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大田区の片隅で核が炸裂する中、イナバ製作所は非常に慌ただしい雰囲気だった。

「そんな敵、本当にいるの?」
「ああ、お前達蓬莱人すら殺せる存在らしい」
「ちょっと戦ってみてぇな……駄目か?」
「駄目だ」
「あややや……でも、これだけ人がいればおいそれと攻められますまい!」
「私がその敵だったら、密集地帯には上空から爆撃してますよ?」
「人が集まれば確かに攻めにくいのも道理ですが、同時に一網打尽にされる恐れがありますからねぇ。
実際過去の犯罪にもそのようなケースがあるわけでして……」

黒桐幹也の能力によって判明した、未知の怪物の存在。
この情報に、仮眠室に集まった参加者の意見が違えた。
強敵には力を集結させて戦うべきだ、
数の力でどっしりと今までと変わらず籠城すべきだ……
『イナバ製作所にこのままとどまる』意見もあれば、
勝ち目のない強敵ならば一度逃げて策が出来てから合流、
対主催の生存確率向上のために各地にばらける……
『即刻イナバ製作所から離れる』意見もあった。

「戦力分散は危険かもしれません、ですが……万が一を考えてみてください」

そんな飛びかう意見のなか、警視庁特命係・杉下右京は落ち着いた声で言葉を続けていた。
ちなみに今の彼は全裸ではない。
妹紅の激しい抗議と、右京の全裸は文化論がぶつかり合った結果、
それぞれの支給品から一部を拝借し、胸部には二つの蜆を、股間部にはホウレン草を張りつけ、
『限りなく全裸ではあるが全裸ではない格好』で妥協された。
何も知らない人が見たらまず間違いなく警察に通報されるだろうが、
そんな格好の右京の話を、仮眠室の参加者達はやがて静かに聞くようになった。
「あと三時間で訪れる未知の存在……それも恐ろしいですが、敵はなにもその存在だけではない。
一向に減る気配のない死者の数……これはつまり、それだけの殺人犯がいることになります。
私には、そちらの存在も気がかりなんですがねぇ……」

右京の話は、もっともであった。
確かに未知の存在も恐ろしくはあるが、怪物はそれだけではない。
既にこの数時間だけで、
悪の巨大組織ショッカー軍団に襲われ……
味方とはいえイナバの壁を容易くぶち抜く防衛メカがやってきて……
見せ場はなかったが、誰かの命令でここを狙っていたと思われる剣士が奇襲してきて……
かつて絶対無敵の要塞、この世界の聖域とまで思えたイナバ製作所の姿は今はもうない。
今、こうやって話をしている間にも、未知の怪物とは異なる怪物に襲われないとも限らない。
それならば分散して、各地で危険の芽をつんだほうがいいのでは?
そして、仮眠室のベッドの下に転がっていた一冊の本。
たまたま右京が見つけたこの本が、参加者達に決心をさせた。

『殺し合いの会場で大人数で固まったりカレー食ったり籠城すると死ぬ』

それはそれは、酷いタイトルで、しかし何故か説得力のある本だった。

そして、参加者は動き出す

「確かに、その未知の怪物は無視できませんが、私にはあのデコ一味も無視できません。
あれも野放しにすれば、やがて皆を、この星を、全てを破壊しかねない存在です」
「蓬莱人を殺せる存在……そいつと戦って本当に殺されるなら、私はそれまでにせめて皆の仇を討ちたい」
「私は陽が昇ればまた動けなくなるでしょう……それまでに出来ることを精一杯やりたいです」

少女二人と眠る男二人をベッドごと担ぎ上げ、自分が開けた穴よりメカが飛び立つ。

「私はそうですねぇ……こちらの古畑さんと黒桐さんが目覚めしだい、ショッカーを少し探ってみます」

ベッドに腰掛け、ホウレン草の隙間から何かを見え隠れさせながら刑事は思案にくれる。

「やっぱ三時間後の敵より目の前の敵だよなぁ。あいつら大丈夫かな……」
「ライダー達もそう容易く負ける相手ではないだろうが、こうなった以上救援に行くぞ」

この戦いにおいて切り札となる存在を従え、姉妹は正面口へと向かう。

「では私達は……」
「まずは地下にいるだろうギリアム達に未知の存在を教えるのが先じゃないか?」
「それもそうですね、早く知らせないと……」

サーヴァントを欠いた状態のサーチャー達は、未だ地下室で調べものをしている三人を探しに向かう。


三時間後の敵よりも、今いる敵に集中する……
仮眠室の参加者達が出した答えは……
正しかったかもしれないが、しかし、あまりにも遅すぎた
すでに、刺客はすぐ、そこまで、来ていたのだ


「おーっと、首輪をつけてないうえに変型しているアホメカをはっけぇぇぇんん……」
「何者だ!?」
「我は『首輪』なり。貴様には我が直々に手を下してやろう」

「このまま皆殺しにしてやるのだああああああ!」
「お前は!?まさかあの仮面ライダー達が……!?」
「俺にはわかる!この地下室に!物語の核心に迫るなにかがある!」
「また全裸の男!?」

「そういえば、私達と同じように洗脳されていた彼は無事でしょうかねぇ……」

三日目・3時15分/新惑星・イナバ製作所近辺】
【鷹の爪組】
1:『首輪』に対処
※持ち物変化、蜆×2とホウレン草が杉下右京のもとに
【英雄組】
1:スーパーアポロガイストに対処
【探索者組】
1:タィケボロに対処
【刑事組】
1:気絶からの回復を待つ
※持ち物変化、杉下右京蜆×2とホウレン草を装備
最終更新:2010年03月05日 00:34