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群馬県――
村田源二郎は新たなる食を求めてさまよっていた。
「そこの人間……」
そんな彼に声をかける存在がいた。
源二郎がそれに反応し、空を見上げるとそこには桜色の竜が羽ばたいていた。
「そう、そなたじゃ。そなたが――」
竜の言葉を待たずして、源二郎――いや、捕食皇は飛び掛った。
このカオスロワに参加させられて初めて出会った人と竜の肉。
彼はその味の虜となっていたのだ。先ほどの竜とはどのように味が違うのか……
それを考えるだけで、捕食皇の身体能力は限界を突破していた。
たとえ強靭な肉体を持つ竜でも、鱗や皮膚ごと噛み千切れる顎力もそのひとつ。
「っ!」
「! うーーまーーいーーぞーーーー!!!!」
瞬きする間もなく捕食皇は全身から怪光線を放ち、竜の胸部を抉り食っていた。
捕食皇も竜の味が気に入ったらしく、すぐさま『二口目』を口にしようとする。

「フフッ……随分やんちゃな子じゃのう。
 じゃが、生憎戯れている余裕はないのでな。さらばじゃ――」

だが、二口目よりも前に、捕食皇の胸部が突然ごっそりと抉られた。
あまりに突然。今の捕食皇なら竜の爪牙でも見切れる筈だが、全く反応が出来なかった。
何が起きたかのか理解するよりも前に、捕食皇は自分の胸元を見て思う。
自分の体も旨かったのではないか……?
それが、かつて味皇と呼ばれ、捕食皇となった男の最後の思考だった。

【味皇(村田源二郎)@ミスター味っ子】 死亡確認

「うぅ、結構痛いの……ほれ、朋友ニアラよ、今また甦れ」
「―――――――? ここは?我は食われたはずだが……」

捕食皇を殺した竜が念じると、なんとそこには食われた筈の神龍ニアラが甦っていた。

「! 貴様、真竜2nd・母真竜NDか!?いままで何をしていたのだ!」
「ふぅ、わざわざ胃の中の肉片を集めて……ワラワの作った幻体をベースに蘇生させたというに
 少しは感謝の言葉があってもよいと思うがのぅ……真竜3rd・真竜ニアラよ?」

甦るなりそうそう文句をたれるニアラに対し、NDと呼ばれた竜は深い溜息をついた。
彼女はニアラと同じ真竜であり、階級はニアラよりもさらに上の№2だった。

「甦らせてくれたことに礼は言うがな……
 今の我はもう真竜ではなく神龍なのだぞ?いつまでも偉ぶっていられると思ったら……」
「ほう、やるのかえ? ワラワに言わせればそなたもまだ子供に過ぎぬが……」
「我は今虫の居所が悪いのだ! 神の力をくらうがいい、アルマゲスト!」
さすがはあっさりと部下を盾にする冷酷なるニアラ。
自分を蘇生してくれた仲間にも容赦なく八つ当たりの最強魔法を発動させた。

「ぐぅ……! なるほど力は遥かに増したようじゃの。だがまだ青い……」
「!? しまっ……グアアアアアアアアアア!!」
だが、NDがアルマゲストを被弾すると同時にニアラも同エネルギーの攻撃を受け地に落ちた。
「痛いのぉ……母になんてことをするのじゃ」
「ゲホォ……! 誰が貴様の子か! 貴様こそ必殺技で反撃するな!」
「なんのことじゃ? ワラワの『因果』は受けた傷をそのままそっくり返すだけの陳腐な技じゃぞ?
 1には1でしか返さぬ。100には100で返すがの。傷を負いたくなければ、ワラワを虐めなければよい」

ニアラが固有能力『百華繚乱』を持つように、NDも固有能力『因果』を持っていた。
しかる報い、自身が受けたダメージの合計値を相手に跳ね返す技である。先ほど捕食皇を倒したのもこれだ。
因果によりアルマゲスト分のダメージを受け、悔しげに歯軋りをしながらニアラは起き上がった。
なんで復活早々こんな大怪我を負わねばならないのか……と。
だが原因が自分にあることには気づいていない。

「ずっとそなたを眺めておったぞ。愛しいワラワが子らが神はふりの力を手にしたこと、なんと喜ばしい。
 ……そなたが力に溺れ過ぎたのも屠られた原因のひとつじゃろうがの」
「貴様! 我のピンチを自分専用の影世界から眺めるだけは酷すぎるだろう!?」
「うむ、それが原因での……危うくズガン師にこの世界で知り合った天空竜もろとも殺されるとこじゃった。
 この体は真躯ではなく幻体じゃが、痛みは感じるからのぅ……ワラワは痛いのは嫌いだというのに……
 こうしてこの世界に引きずり出された以上、ワラワも戦わざるを得ない……」

それを聞いてニアラは若干歓喜した。
気に食わない仲間ではあるが、NDの因果を使えば、あの変人……というか超人のデスゾーンも怖くない。
いくら強くとも、竜と人間とでは基礎体力値が大きく異なる。
必中反撃4000000のダメージを受ければ、憎憎しい連中を一網打尽にできる。
よし、そうと決まれば……
「ではさらばじゃニアラ」
「ってちょっと待てー!」
しかしNDは傷の回復もそこそこにどこかへ飛び立とうとしていた。
「なんじゃ?」
「なんじゃ?ではない! どこへいくつもりだ!我と協力して家畜どもをだな……」

慌ててNDを引きとめようとするニアラだが、NDは首を横に振った。
「なにをいうておる。そもそもじゃな、そなたは人を家畜呼ばわりするのが駄目なんじゃ。
 自分が生み出した種じゃぞ? 必然的に愛着もわいてくるというもの……
 そなたは食糧としてしか見ておらぬようじゃが、ワラワからすれば皆かわいい子。
 その成長を見守り育て、愛でるのも母の役目ではないかえ? 今はそんな気分なのじゃ」
「なん……だと……?」
「朋友故に甦らせはしたが、ワラワは子らを助ける側にまわろうということじゃ。
 もっとも、愛しくて愛しくて愛しすぎてめちゃくちゃに引き裂いてしまいたくなるかもしれぬがの……」
「やはり貴様はどこか狂っているぞ……? もうよい!我ひとりでやってやる!
 まずはどこぞの潰れた店から人間ではない非常食を確保して……」
「あ、それ無理じゃな。ワラワにもそなたにも、首輪がつけられてしまっておるからの」
「なぁ!? いつのまに!」
「せいぜい頑張ることじゃな。ワラワはもう行くぞ」
それだけ言うと、NDは翼を拡げて朋友の下から飛び去っていく。
そして、舌打ちをしつつニアラも別方向に飛び去っていった。

三日目:15時00分/新惑星:群馬県】

【母なる竜『ND』@セブンスドラゴン】
【状態】ダメージ(中)魔力消費(中)
【装備】首輪
【道具】支給品一式
【思考】
基本:ロワが終わるまでは人間を守る側につく
1:ニアラは見守るが協力はしない
2:首輪を外す

【幻体神龍ニアラ@セブンスドラゴン】
【状態】ダメージ(中)
【装備】首輪
【道具】支給品一式
【思考】
基本:下準備をしたうえで、主催含む全ての人間を食う
1:今度は頭脳プレーを心がける。NDは気に食わないが放置
2:首輪を外す
※ありあわせの幻体のため耐久力がだいぶ下がっています
最終更新:2010年06月02日 00:17