新惑星・沖縄。その浜辺を、藤岡は一人で歩いていた。
想いを寄せる
南夏奈の名前が放送で呼ばれた時、彼は絶望した。自殺すら考えた。
だが藤岡は、思いとどまった。自分を助けてくれた宮内レンジャーたちの力強い姿が、彼の心の支えとなっていたのだ。
たしかに夏奈は死んでしまった。だが、千秋や冬馬はまだ生きているはず。
せめて彼女たちだけでも守ってやりたい。
自分はあの人たちのようなヒーローにはなれないが、それでも少しでいいから誰かの役に立ちたい。
そんな熱い思いを胸に、藤岡は千秋たちを探していた。
しかし、世界は広い。中学生一人がいくら動き回ったところで、そう簡単に探し人が見つかるはずがない。
「はあ……。冬馬たち、大丈夫かなあ……。他のみんなも心配だし……」
なかなか目的を果たせない焦りからか、藤岡の口から独り言が漏れる。
肉体にも、かなり疲労が蓄積している。歩き通しで、サッカーで鍛えた脚もさすがに悲鳴を上げている。
「そろそろ休もうかなあ……」
再び独白をこぼした藤岡は、どこかゆっくり休める場所がないかと周囲を見渡す。
その時、彼の視界に大きな影が映った。
藤岡は最初、それが何だかわからなかった。いや、正確にはそれを正しく認識できなかった。
今まで、「それ」を写真や映像でしか見たことがなかったから。
彼の近くに現れたのは、熊だった。
「え……。えー!? なんでこんな所に熊が!」
ようやく事態を理解し驚きの声をあげる藤岡だが、カオスロワにおいて「なんで」などという言葉は意味をなさない。
いるものはいるのだ。
ついでにいえば、このロワには熊などより恐ろしい存在はいくらでもいる。
とはいえ一般中学生である藤岡には、熊も充分すぎる脅威である。
慌ててきびすを返し、逃げ出そうとする藤岡。だが疲労と足場の悪さが重なり、少し走ったところで転倒してしまう。
「のわっ!」
不格好に、砂の上に突っ伏す藤岡。彼に向かい、熊は猛然と突き進む。
(や、やばい……!)
藤岡に訪れるのは、このバトルロワイアルが始まってから二度目となる死の覚悟。
だが、今度も彼に死は訪れない。またしても、藤岡はさしのべられた救いの手に助けられる。
藤岡の認識では、それは一瞬の出来事であった。
自分に向かって突き進んでくる熊。それに向かって、別の影が猛烈な勢いで突っ込んでくる。
二つの影が交差する瞬間、刃がきらめく。そして、熊の首が宙を舞った。
「無益な殺傷はしたくないが……。前途ある若者を見殺しにするわけにもいかないからな。
納得など出来ないだろうが勘弁してくれ、熊くん」
その男は刃に付いた血をぬぐい去りながら、自分が切り捨てた熊の亡骸に語りかける。
「あ、あの……。ありがとうございます」
「気にしなくていいよ。困った時はお互い様だ」
おずおずと礼を言う藤岡に対し、男は柔和な笑みを浮かべながら答えた。
藤岡はその笑みに、かつて自分を助けてくれたヒーローたちと同じものを感じ取る。
「ひょっとして、あなたもヒーローなんですか?」
「いや。ヒーローを演じていたことのある、ただの俳優だよ」
穏やかな笑顔のまま、男は名乗った。
「藤岡弘、それが僕の名前だ」
【藤岡@みなみけ】
【状態】疲労、全身砂まみれ
【装備】なし
【道具】支給品一式、不明支給品
【思考】
1:千秋や冬馬を探す
【藤岡弘、@現実】
【状態】健康
【装備】斬鉄剣@ルパン三世
【道具】支給品一式
【思考】
1:弱者の保護
※あくまで「仮面ライダーを演じていた俳優」であり、本郷猛とは別人です
【人食い羆@キムンカムイ 死亡】
最終更新:2009年11月14日 00:18