アットウィキロゴ
「テラカオスバトルロワイアル」が呪われたスレだって聞いたことはないか。
まあ、聞いていたって聞いていなくたって構わない。もう始まってしまったんだから。
ぼくは噂を聞いていた。
交流所住人が言っていたのだ。奇妙な声が聞こえると。

あの時ぼくは一時間近くモニターを見つめていた。
そう、ちょうど今のあなたのように。
ただし立場がちょっと違う。
ぼくはあるロワスレの書き手だった。
カオスロワに投下するのは初めてだった。

自分でいうのもなんだが面白いSSに仕上がろうとしていた。
初めてそいつを見たとき、ぼくはあまり気にならなかった。

モニターの向こうでちらちら動くものがあった。
はっと視線を移すと何もない。
モニターを見始めると現れる。
人影に見えた。
どうやらこちらの様子を伺っているようなのだ。
ぼくがSSを書いていたのはネットカフェだった。
その時は午後十一時を過ぎていたが、まだまだ客は残っていた。
だから当然その一人だと思った。

それでも記憶に残ったのは、同時に声が聞こえたからだ。
掠れた囁き声が耳元で聞こえた。何を言っているのかはわからなかった。
はっとして周囲を見回したが誰もいなかった。
その日から人影を頻繁に見るようになった。

店のショールームの後ろに。見上げたマンションの窓に。
地下鉄の反対側のホームに。食事中のテーブルの向こうに。
そいつは次第に大胆になってきた。
積み上げた資料の山の間から腕を伸ばす。
部屋の扉の隙間から覗く。
閉じた本から指のようなものが現れる。
やがてそいつらの声も聞こえ始めた。
最初に聞こえた、あの耳障りな囁き声だ。

病気だと思った。医者に行くとノイローゼだと言われた。
心当たりはある。元々いたスレでの予約期限が迫っていたからだ。
疲れていた。安定剤をもらってぼくは帰った。

その翌日だ。ぼくは久し振りに女友達を食事に誘った。
その帰りだった。
ぼくたちは通りを外れてぽつんと取り残されたようなプリントマシンを見つけた。
見知らぬキャラクターに挟まれてぼくは決定のボタンを押した。

そして出てきたプリント。
彼女とぼくの顔の間に、蒼褪めたそいつの顔があった。
今までと違って、表情のようなものが見てとれた。
その眼もその鼻もその口も、物語ることはただひとつ。
恨みだ。

毒液のような呪いがその顔から汗のように滴っていた。
彼女が悲鳴を上げた。
それをどのようにとりなしてどうやって家に戻ったのか、良く覚えていない。

気がつけばいつもの部屋の中でPCを前にしていた。
映っているのは2chプラウザ。
そしてぼくは悟った。やつらの正体を。
やつらは膨大なSSの迷宮の中の死体。
「テラカオスバトルロワイアル」で殺されたキャラクターたちだ。

何度も何度も様々な方法で殺されるキャラクター。
やつらがカオスロワに係わる者たちに復讐しようと現れてきているのだ。

モニターに顔が現れた。
血塗れのそれが玉子なのか織田信長なのか、それともキャプテンなのか、ぼくには区別がつかなかった。
でも大勢の笑い声と肩に触れた堅く冷たい手の感触だけは覚えている。
そして、ぼくは失踪したことになっている。

それでもぼく自身はカオスロワから消えたわけではない。
こうしてここにいるんだからね。
そして、ぼくはこのスレを終わらせようとしている。
さきほどから連投されているSSだ。
無駄だと言う事は分かっている。
例えSSが受け入れられたとしても、何事もなかったかのように再開するだろうと言う事も。

さあ、ぼくの話は終わった。
まだ今の内ならあなたも間に合うかもしれない。
やつらの声をまだ聞いていないのなら。

【書き手@カオスロワ 死亡確認】


最終更新:2007年02月05日 11:09