「英霊」◆39/WWxs9O1sは実際の所、身体能力のみならばただの人間と大差無い。
とある人型兵隊カストと、とある支配者カストの間に生を受けた彼には、兵隊カストの力と、支配者カストの知が混在していた。
それは支配者カストとしては驚異的な身体能力ではあるものの、
精々現在に生きる我々人間の平均的な身体能力と同程度の力でしか持ち合わせておらず、特筆すべき事項ではない。
ただし……知の面においては、彼は極めて特殊な力を二つ有していた。
「さて……分析開始といくか」
その力とは、書き手に欠かせない
二つの力、「読む力」と「創る力」を、極限まで昇華させた力。
「読む力」……文中に潜むフラグを、作者の意図を見抜く力は、万物を解析し尽すほどの分析力となった。
「へえ……この『肉の芽』ってのは要するに吸血鬼が使用する洗脳装置か。
こんな趣味の悪い品に犯されて、この少女、鏡音リンは家族である弱音ハクを殺害しちゃったのか……反吐が出るね」
その力で「肉の芽」ならびに「鏡音リン」の分析を終えた◆39/WWxs9O1sは、そんな感想を抱く。
「嗚呼、しかし全くもって下種な奴だ。こいつは洗脳される前から姉妹である
初音ミクを殺害しようとしていた。
こんな奴……生きてたところで未来にとって有害なだけだよな。鏡音リンには初音ミクと類似している遺伝子も含まれていることだし、いっそ利用してやるか」
坊主憎けりゃ袈裟まで憎い。と言うわけでは無い。
しかし、未来で39/が誕生する可能性を少しでも減らせるのならば……抹殺対象をミクと6/の二人から、二人に関わるもの総てと変更するのも、悪くない。
「狂った考え方かもしれないが……その狂った考え方で真に狂っている未来を変えられるのなら、いくらでも狂ってやるよ。
よし、じゃあいっちょこいつを改造、洗脳して二人への刺客にしてみるかな。丁度いい改造案も浮かんできたことだし」
言うが早いか、◆39/WWxs9O1sはまるでプラモデルを扱うかの如き軽々しさで、リンの身体を分解し、内部の回路に手を加えていく。
これが、「創る力」が発展した◆39/WWxs9O1sのもう一つの能力、万物を創造する程度の発想力。
先程、リンの肉の芽を取れたのも、持ち前の発想力で「肉の芽の取り方」を創造したからである。
「面倒臭い改造描写は省略して、完成……と。『鏡音リン改』起動!」
「…………はい、マスター」
◆39/WWxs9O1sの声に呼応してリンの瞼が開き、ゆっくりと立ち上がる。
外見的にはボディに多少継ぎ目が見受けられるのみで特に変化は無いが、尻の鞭の後は消え去っていた。
また、当然ながら全裸のままだった。
「マスター、御命令を」
「6/と初音ミクを殺せ……あ、その前に動作テストでお前の前マスターの
DIOって野郎を殺してこい。
そいつ一人殺せないようならあの二人を相手にするのは無理だろうしな。で、殺害に成功したら次は二人を殺しに行け。
全部終わったなら……自爆でもすればいいんじゃね」
「……了解しました、マスター」
主の命令を記憶回路に認識すると、新たに内蔵された飛行装置でリンの体は宙に浮かび、
「行って参ります」
次の瞬間には、空の彼方に消えていた。
「ふう……やっぱりロボットは男の浪漫だよな。
さて、じゃあ俺は次の策を練るかな。一刻も早く、奴らを確実に抹殺する手を『発想』しなければ」
【◆39/WWxs9O1s@未来】
【状態】健康
【装備】万葱筆
【道具】支給品一式×2、デリンジャー、ノートパソコン
【思考】基本:「39/」の存在をありとあらゆる世界から消滅させる
1:◆6/WWxs9O1s、初音ミクのどちらか、できれば両方を抹殺する為の策を練る
2:できることならば、二人に関わった全ての存在をこの世界から抹消したい
全ては急速に変わった。
少女はついに「力」を得た。
少女がずっと望んでいた「力」を。
しかし、その「力」は本当に少女が望んだ「力」だったのか。
今の少女には、わからない。
全てが、そう、嘘なら。
本当に、よかったのにね。
【二日目・11時40分/新惑星のどこか】
【鏡音リン改@ボーカロイド】
【状態】強化、改造、洗脳済み、全裸
【装備】なし
【道具】なし
【思考】
1:◆39/WWxs9O1sに従う
2:DIO、初音ミク、6/の抹殺
最終更新:2009年10月19日 00:22