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 仮面ライダークウガは古代の戦士である。
 彼が倒すべきグロンギは、殺人ゲームを楽しむ悪しき生命体である。
 クウガは人々の笑顔のために、グロンギと闘うのだ――

 太陽が頭上に昇ってから、既にそれなりの時間が経っている。
 現在時刻は11時手前。バトルロワイアルが始まったのが0時。
 果たしてこの11時間弱という長い時間の中で、どれほどの命が失われたのだろうか。
 未だ自分達以外には、誰とも遭遇することなく、彼らは東京へと到達していた。
 五代雄介と、小野寺ユウスケ。
 同じ「ゆうすけ」という名前を持ち、同じ戦士の力を持つ2人の男。
 遥かな古代より蘇った、伝説のクワガタムシの戦士――仮面ライダークウガ。
(こいつは一体何者なんだ……?)
 訝しげな表情で、ユウスケが横目で雄介の顔を伺った。
 元々クウガという戦士は、この世に1人しか存在しないはずなのである。
 にもかかわらず、この男は自分がクウガだと名乗った。変身用のベルト・アークルも持っていた。
 これは一体どういうことだ。
 もう1人のクウガがいるなどとは聞いていない。
 自分と同じく未確認生命体と戦っているというのなら、目撃情報があってもいいものなのだが。
「あ」
 と、その時だ。
 そんな思考など露も知らず、雄介が不意に立ち止まる。
「ねぇ、ちょっとあれ見てよ」
「あれ?」
 指差す先を見てみれば、そこにあったのは漫画喫茶。
 店の前に設けられている駐車場には、1台のマウンテンバイクが転がっていた。
 他に乗り物は見当たらない。それどころかあの自転車は、随分とボロボロになっている。
 元からそこにあった、というよりは、何者かがここまで乗ってきたと考える方が自然だ。
 恐らく相当な激戦区の中を、命からがら逃げ延びてきたのだろう。
「とりあえず、入ってみよう。誰かいるかもしれないし」
「まぁ……そうだな」
 雄介の提案に素直に従う。
 当然中にいる人間が、危険でないとは限らない。殺し合いに乗っているのかもしれない。
 それでも、無視することはできなかった。
 乗っているなら乗っているで、これ以上人殺しをさせないように拘束する必要があるからだ。
 それに仮に乗っていない人間ならば、それこそ保護する必要がある。
 大丈夫。認めたくないが、ここにはクウガが2人いるのだ。
 たとえ不意討ちを仕掛けられようとも、大概の相手なら対処可能。
 ガラス扉に手をかけると、からん、と鐘の音が鳴り響いた。
 見たところ、中には誰もいない。
 入り組んだ漫画喫茶の店内の、少なくとも入り口付近は無人である。
「すいません、誰かいませんか?」
 それなりに声を張り上げ、雄介が言った。
 相手が殺し合いに乗っていれば、この行為の意味は全くない。
 だが、乗っていなかったならば、ある程度は相手の警戒を解くことができる。
 仮に雄介が殺し合いに乗っていたなら、そんなことをする必要は全くないのだから。
「えっと……どちら様でしょうか?」
 案の定、物陰から1人の少女が姿を現す。
 モノクロの服装そのものは西洋風だが、頭に被った赤い帽子は、さながら伝承の天狗のようだ。
 こちらの様子を伺う素振りこそ見せているものの、武装している気配はない。殺し合いには乗っていないらしい。
「どうも、こんにちは。俺、こういう者です」
「はぁ……」
 満面の笑顔を浮かべながら、雄介の右手が差し出された。
 その手に握られているのは一枚の紙。いわゆる、名刺というやつだ。
 名刺なんて持っていたのか、と、少々意外に思う。
 そんなユウスケの目の前で、少女が名刺を受け取ったのだが。
「……夢を追う男……2000の技を持つ男……?」
 怪訝そうな表情と共に発せられた呟きに、またもこの男がよく分からなくなるユウスケだった。


 改めて、漫画喫茶。
 今この店のテーブルの1つには、4人の人間が集まっている。
 当然、うち2人は雄介とユウスケのダブルクウガ。
 1人は先ほど出会った少女で、名を射命丸文と言うらしい。
 珍しい名前ですね、と雄介が言ったら、天狗ですから、と返された。
 あまりに胡散臭いのでユウスケがその旨を口にしたら、突風を起こして軽く吹っ飛ばされた。
 そしてもう1人の人間は、黒髪に黒い服を着た眼鏡の男だ。
 黒桐幹也と名乗っていた。こっちは元々普通の人間だったそうだ。
 元々、というのは、今はそうでないということになる。
 この殺し合いと平行して発生した、聖杯戦争と呼ばれる戦いに巻き込まれ、彼はサーヴァントなる使い魔と化してしまったとのこと。
 ちなみに、そのサーチャーのサーヴァントがユウスケ達の接近に気づけなかったのは、
 極度の疲労がたたってうっかりうたた寝をしてしまっていたのが原因である。
「……それで射命丸達は、そのアーカード達から逃げてきた、ってことだよね?」
「そうなりますね」
 ユウスケの確認に、射命丸が答えた。
 今まで彼らがしていたのは情報交換だ。
 もっとも、ユウスケ達はこれまで何事もなく過ごしてきたので、一方的に射命丸達の話を聞くという形になったのだが。
 彼らが得た情報によると、アーカードなる吸血鬼と、マクドナルドのマスコット・ドナルドによって、
 十数分後には秋葉原が丸々壊滅してしまうらしい。
 それでその余波に巻き込まれぬようにと、彼女らは命からがら脱出してきたのである。
「黒桐さん、そのアーカードやドナルドには、何か弱点ってないんですか?」
「弱点? アーカードは主催者からの能力制限で、平時でも心臓を潰されれば死ぬことになってるけど……
 ……ってまさか、奴らと戦うっていうのか!?」
 驚愕も露わに、黒桐が身を乗り出す。
 一方、その弱点を尋ねた雄介の反応は静かなものだ。
 特に表情を変えることもなく、平然とした様子を保っている。
 ユウスケが最初に会った時から思っていたことだが、この男もこの男なりに、随分と度胸が据わっているらしい。
「奴らは殺し合いに乗ってるんでしょ? だったら、殺し合いに乗ってない人達を守るためにも、戦える俺達が戦わないと」
「無茶だそんなの! 確かにアンタ達の実力も相当なもんだけど、連中はそれ以上のバケモノなんだよ!?」
「それ以上、って……うわっ! 何だこれ!?」
 最後のリアクションはユウスケのものだ。
 黒桐の手の中にあった敵のデータは、正直圧倒的としか言いようがない。
 対話の中で、同じくクウガのスペックもメモしていたようだが、連中のあらゆる能力がクウガを凌駕している。
 これが2対1ならまだましだったのだろうが、悲しいかな向こうの数も2人。どう考えても勝てそうにない。
「大丈夫ですって。だって俺、クウガだもん」
「いやだからクウガじゃ勝てないんだって!」
「そうだよ! 俺達だけじゃ、どう考えても危険すぎる!」
 いよいよユウスケもまた、雄介への説得に加わった。
 何としても止めなければならない。
 確かに連中はこの殺し合いに巻き込まれた人々を守る上で、いつかは戦わなければならない相手だ。
 だが、今はまだその時ではない。明らかに戦力が足りなさ過ぎる。
「でも、そうやって先延ばしにしてる間にも、奴らはたくさんの人を殺します。
 俺はその犠牲も出したくないんですよ。だって、みんなに笑顔でいてほしいから」
 言いながら、雄介が立ち上がった。
「じゃあ俺、行きます。射命丸さん達も、新聞作り頑張って」
「あ、ちょっと!」
 最後に射命丸達に笑顔を向けると、そのまま出入り口へと歩いていく。
 からん、とまた音が鳴って、雄介の姿は店外へと消えた。

「……あー、もう!」
 がしがし、とユウスケの手が頭を掻く。
 もうどうとでもなれ、といわんばかりに席を立つと、彼の後へと続いていった。
 雄介の言うとおりではないか。
 自分がクウガとして戦うのは、みんなの笑顔を守るため。今は亡き愛する人――八代刑事に誓ったこと。
 ならば、うだうだと言っていられるはずもない。
 誰かを犠牲にしてまで得られる勝利に意味はない。
 どうせ戦うなら、全員を守り抜く気概で。
 たとえ絶望的な勝負であろうとも、人々の命が失われるよりはいい。
 自分と同じ意志を持っていながら、雄介は自分よりもずっとそれを理解していた。
 何とも言えない感情を抱きながら、ユウスケは漫画喫茶を後にした。


【一日目・午前10時50分/日本・蒲田】

【射命丸文@東方project】(マスター)
【状態】疲労、多少の怪我
【装備】手帳@現実
【道具】不明
【思考】 基本:真実を新聞にして客観的に皆に伝える
1:とりあえず一旦休憩する
2:この聖杯戦争を生き延びる
3:元の世界に皆で帰る方法を探す
4:雄介達が心配

【黒桐幹也@空の境界】(クラス・サーチャー)
【状態】極度の疲労 、多少の怪我
【装備】エーテライト
【道具】不明
【宝具】不明
【思考】
1:式やその他の知り合いを捜す
2:文を手伝う
3:雄介達が心配

 数分後、半ば廃墟と化した秋葉原。
 しばらく歩いた後、雄介とユウスケはそこにたどり着いていた。
「こりゃひどい……」
 思わず、ユウスケが呟く。
 なるほど確かに、雄介についてきたのは正解だったようだ。
 見渡す限りに広がっているのは、暴力的なまでの破壊の痕。
 道路はひび割れ、建物は粉砕され、信号機や標識は根こそぎへし折られていた。
 こんなことをしでかす連中を放っておいては、一体何人の人間が犠牲になるか、分かったものではない。
 そして同時に、黒桐の言うことが正解であったことも理解する。
 いくらクウガといえども、これほどの破壊力を発揮することは不可能だ。
 果たしてこんな連中を相手に、本当に自分達は勝てるのだろうか。少しばかり、不安になる。
 と、その時だ。
「なっ!?」
 びゅん、と。
 何かが勢いよく飛んでくる。
 あれは瓦礫だ。恐らくはそこらの建物の一部だったであろうものだ。
 奴らが投げ飛ばしたものだろうか。その流れ弾が、こちらに向かって飛んでくる。
 人体よりも何倍もでかい。直撃すれば一瞬でミンチだ。
「危ない!」
 ぐん、と身体が引っ張られるのを感じた。
 ユウスケの首元を引っつかんだ雄介が、彼の身体を手繰り寄せる。
 いつからそこにあったのだろうか。あるいは今拾ってきたのだろうか。
 反対側の手には、新品同然のぴかぴかの物置。
 ドアを開け、2人そろって中に入る。
 がん、と壁越しに衝撃を感じた。
 しかし、それだけだ。堅牢な物置は潰れることも、貫かれることもなく平然としていた。
 がらがらと扉を開けて外を見てみれば、むしろ反対に瓦礫の方が砕け散っているという有様。





 やっぱりイナバ、瓦礫が降ってきても――

「大丈夫!」
「ってアンタが言うのかよ!?」

【一日目・午前10時55分/日本・秋葉原】

【五代雄介@仮面ライダークウガ】
【状態】健康
【装備】アークル@仮面ライダークウガ
【道具】支給品一式、不明支給品
【思考】
1:この殺し合いを止める
2:大丈夫!(サムズアップ)
3:アーカードとドナルドを倒しにいく

【小野寺ユウスケ@仮面ライダーディケイド】
【状態】健康
【装備】アークル@仮面ライダーディケイド
【道具】支給品一式、不明支給品
【思考】
1:この殺し合いを止める
2:アーカードとドナルドを倒しにいく

イナバ物置@現実】
【状態】健康(無傷)
【装備】不明
【道具】支給品一式その他不明
【思考】
1:大・丈・夫!
最終更新:2009年06月11日 00:21