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……いい加減、腹が減った。

食料はある。だが、落ち着いて食べる場所が見つからないのだ。
どこか建物に入るのも考えたが、そうすると誰かと遭遇する可能性が高まる。

             どくん

(クッ……落ち着け……!この感覚、またヤツらが近づいているのか……?)
自分の力が不安定な以上、今は他人に接触するのは避けるべきだと俺は判断していた。
もっとも、この異常事態のさなかで見ず知らずの人間に危害を加えることを心配するなど
馬鹿げた考えだと笑う者もいるだろうが。ともかく、落ち着ける場所を探してさまよい歩く。

「……ふん、公園か」
いい加減に脚が棒のようになってきた所で、運良く小さな児童公園に辿り着いた。
ちゃんとトイレが設置されているのを発見し、安堵する。
やはり、食事を取るならあそこしかないだろう。
俺にとっては便所で昼飯を食うことは日常的なことだったので、落ち着いて食事が楽しめるはずだった。
「おい、テメェ」
「!?」
と、気が緩んだところで声を掛けられる。振り向くと、そこにはモヒカンの男が三人。
(な、なんだこいつら……?)
鋲付きのレザージャケットとパンツに身を包み、それぞれ剣、ボウガン、火炎放射器で武装している。
彼らは通りすがりのハードゲイか、それとも世紀末的な野盗か。
ただ、少なくとも友好的には見えなかった。

「飯、持ってねぇか」
「汚物は消毒だ~っ!」
「無ければテキトーな支給品でもいいぜ」
「そうだな、銃かなんかあればいいな」
「汚物は消毒だ~っ!」
「そんでもってケツ貸しな」
「その後、死ね」
「汚物は消毒だ~っ!」
つまり、彼らの言い分はこうだった。
『持ち物をよこせ。犯させろ。そして死ね』
最悪なことに、野盗とゲイの両方だったらしい。消毒がどうのというのはよくわからないが。
「……」
さて、どうしたものか。
「おい、早くしろよ。殺すぞ」
対応を思案していると、彼らの一人──剣を持った男だ──が一歩近づいてきた。


             どくん


……まずい、また暴れだしてきやがった。
「が……あ……離れろ……死にたくなかったら早く俺から離れろ!!」
「なんだと?」
「んんんー?今、何て言ったんだぁ?死にたくなければ、何だって?」
「汚物は消毒だ~っ!」
幸い、“覚醒”はすぐに抑えることが出来たが、
眼前の彼らは俺の警告を陳腐な挑発だと受け取ったらしく
今にも飛び掛ってきそうな勢いだった。
こうなった以上、口先でどうこう出来はしないだろう。それならば……
「ふん……小うるさい奴等だ……失せな」
俺は最後の警告を彼らに与えた。
「あン?」
「クソガキが、調子乗ってるんじゃねぇぞッ」
「汚物は消毒だ~~~~っ!」
激昂して襲い掛かってくるモヒカンザコ。
愚かな彼らを哀れに思いながら、俺は腰のベルトに差している「剣」を握った。
途端に俺の意識が薄れ、入れ替わりに「剣」に宿る魂が俺の体を支配していく……

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

どれくらい経ったのだろうか。我に返ったとき、俺はまだ公園の入り口にいた。
絡んできたモヒカン三人組は地面に寝転がり、呆けた顔で空を眺めている。
恐らく、俺の体を一時的に乗っ取った「剣」に斬られたのだろう。
「肉体ではなく、邪なる魂だけを斬る。それがこの邪魂滅殺剣だ」
魂から戦意だけを切り離された彼らに向かって言ってみる。
恐らく彼らには聞こえていないことは分かっていたが。
「……ふん、他愛の無い」
モヒカンどもは相変わらず放心状態だった。
しばらくは今のようなショック状態が続くだろうが、
まぁどうせ小一時間も経てば直るし、賊ごときに立ち直るまで付き合う義理も無い。
動かなくなった彼らを放置して、俺は食事と休息のためにさっさとトイレへ入った。
小汚い公衆トイレのツンとしたアンモニア臭が、俺の心を和ませる。
空きっ腹を意識しながら鞄から食料を取り出そうとしたとき、
タイル張りの床の上にある金色の塊が目に入った。
「……?」
恐る恐る近づいて拾い上げてみると、どうやら人工物のようだった。
しばらく観察して、ようやくそれが何であるのか気付く。
「フッ……どこのどいつだ。こんなものを作ってここに置いたのは」
何の酔狂だろうか。それは、黄金に輝く拳銃だった。


三日目 栃木県 小さな児童公園 14時】

【吉岡邪気@邪気眼のガイドライン】
[状態]:空腹 不安定
[装備]:邪魂滅殺剣(魔剣デウス・エクス・マキーナ)@魔剣Ⅹ、黄金銃@007ゴールデンアイ
[道具]:支給品一式
[思考]
1:主催者と“ヤツら”との関係を確かめる
2:邪気眼をうまくコントロールできるようにする

※魔剣の思考
1:自らの個体名を「邪魂滅殺剣」と認識。
2:今のところ状況を把握できていないので、主体的に誰かの体を支配しようとはしない。
3:でも、邪気よりふさわしい者がいれば、さっさと使い手を乗り換えたい。

【モヒカンA@北斗の拳】
[状態]:空腹 闘争心なし
[装備]:剣@北斗の拳
[道具]:支給品一式
[思考]
1:平和が一番
2:食料を探す

【モヒカンB@北斗の拳】
[状態]:空腹 闘争心なし
[装備]:ボウガン@北斗の拳
[道具]:支給品一式
[思考]
1:平和が一番
2:食料を探す

【「汚物は消毒だ~!」のモヒカンⅢ@北斗の拳】
[状態]:空腹 闘争心なし
[装備]:火炎放射器@北斗の拳
[道具]:支給品一式
[思考]
1:自分と同じ火炎放射器を持った兄弟たちを探す
2:平和が一番
3:でも汚物は消毒したい



最終更新:2007年01月21日 14:39