(今日の来客数はゼロか……まぁ、良い茶を煎れることができたのだ。そう悪くない一日ではあったな)
お気に入りの曲『艦隊戦』を聴きつつ、紅茶を口に運ぶ。私は食事後のティータイムを楽んでいた。
(明日も良い茶を煎れられればいいが……しかしあの店、気に食わん)
忌々しげに向かい側の店舗へ視線を向ける。この時間だというのに、未だ客足が途絶える事は無いようだ。
我が店の方が味も値段も勝っているのに…… と独りごちているそのとき、何時の間にか店の前にいた少年と目が合った。
「すいませーん。まだ営業してますか?」
* * * *
「この紅茶、すごく美味しいですね。とても商店街の喫茶店で出されるものとは思えない」
「うむ。素材から注ぎ方まで、細心の注意をはらってできた茶だ。そこらの店のものには負けん自信がある」
シロッコは思わず頷く。今日初めての客、しかもまだ紅茶の味も分からないだろうと思っていた少年に絶賛されたのだ。つい言葉が多くなる。
「君のような違いがわかる人が多ければ良いのだがね……見たまえ、向かい側の店を。
今流行りのメイド喫茶とやらのようだが、味は普通で値段は通常の店の20%増し、各種サービスを含めると3倍にもなる。
店員の容姿だけで賑わう喫茶店……これでは民衆に品性を求めるのは無理というものだ」
深くため息をつくシロッコ。
「でも仕方ない事だと思います。いつ殺されるか、死ぬか分からないのですから……
メイドさんと接することで心が安らぎ、楽になれるから利用するのでしょう、きっと」
少年は再び向かいの店に目を向ける。メイドに見送られ、幸せそうな顔で店を出る客の姿がそこにあった。
「誰にでも安息の場は必要です。あの店がなければ、自殺したり殺人を犯す人がいたかもしれない。
心の拠り所を提供できるあの店は素晴らしいと思います」
少年らしからぬ考えに、シロッコは思わず少年を見る。
「勿論、この店もそうです。この紅茶で癒される人も必ずいます。少なくとも僕はこの紅茶に、あなたに会えて良かったと思っていますから」
「ん……そうか。そう言ってもらえると嬉しい」
少年の輝く目に照れたシロッコは、それを隠すためにカップを傾けた後、話題を変えた。
「ところで君は空を飛べるようだな……もしよければ、我々と行動を共にしないか?
実はこの商店街は、主催者に対抗する者達を集めているのだ。飛行能力は大きな戦力になる」
「……僕には、全国で苦しむ人達を助ける、という使命があります。これは僕にしかできないことなんです」
「……」
少年独りでできることなど、たかが知れているのではないか? とでも言わんばかりのシロッコの表情に気づくと、
「これをどうぞ」
少年は己の頭部を掴み、一部を勢いよく引き剥がした。
予期せぬ事態に凍りつくシロッコ。しかし少年は何も無かったかのように話を続けた。
「僕の頭部はアンパンでできているんです。勿論食用ですし、支給品が『癒しの杖』だったのでいくらでも修復できます。
もっとも、『癒しの杖』と言っても僕の頭にしか効果がない、欠陥品のようですが……」
頭部を修復しつつ、どうぞ、 と差し出したアンパンをなんとか受け取り、店主は震える手で口へもっていく。
アンパンとはいえ、人の顔を食べることには、かなりの抵抗があるのだろう。やがて意を決したような表情をし、口に運んだ。
「これは……!」
「どうです、なかなかのものでしょう? 僕らの住む所で一番のパン職人が作ったものですからね。
一度食べるとやみつきになるのも、わかるはずです」
「うむ。……高速で移動し、いくらでも供給できる食料で各地の餓えた人々を救う、か……
成る程、確かに君にしかできないことかもしれんが……」
店主はどうしても僕に留まって欲しいように見える。戦力としては勿論、僕の顔も気に入ったようだ。
「主催者の打倒は賛成しますし、一刻も早くやるべきだと思います。僕も腕には多少の自信がありますし」
「では……」
喜ぶ店主を制し、話を続ける。
「でも、例え今すぐ主催者を倒しても、食料問題がすぐ解決するとは思えません。その間に少しでも餓えた人々を楽にしたいんです。」
「そうか……そうだな、君の言う事ももっともだ。まだ若いのにしっかりした考え方を持っている。私もそうありたいものだよ」
「すいません……お詫びと言えるかわかりませんが、これをお渡しします。」
あらかじめ作っておいた10個程の顔を渡すと、店主は非常に喜んだ。
「この商店街はいずれ対主催者の拠点になるでしょう。これとあなたの紅茶のセットなら、多くの人を集めることができると思いますし、
いざという時の食料にもなると思います。普通のアンパンより日持ちはいいですしね」
「すまないな。私も君に何かできるといいのだが……茶葉くらいしか渡せるものが無い」
保冷庫に僕の顔を入れつつ、何か渡せそうな物がないか辺りを見回している。
「茶葉はこの店の武器ですよ。それにあなたが煎れてこそ使えるものです。」
「しかしな」
「……では、紅茶代を奢ってくれますか? 実は持ち合わせがあまり無くて……」
こちらに振り向き、目を丸める店主。思わず二人同時に吹きだしてしまった。
* * * *
「シロッコさん、東京にはマーダーと呼ばれる多くの殺人犯がいます。事を起こすのは充分に準備を整えてからですよ」
「ああ、アンパンマン君も無理はするなよ」
「それでは……御武運を」
カフェ・ド・パプテマスの煙突から勢いよく飛び出すアンパンマン。
その姿を空の闇に消えるまで見送った後、シロッコは入り口近くに立ててあるボードの前に立ち止まり、大きく一文を書き加えた。
「数量限定メニュー アンパンセット始めました」
【アンパンマン@アンパンマン】
[状態]:健康
[装備]:癒しの杖(顔専用)
[道具]:青酸カリ
[思考] 第一行動方針:空腹の人がいそうな所を探す
基本方針:空腹の人を楽にする
【
パプテマス・シロッコ@ティターンズ】
[状態]:『カフェ・ド・パプテマス』店主
[装備]:『カフェ・ド・パプテマス』
[道具]:支給品一式 アンパンマンの顔×10
[思考] 第一行動方針:店を繁盛させる
基本方針:人を集め、その中から打倒安部政権のメンバーを募る】
【ちゆ@ちゆ12歳】
[状態]:健康
[装備]:『メイド喫茶”禁則事項”』のメイド服
[道具]:支給品一式 支給武器不明
[思考] 第一行動方針:みくるが帰るまで店を守る
基本方針:人を集め、その中から打倒安部政権のメンバーを募る】
【米(おこめ)@おこめにゅーす】
[状態]:健康
[装備]:『メイド喫茶”禁則事項”』のメイド服
[道具]:支給品一式 支給武器不明
[思考] 第一行動方針:みくるが帰るまで店を守る
基本方針:人を集め、その中から打倒安部政権のメンバーを募る】
【うろん@うろんのひとりごと】
[状態]:健康
[装備]:『メイド喫茶”禁則事項”』のメイド服
[道具]:支給品一式 支給武器不明
[思考] 第一行動方針:みくるが帰るまで店を守る
基本方針:人を集め、その中から打倒安部政権のメンバーを募る】
【LLL@777'sLLL】
[状態]:健康
[装備]:『メイド喫茶”禁則事項”』のメイド服
[道具]:支給品一式 支給武器不明
[思考] 第一行動方針:みくるが帰るまで店を守る
基本方針:人を集め、その中から打倒安部政権のメンバーを募る】
※・アンパンマンが渡した顔には毒入りと毒無しのものがあります。
・また、シロッコの店に入る前にトルネコや
朝比奈みくるの店に顔をお裾分けした可能性があります。
最終更新:2007年01月18日 17:46