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 「幹也さん!! 何処に居るんですか!?」

 無人のビル街を、射命丸文は飛び回っている。
 目的は、黒桐幹也の捜索だ。
 何故、幹也が居なくなったのかは分からない。
 文が廃ビルの中から出てきたときには、幹也はいなくなっていたのだ。
 ビル街の中をいくら捜しても見つからない。
 1つ確かなのは、右手に令呪が残っているから、幹也は生きていると言うことだけだった。

 「あと捜してない場所は……こっちですね!!」

 文は、ビル街の中へ戻って行った。

*  *  *  *  *  *  *  *  *  *  *  *  *  *


 ソファーで横になっていた式は、ゆっくりと身体を起こした。

 「ん? どうした、式?」
 「……いや、何でもない。」

 そう言って式は再びソファーに身を沈めた。
 しかし、そう返しておきながらも、式は原因不明の不安を覚えていた。

 (……何か嫌な予感がする。何だ?)

 時間が経つにつれて、不安感はどんどん大きくなっていく。
 外に出なければ。早く行かなくては取り返しのつかないことになる。
 胸の鼓動はそう告げるかのように早くなっていった。

 「ああ、くそ!! 何だって言うんだ!!」

 今度はソファーから跳ね起きると、式はハンガーに掛かったジャケットを手に取った。

 「出るのか、式?」
 「ああ。幹也も当分帰ってきそうに無いしな。少しばかり外を見てくる。」
 「そうか。外はいつぞやよりも物騒だからな。必ず生きて帰って来い。」

 そういうと、橙子は幹也の集めた情報に目を落とした。 
 そんな彼女を一瞥して外に出ようとすると、

 「ああそうだ。幹也を見つけたらマスター共々連れ戻して来い。奴等に聞きたい事があるんでな。」

 と言う声が掛かった。
 式はそれだけ聞くと、外に出て行った。
 入れ違いに、悟空が入ってきた。 

 「行かせてよかったのか、橙子?」
 「ああ。全く、世話の焼ける奴だよ。黒桐がどんな奴かなんて、分かりきっているはずなのにさ。」

 悟空の問いかけに苦笑しながら橙子は答える。
 そして、しばらく資料に目を通していたが、唐突に視線を上げた。

 「孫、青子。気付いたか?」
 「ああ。どうやら、つえぇ奴が近くに出たみてぇだな。」
 「こっちも感じたわ。姉貴、一体なんだと思う?」

 橙子は手元の資料を見返し、少し考えて答えた。

 「そうだな、私が持っている知識で答えられるとすればだ――――――」

*  *  *  *  *  *  *  *  *  *  *  *  *  *


【一日目・21時10分/金星・日本・工房内】

【蒼崎橙子@空の境界】(マスター)
【状態】健康
【装備】無し
【道具】支給品一式、人形の入ったホイポイカプセル、人形創りの道具、煙草(この二つは支給品ではありません。)
【思考】
基本: 主催者を殺し、その後に青子を殺す(それまでは取り合えず協力し合う)
1:この聖杯戦争について調べるがチャンスが来るまで動かない
2:式と幹也と射命丸の話を聞く。何か起きたら即止める


【蒼崎青子@月姫】(マスター) (クラス・キャスター)
【状態】健康
【装備】透明マント
【道具】支給品一式
【思考】
基本: 主催者を殺し、その後に橙子を殺す(それまでは取り合えず協力し合う)
1:この聖杯戦争について調べるがチャンスが来るまで動かない
2:とりあえず襲ってき奴は軽く蹴散らす
3:青春か…少しどろどろだけど
※橙子の令呪は効きません(意地)。
  孫悟空のマスターです。

【孫悟空@ドラゴンボールZ】(クラス・ヒーロー)
【状態】健康、首輪無し
【装備】無し
【道具】無し
【思考】
基本: 主催者を倒し、元の世界に戻る。
1:青子と橙子を手伝う。
2:サーヴァントは腹へらねぇのかぁ。
3:チチ元気にやってかなぁ。
※主催者に存在を気づかれていないようです。そのため首輪と支給品はありません。
 この世界の人間ではないので宝具は持っておりません。
 参戦時期は本編終了後です。

*  *  *  *  *  *  *  *  *  *  *  *  *  *


 幹也は歩いていた。
 だが、それはふらふらとしたものではなく、しっかりとした歩調だ。
 彼は、ビルの前で座っている時、ふと見知った人影を見つけ、それを追いかけていたのだ。

 「……どっちに行ったんだろう?」

 幹也が呟いた瞬間、

 「―――久しぶりね。黒桐くん」

 後ろから声が掛かった。
 その声に幹也が振り向くと、そこにいたのは着物姿の少女の姿があった。
 それは、永遠に会えない筈の少女だった。

 「やあ、やっぱり君だったか、式。」
 「ええ。また会えるとは思ってなかったけどね。」

 彼女は『両儀式』。式の肉体そのものであり、決して外に出る筈の無い少女だった。

 「どうして君は此処に? 式は今橙子さんの所に居る筈なのに。」
 「さあ、どうしてでしょうね? 私にもよく分からないんだ。」

 彼女は少しおどけたように笑う。
 それを見て、幹也は胸に少し痛みを覚えた。

 「……後悔してるのかしら? 彼女を抱いたこと。」

 彼女は柔らかい笑顔のまま幹也に尋ねた。

 「……悪いけど、後悔はしてないよ。後悔なんてしたら文さんに失礼だしね。……それに消えたら式にはもう会えなくなる。それのほうが僕には辛いよ。」

 幹也は少しだけ辛いけどね、と言って笑いながら答えた。 

 「……君は、全部知ってるんだよね。」
 「ええ。いま式がどんな状態かも、あなたがどんな状態なのかも全部知ってるわ。それに、私がどうしてここに居るかも、ね。」

 彼女は少し悲しげに答えた。
 幹也は黙って彼女の顔を見ている。

 「皆、あっちこっちで戦ってるでしょ? 私達はね、それを止めに来たんだ。―――そうね。皆が言うところの抑止力って言えば分かるかしら?」
 「ごめん、良くわかんない。抑止力ってどういうこと?」
 「例えば、世界が壊れてしまいそうなことをしようとしている人がいる。すると、世界は生き延びるために色々と邪魔をするの。それがどんな方法であってもね。ときには町が1つ無くなる事もあるわ。」
 「え? じゃあ、君は……」
 「そう。私達はこの争いを止めるために、人を殺さなくちゃいけないんだ。何で私が選ばれたのかは分からないけどね。多分、私の他に呼ばれた人も居るけど、何で選ばれたか分からないんじゃないかしら?」

 彼女は自らを嘲る様に笑いながら続ける。

 「本当はね、私もこんな話は出来ないはずだったんだ。でも、今は出来てる。それだけは感謝しても良いかな? またあなたに会えたんだから。」

 幹也は黙って聞き続ける。

 「……もう、時間みたい。私の衝動がどんどん大きくなってる。覚えてる? 式の殺人衝動は私から生じてるってこと。抑止力が私にそうさせてるみたい。多分、このままじゃ私はあなたを殺すわ。」

 彼女は俯いて、泣きそうな声で続けた。

 「―――何て、皮肉。私が彼女の夢を、壊さなきゃならないなんて―――」

 そう言って、彼女はナイフを取り出し、幹也に向かって走り出した。
 幹也は、彼女のナイフが迫ってくるのをぼぅ、と見ていた。
 あと数歩でナイフが届くと言う時、
 幹也の前に突然人が現れた。その人物は、そのナイフを弾くと幹也を抱えて後ろに飛んだ。
 幹也が顔を上げるとそこにいたのは。

 「え……式……?」
 「聞きたいことは山ほどあるが、後だ。」 

 式は幹也を下ろすと、『両儀式』に向きあった。

 「こんばんは、式。」
 「……お前、一体何なんだ?」
 「私はがらんどうのあなた。「 」に繋がったあなたの器よ。」

 『両儀式』は、ゆっくりと答えた。
 式は、ナイフを取り出して返した。

 「……良く分からないが、お前はオレで、幹也を殺そうとした。それだけ分かれば十分だ。」

 式は両儀式に向かって走り出した。
 2人は激しく打ち合い、しばらく打ち合って間合いを取った。

 「ちっ、皆オレと同じ動きか。気持ち悪い。」
 「それは、あなたの体ですもの。それに、私は根源に繋がってるわ。このままじゃ負けるのはあなたでしょうね。」 

 突然、両儀式は幹也のほうに向き直った。

 「1つヒントをあげるわ、黒桐くん。―――あなたの宝具は一体何?」
 「え?」

 そう言い終わると、2人は戦闘を再開した。
 幹也は、自分の宝具を調べてみた。

 「――――――え?」

 それは、幹也を驚かすのに充分なものだった。
 宝具とは、その英霊に結びつきの強いものだ。
 だが、幹也にはその宝具と呼べるほど結びつきの強いものは無い。
 ただ1つの例外を除いては。
 幹也は、そのたった1つの例外を放つべく息を吸い、一息に言い放った。

 「――――――此の者想いし最愛の人(両儀式)!!!」

 その名は、いつか彼が許(はな)さないと誓った人の名。
 彼がその名を呼んだ瞬間、式の中に何かが流れ込んだ。
 それは、遠い日に亡くしたはずのものだった。

 「し……織?」

 式の中の織はそっと微笑み、その身を1本の日本刀に変え、式の手の中に現れた。
 式はその刀、九字兼定を抜き、体中に溢れ出す力を感じながらゆっくりと構えた。
 そして、迫ってくる相手を一息で斬り伏せた。

 「お前がオレだというのなら、大人しくオレに帰れ。」 
 「か……ふっ……ふふふ、そっか。私はこのために呼ばれたのかも知れないわね……」

 そう言いながら、両儀式は音もなく消えていった。
 式の手の中の刀は消えている。
 式は、ゆっくりと幹也に向き直った。

 「さて、幹也。お前には少し聞きたい事が……」
 「うん、分かってる。ごめん、式。僕は君を傷つけた。」

 式が言い終わる前に、幹也は答えた。
 幹也はとても辛そうな笑顔をしていた。

 「……式。橙子さんからどこまで聞いたんだい?」
 「魔力を補給するためにお前が女を抱いていたことは聞いた。でも、お前は!!」 
 「……そうだね。僕が君を裏切ったことには変わりない。……正直、君のそばに居る資格なんて無いのかもしれない。」

 式は此処で気が付いた。
 幹也は、本気であの女に靡いたわけではなかったことに。

 「幹也、お前……」
 「ごめんね、式。会えて嬉しかったよ。じゃあ……」
 「お、おい!!」

 幹也は式に背を向けて歩き出した。
 式は幹也を追おうとしたが、追う事が出来なかった。
 幹也の言葉は式にかなりのショックを与えていたからだ。
 しかし、その幹也の前に1つの人影が立ちはだかった。

 「……どいて、くれないかい? 文さん。」
 「嫌です。絶対に退きません!!」

 その人影、文はまくし立てるように言い放った。

 「幹也さん、貴方は両儀さんに会うためにあんなに努力してたのに、こんなのってないです!!」
 「だけど……うっ」

 幹也が何か言おうとした瞬間、乾いた音があたりに鳴り響いた。
 文が幹也の頬を張り倒したのだ。
 宝具を使って体力を消耗していた幹也は、その場に倒れこんだ。

 「……私知ってるんですよ? 私が休んでる間もずっと彼女の情報を集めていたのも、
 とっくに両儀さんのこと見つけてたのに、私に付き合って会いに行かなかったことも。
 もう、本当にお人好し過ぎますよ。折角見つかったのに、私との約束を律儀に守ってんですから。
 それで見失わないようにずっと力を使って、魔力切れ寸前まで気が付かないなんて、馬鹿にも程があります。
 ―――だから、ちゃんとその分は報われなきゃ駄目です、幹也さん!!」

 文は、言い終わる頃には涙目になっていた。
 幹也は目を伏せ、何も言わない。
 式は、ゆっくりと幹也に近づいていった。
 そして、幹也を後ろから強く抱きしめた。

 「し……き……?」

 式の眼には涙が滲んでいた。
 その涙の半分は幹也を信じてやれなかったことへの後悔の涙。
 もう半分は、幹也がずっと自分を想っていたことに対する喜びの涙。

 「式……僕は……君を……」
 「ああ、確かにお前はオレを裏切る行為をした。今、凄く頭に来てんだ。

 ――――――だから、今度はオレがお前を許(はな)さない。泣いて喚いたって許(はな)してやるもんか。」

 それを聞いて、幹也は微笑した。
 以前ほどではないが、それでも少し影はなりを潜めていた。
 2人は少しの間そのまま動かなかった。

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 しばらくして、2人は立ち上がった。

 「そろそろ行くぞ。橙子がお前を連れ戻して来いと言ってたからな。」

 そういい、式が幹也の手を引く。

 「うん。それじゃあ帰ろうか。」

 幹也はその手を握り返した。

 「…………」

 文は、1人その様子を見ていた。
 が、それを見ていると、何故か切なくなっていた。
 自分の居場所がなくなってしまうと言うような不安を覚えた。
 そして、気が付くと、幹也の手を握り締めていた。

 「あ、文さん? どうかしたの?」
 「あ……」

 文は、自分の取った行動の意味がよく分かってなかった。
 文はその場で少し硬直していた。
 すると幹也は、その手を軽く引いて、

 「文さん? 一緒に帰りましょう?」

 と言った。
 その言葉を聞いて、文は無性に嬉しくなった。

 「は、はい!!」

 そう元気に返事をする文の反対側では、

 「……このお人好し。ほら、さっさと帰るぞ!!」
 「あ、ちょっと!! 速いって式!! もっとゆっくり歩いてくれ!!」
 「うるさい!!」

 と言って、少し拗ねた式が早足で幹也を引っ張っていた。


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【一日目・21時45分/金星・某廃ビル前】


【射命丸文@東方project】(マスター)
【状態】健康
【装備】手帳@現実
【道具】不明
【思考】 基本:真実を新聞にして客観的に皆に伝える
1:どうしよう……
2:この聖杯戦争を生き延びる
3:元の世界に皆で帰る方法を探す
4:何でこんなに不安なんだろう?

【黒桐幹也@空の境界】(クラス・サーチャー)
【状態】健康
【装備】エーテライト
【道具】不明
【宝具】此の者想いし最愛の人(両儀式)
【思考】
1:式やその他の知り合いを捜す
2:文を手伝う
3:橙子達も手伝う
4:式に会えて嬉しい


【両儀式@空の境界】
【状態】健康
【装備】不明。
【道具】支給品一式。
【思考】
1.工房に帰る
2.幹也を許(はな)さない

※幹也の宝具でもあります。
真名開放すると、大抵のサーヴァントとは互角以上に戦えます。


【『両儀式』@空の境界 消滅確認】
最終更新:2009年07月31日 00:33