アットウィキロゴ
荒涼とした荒野を1人の人間が歩いている。
その人影は逆立った黒髪に赤いロングコートを着ている。
どうやら男のようだ。

ぐ~きゅるるるるる~

次の瞬間、間の抜けた音と共に男は突っ伏した。

「……」

男は最早喋る気力も無く、その場にうつ伏せに倒れこんだ。
男は自分のバッグを漁り始めた。
そして、男の手がビニールの感触を覚えた瞬間、男の目に生気が戻ってきた。
バッグから取り出されたのは、1個のアンパンだった。

「て、天の恵みじゃああああああ!!! 神様、ありがとう!!!」

男は滝のように涙を流しながらアンパンを開封した。
だが、そのアンパンを食べようとした瞬間、青い影が目の前を通り過ぎた。
そして、気が付くと手に持っていたはずのアンパンが消えていた。

「……何事ですのん?」

男は訳が分からず、その場に立ち尽くした。

*  *  *  *  *  *  *  *  *  *  *  *  *  *


荒涼とした荒野を2人の人間が歩いている。

「……リルム。いい加減に俺を解放してくれないか? いつまで俺の肩に乗っかって操っているつもりだ?」
「やだ。あんたは黙ってあたしの言うことを聞くの!!」

……訂正。歩いているのは1人だけだ。
もう1人、リルムと呼ばれた少女は青い学生服の青年、七夜志貴に肩車させている。

「それから、さっきから無茶苦茶なことを言うな。人間風情にビームやらロケットパンチが出せるわけ無いだろ。」
「何よ、ノリ悪いわね~、退屈なんだから少しは付き合ってくれたっていいじゃん!!」
「ところで、アンタの言うジジイはどう捜すつもりだ?」
「そんなのわかんない。自分で考えてよ。」
「やれやれ、注文の多い事で。」



そうやって話していると、突然七夜の動きが止まった。
リルムは、七夜のコントロールが聞かなくなって困惑している。
七夜は俯いて何やら呟いている。

「ど、どーしたのよ、キザ男!? 何で言うこと聞かないの!?」
「……ハッ……に……」
「えっ?」
「勝負はハッスル!!! 無性にハッスル!!!」
「ええーっ!?」

リルムが確認をすると、七夜は突如奇声を発して猛スピードで走り始めた。
リルムは必死に制御を試みるが、全く聞かなかった。
ふと前を見ると、進行経路上に1人の人影を発見した。

「ちょ、ちょっと!! ぶつかる!!」

ぶつかる瞬間、リルムは硬く眼を閉じた。
しかし、来るはずの衝撃がいつまで経っても来ない。
恐る恐る眼を開けて見ると、七夜の手にはいつの間にかアンパンが握られていた。

「―――アンパンを食す。」

そう呟くと、七夜は瞬く間にアンパンを平らげた。

*  *  *  *  *  *  *  *  *  *  *  *  *  *


「ううっ……ひっぐ……ぼ、僕のアンパン……」

一方、アンパンを取られた男は失意の底に沈んでいた。
男にとってさっきのアンパンは、最早これまでかと思った時に見つかった、一縷の希望だった。
それが一気に崩れ去った時の絶望感は推して知るべし。

「まだ……無いかな……」

男はまた1つの望みに賭けることにした。
自分のバッグにまだ食料が残っている可能性に賭けることにしたのだ。

「えっ?」

男の手が不意に止まった。
そして引き出された手には、またしてもアンパン。

「え、え~と……ほ、本物だよね?」

男は何度も触って確かめる。
それは確かに本物のアンパンだった。

「やった~!! それじゃあ、いただきま~……」
「―――アンパンを食す。」

男はまたアンパンを食べられなかった。
先程の青い影が、またしてもそれを掠め取っていったからだ。

「む~!! いい加減言うことを聞きなさいよ!!」
「ひはははひはお。ふぁはははふぁふぇひふふぉふんふぁははは。」(※訳:仕方ないだろ。体が勝手に動くんだからな。)
「何言ってんのかちっともわかんない!!」

言い争いをする2人の横で、男はゆらりと立ち上がった。

「ふ……ふふふふふ……チミ達、泥棒は良くない事だって習わなかったのかにゃ~?」

男の目は据わっていて、手には拳銃が2丁握られていた。
それに気が付いた青い影こと七夜志貴は、アンパンを飲み込むとナイフを取り出した。

「ん? 何だ、俺とやりたいって言うのか? 良いぜ、来いよ。」
「ふっふっふ……悪い子はお仕置きだぞ~?」

言い終わるや否や、戦いは始まった。
まず先手を打ったのは七夜。
一瞬で相手の目の前に出て、横一閃に薙ぎ払う。
それを、赤いコートの男が手にした拳銃で打ち払う。
一瞬の交差の後、両者は距離を置いた。



「今のでアンタの首を落とすつもりだったんだが……」
「ヒョヒョヒョヒョヒョ……そんな事言うとお仕置きが倍になるんだぞ~?」
「面白いじゃないか。―――さあ、殺し合おう。」

言い終わると同時に七夜が男の視界から消え、突然男の頭上に現れた。
そのまま斬りかかるが、

「ふん!!」
「何!?」

それに対し男は敢えて銃を手放し、七夜に向けて放り投げた。
それには紐が括りつけられていて、七夜の身体に巻きつき、自由を奪った。

「ぐっ!!」
「はい、僕の勝ちだね。」

地面に叩きつけられた七夜に、男が銃を向ける。
この勝負は、赤いコートの男の勝利に終わった。

*  *  *  *  *  *  *  *  *  *  *  *  *  *


しばらくして、男の説教が始まった。
七夜は男の前で正座させられていて、リルムは近くの岩に座って退屈そうにしている。

「全く、自分の食料がまだあるのに人の物を盗むとはどういうつもりなんだ!?
それから、さっきの戦いで君は言ったよね、「さあ、殺し合おう。」って!!
人を殺すなんて例え神が許そうともこのワタクシが断じて許しません!!
今後一切そんな事を言わないように次の言葉を復唱なさい!!
良いですか、ラヴ・アンド・ピース!!」
「何でそんな事を……」
「ちゃんと言わないとお尻ペンペンの刑!!」
「ら、ラヴ・アンド・ピース……」
「声が小さい!! もう一度、ラヴ・アンド・ピィィィィィィィィス!!!!」
「ら、ラヴ・アンド・ピース!!」

説教が終わると、3人は自己紹介をして、お互いの身の上を話した。

「つまり、リルムは七夜と一緒に行方不明になったお爺さんを捜してるわけだね。」
「うん。でも、こいつはこんな感じで馬鹿だけど。」
「随分な言い様じゃないかリルム。もう少し位優しさがあっても良いんじゃないか? なあ、ヴァッシュ?」
「あ~、僕からは何とも言えないよ……ところで、僕もお爺さんを捜すのを手伝わせてもらっていいかい?」
「いいの? それじゃ、手伝って。」
「うん。それじゃあ、これから宜しく……」
「勝負はハッスル!!! 無性にハッスル!!!」

最後の一言と共に七夜は何処かへ消えていった。
どうやら何処かのアンパンの匂いを嗅ぎ付けたらしい。

「……ア、アノ……リルムサン? 彼は何か病気にかかってますのん?」
「……あたし知らない。」
「と、とにかく追いかけよう?」
「あーもう!! ジジイ以上に手が掛かるんだから!!」

2人は七夜を追いかけだした。

*  *  *  *  *  *  *  *  *  *  *  *  *  *


【一日目・19時00分/土星・アメリカ】


【リルム・アローニィ@FF6】
【状態】健康
【装備】チョコボの筆、団長の髭
【道具】不明(2人分)
【思考】
1:ジジイ(ストラゴス)を捜す
2:とりあえず、馬鹿(七夜)を追いかける

【七夜志貴@MELTY BLOOD Actress Again】
【状態】やや疲労、若干の負傷 、病気(病名:アンパン中毒)
【装備】アサシンダガー@DQ
【道具】捨てた
【思考】基本:―――アンパンを食す。
1:リルムに従ってジジイを捜す ※ジジイが誰の事を指すかは把握してません
2:殺し合いを楽しむ
3:白レンも一応捜す

※アンパンがあるところなら何処にでも出没するらしい。

【ヴァッシュ・ザ・スタンピード@トライガン・マキシマム】
【状態】健康
【装備】不明
【道具】支給品一式
【思考】
1:リルムを手伝う
2:七夜を(色々な意味で)止める。


最終更新:2009年07月16日 11:20