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拝啓、天におられるレオン陛下。
『よいかジェラール。我々はインペリアルクロスという陣形で戦う。
私が中心に立ち、防御力の高いベアが先頭、両サイドをジェイムズとテレーズが固める。
お前は私の後ろに立つ。お前のポジションが一番安全だ。安心して戦え。
ここのモンスターには付近の住民も苦しめられている。モンスターを追い払い、このダンジョンを封印するのだ。
……皆も頼むぞ!』
私は今、謎の街に飛ばされ、帝国の魔物図鑑にも載っていないモンスターと戦い続ける日々です。
どうにかしてアバロンへ帰りたいと願う常々ですが、いまだその目途は立っていません。



ウェンディゴの攻撃!
MISS! ベアにダメージを与えられない!
キグニ族99の攻撃を、かわした。
サイクロプスの攻撃!
ミス! ベアにダメージを与えられない!
首狩り族は持っている武器を振り回した!
ミス! ベアにダメージを与えられない!
さつじんきは ベアを バールのようなもので こうげき!
はずれた!
ポーパルバニーは ベアをひっかいた!
ミス! ベアにダメージを与えられない!

「うおおおおお!! パリイ! パリイ! パリイ! パリイ! パリイ!」

職業(クラス)は帝国重装歩兵。
インペリアルクロスでの守備位置は最前列。
得意技はなぎ払い、パリィ、防御。
普段の装備は長剣、大盾、プロテクトスーツ、タブレット。
自慢は混乱したレオン皇帝の『二段斬り』を見切ったこと。
以上がバレンヌ帝国所属の前衛兵士、ベアのプロフィール。
そんな彼は、現在東京都の大通りで孤軍奮闘中。
空から次々と降ってくる敵の猛攻を、何とか必殺のパリィでごまかしつつ、活路を探している。
ベアが考えている、この状況を打ち破る方法は、以下の三つ。

1.強力な技の閃きに期待する
帝国の道場が長い研究の果て導いた結論として、『死中に活を見出す』というものがある。
即ち、敵が強ければ強いほど『火事場の馬鹿力』の原理で強力な技を編み出す可能性が高くなる、ということだ。
敵はどいつもこいつも自分の数倍以上の実力があり、うまくいけば『不動剣』や『光速剣』などを閃くことができるかもしれない。
「くそっ! パリイ! パリイ!」
ただし、敵が一体だけだったなら、の話だ。
ベアの得意とする片手剣の技は、基本的に一対一で戦う際に用いる技であり、多人数の敵を相手にするのには向いていないのだ。
せいぜい複数に攻撃できる技は『つむじ風』や『残像剣』ぐらいのもので、必ずしもそれを閃くとは限らない。
この状況下ではあまりにリスクが高すぎる。一手のミスが死に繋がりかねないのだ。


2.ひたすらに助けが来るまでパリイで粘る
「パリイ! パリイ! パリイ! はぁ、はぁ、はぁ……う、うおっ! パリイ! パリイ!」
即時却下。必ずしも助けが来るとは限らない。それ以前にいつまでパリイが保つか判った物ではない。


(仕方ない……3番しかないのか。誇り高き帝国歩兵として、余り取りたくない戦術だが)
「パリイ! パリイ! パリイ! そして―――ここだ!!」
ベアは、敵の猛攻が一瞬緩んだ隙を見逃さず、行動を起こした。
「退却――――――っ!」
3.戦略的撤退。
混戦の最中、モンスターの群れの切れ目を見事にすり抜け、ベアは逃走に成功した。


ベアは、がらんとしていて、まるで人気の感じられない通りまで逃げて来た。
辺りには廃屋と化した店舗が並んでおり、ゴーストタウンを連奏させる。
「危ない所だった……一回でもパリイがミスしていたら、やられていたかもしれない」
振り返って、モンスターが追って来ていない事を確認してから、ベアは呟く。
「陛下……ジェイムズ……テレーズ……ヘクター……一体何処に……?」
既に、捜索に時間を一日費やしているのだが、未だに知っている顔と巡りあうことがない。
遭遇するのは目を血走らせ、襲い掛かってくる人間や、凶暴なモンスターばかりである。
織田信長、とやらの放送ではまだ呼ばれていないものの、この惨状では一刻も早く見つけ出す必要がある。
「それ以前に、どこまで私が生き残ることができるものか……」
ある程度死地を潜り抜けた者ならば、敵との力量差を何となく押し計ることができる。ベアも例外ではない。
故に、ベアは今まで、この見知らぬ街での戦闘において、気が気ではなかった。それも当然でだろう。
何せ『あの』七英雄クラスの化物がゴロゴロいるのだから。恐怖を感じない方がどうかしている。
「いや、弱気にならず、しっかりしなくては。現に今までこう五体満足で生き延びてこられたではないか」
パリイぐらいしか取得のない自分でも何とかなっているのだから、あの四人程の使い手なら案外問題ないのかもしれない。
例えば、ジェラール皇帝。文武両道をたしなみ、『二段斬り』と天・火術を使いこなす優れた皇帝。
例えば、ジェイムズ。一刀必殺の『強撃』は、やや正確性に欠けるものの、破壊力は群を抜いている。
例えば、テレーズ。『アローレイン』『バラージシュート』といった弓技を巧みに操る、バレンヌ帝国最強の猟兵。
例えば、ヘクター。口こそ悪いが、バスタードソードから放たれる『巻き打ち』や『切り落とし』は、確かな剣の冴えを見せる。
「…………………………何か、私だけが凄く役立たずのような気がするのだが、考え過ぎだろうか?」
決してそんなことはないはずだ、とベアは己を鼓舞するため、自分の今に至るまでの活躍を思い浮かべ始めた。
ウォッチマンの巣では、パリイでゲットーどもの爪攻撃を叩き落としていたし。
クジンシーの館では、七英雄クジンシーの剣撃をパリイで受け流していたし。
運河要塞でも、リザードのファングクラッシュをパリイで弾き飛ばしていた。
「数々の死闘。直接攻撃を防ぐ私がいなければ、とうに死んでいたのかもしれない……な」
ふっ、と少しばかり自分の功績に浸りながら、ベアは自信を取り戻した。
「しかし、これからどうしたものか。別の地域を探すか、はたまたここに留まるか」
確かにこの街は危険だが、その危険から街の人々を守る為、あの四人があえて滞在している、という可能性もある。
逆に、自分の命には代えられず、他の安全な地域へ向かっているというのも、決して否定できない。
いや、そもそも最初からこの街にはいなかった、という確率の方が遙かに高いのではないか?
「……考えるまでも無いな」
自分は何故軍に志願したのか、そんな理由はあからさまだろう。
人々を、モンスターに抵抗もできず殺されていく人々を守りたいからではなかったか。
「―――陛下。いずこへおられるかも判らぬ貴君の警護を放り出し、ここに留まり続ける愚行をどうかお許し下さい」
チャキッ、と剣を構え直し、心構えも新たに、帝国重装歩兵・ベアは進み始めた。
こんな自分でも、殺されていく人々の命を救うことができる。そう、固く信じて。
「さて、まずは混乱の激しい、市街の中央から―――」
ベアが踵を返し、その場から立ち去ろうとした所で、


何者かの殺気を、感じた。

同時に、風切音がベアの鼓膜を震わせる。
「―――ぬうっ! パリイ!」
振り向き様、背後から迫る『何か』を剣の峰で叩き落す。
『何か』と刀身が接触する刹那、カシィン、という乾いた音が奏でられる。
明らかに殺傷の意志が元、放たれたそれを、ベアは見た。
「……! く、クルミだと!?」
何処からか投げつけられたのは、小さな小さな胡桃の仮果。
それも、本来なら丸みを帯びているはずの殻が、削られ、鋭く尖らされ、小さくも立派な棘と化している。
投擲された勢いと、刺さる箇所によっては、暗器『千本』のように致命傷が与えられる。紛れも無い凶器だった。
「何者だ! 姿を現せ!」
クルミで攻撃された方向を見ても、誰もいない。辺りを見回しても、誰もいない。
「おとなしく出て来い! いるのは判っているんだぞ!」
返事は返って来ない。



失敗したな、とシマリスは舌打ちした。
まさか背後からの攻撃に反応された上、あまつさえ首を狙った一撃を防がれてしまうなど、大失敗もいい所だ。
「例えまたクルミを飛ばして来た所で私には通用しない。無駄な抵抗はやめろ!」
何か全身鎧の男が喚いているが、今はどうでもいい。
一応手元には、ナイフ状に削った、首狩り用のクルミがあるものの、自分とあの男では膂力が違いすぎる。
「……やっぱり、クルミだと限界があるのでぃす」
銃が欲しい。いや、この際短刀の類でも構わない。とにかく、自分の非力を補える程度の得物が必要だ。
「手始めに、金物屋でも漁って見るのでぃす。多分、手頃な刃物があると思うのでぃす」
そう呟くと、最小クラスのアサシンマーダー、シマリスは屋根を走り抜けていき、姿を消した。
後には、居もしない敵へ降伏勧告を行い続けるベアだけが残された。
「パリイ! パリイ! どうだ、このパリイの前ではクルミ程度無力に等しいだろう!
今なら命までは取らない、速やかに武器を捨てて―――」


【東京都郊外 某所 三日目 0時】

【ベア@ロマンシンシングサ・ガ2】
[状態] :健康
[装備] :チンケスレイヤー@SO2 フォートスーツ@ロマサガ3
[道具] :支給品一式
[思考] 1:何処からでもかかって来い! パリイの力を思い知らせてやる!
基本方針:街の治安維持、及び住民の救助に勤める
[備考]:ソウルスティール見切り、二段斬り見切りをそれぞれ習得済み


【シマリス@ぼのぼの】
[状態] :健康
[装備] :尖鋭状暗殺用クルミ×5 ナイフ状首狩り用クルミ
[道具] :クルミ5000個 支給品一式
[思考] 1:武器を調達する
    2:関東周辺で、弱そうな人間を探して殺す
基本方針:友人達を守る為に、友人を殺すかもしれない人間達を殺す




最終更新:2007年01月06日 18:14