその他の知り合いを捜す
2:文を手伝う

※クラス別スキル
【暗記能力:C】:1つの事柄について六法全書一冊分の資料を完全に暗記できる。
【情報処理:A+】:調べたいことについてどんな些細なことからでも情報を得る事が出来る。
【予測:B+】:それまでの情報から、これから先に起こることをかなりの精度で予測できる。
最終更新:2009年05月25日 00:32