「殺し合いをしろ……ですか」
東京都の都庁の一室。ここが彼女のスタート地点だった。
赤い髪に華人服を改造したような緑色の服。そして見事な脚線美。
彼女の名は『紅美鈴(ホン メイリン)』。とある館の門番をしている妖怪だ。
彼女は悩んでいた。内容は今後の行動方針について、だ。
「……折角ですから、ここは……」
そして、彼女は決断した。
「休ませてもらいますよ。久しぶりの休日ですからね♪」
乗る気もなければ抗う気もなかった。
自分のご主人? 強いから負けるはずがない。
その妹? 強いから負けるはずが…以下同文。
同僚のメイド長? 強いから……以下同文。
居候の魔女? それなりに強いから……以下同文。
「まあ、どうせいつもの巫女か魔女が何とかしてくれるでしょうね」
そして、彼女がパートナーを探すために外に出ようとした時であった。
「ブルアアアァァァァッ!!」
「うおりゃァッ! でりゃァッ!!」
「!? な、なんですか!?」
彼女がいた部屋の壁が微塵に砕けた。
突如として、現れた二人の男によってだ。
一人は禍々しいまでの気を放っている、如何にも悪っぽい赤い帽子と軍服を被った男。
もう一人は激しさの中に静かに燃える気を放ちながら戦う赤い髪に白い服の青年。
それが気を使う程度の能力を持つ美鈴が感じとった二人の感想だった。
「我がシャドルーの野望を邪魔する小僧! 貴様は一体何者だ! 何故私の邪魔をする!」
「俺の名はフォルカ……
フォルカ・アルバーグ。貴様のような邪悪な覇気を放つ者を放っておくわけにいかないのでな!」
(如何にも悪者の親玉と正義の味方って感じですね……)
「クックックッ、いいだろう小僧、その小娘諸共、我が野望の前に果てるがいい」
「そんなことはさせない!! お嬢さん、ここは危険だ、早く逃げるんだ!」
「ちょ、そんなこと、急に言われても……」
「ただでは帰さんんん!! サイコ、クラッシャァァァァッ!!」
青白いオーラを纏ったベガの突進が二人に迫る。
いわゆる、『サイコクラッシャー』と呼ばれるベガの必殺技だ。
(あっ、これは避けきれませんね。お嬢様、妹様、咲夜さん、パチュリー様、お達者で)
美鈴は半ば諦めていた。しかし、その時である。
その場の雰囲気が急変した。その空間全てが震えるような感覚があった。
「いでよ、覇龍!」
龍、英語で言えばドラゴンである。
フォルカの手から気で出来た龍を放った。
(………えっと、この方は人間ですよね?)
美鈴は驚きを隠せないが、フォルカから放たれた覇龍がベガを飲み込んだ。
これが修羅王、フォルカ・アルバーグの機神拳である。
「な、なんだ、これは!?」
「機神拳の力…その身をもって知れ!」
その場の床にひびが入り、フォルカから凄まじいまでの覇気が噴き出る。
次の刹那、一瞬でフォルカはベガの懐まで入り込む。
そして、フォルカの右の裏拳がベガの顔面にクリーンヒットする。
「おおおおおおおおおっ!!」
凄まじいまでの拳と蹴りのラッシュ。
異常なまでな速さで放たれる拳は正確にベガの急所を貫く。
フルボッコなんて言葉では生ぬるい、世紀末だよ。世紀末。
「でやあっ!!」
「ブルッァァ!??」
フォルカの右拳によるアッパーカット。
ベガの体が天井を突き抜け、夜空に舞い上がる。
(ここ高っ! ってか外嵐ですか!?)
美鈴はやっと今いる場所の状況を掴んだ。
しかし、フォルカはそんなことお構い無しにベガを追撃するッ!!
「機神ッ!! 猛・撃・拳ッッ!!」
最後に華麗な飛び蹴りが決まった。
しかし、思いっきり蹴りなのに拳とはこれいかに……。
そして、フォルカは美鈴がいた部屋の中に着地した。
「あのう、貴方は人間ですか?」
「俺は修羅だ」
「はぁー(何か変な人ですね……)」
美鈴がそんなことを思った次の瞬間であった。
建物全体が大きく揺れ始めた。地震であろうか?
否、そうではない。先程までのフォルカとベガの激戦の結果、都庁の限界を超えたのだ。
何の限界か? それは耐久性の限界である。まあ、当然といえば当然である。
このままでは二人とも身の安全の保障はない。
「で、出口は……塞がってる!? あ、貴方達のせいですよ!」
「……仕方ない、ここから飛び下りるぞ!!」
「飛び下りるって、ここ結構高いですよ!?」
「大丈夫だ、問題ない」
「問題有りまくりですよ!」
美鈴の野暮なツッコミをスルーし、フォルカは美鈴の身体をがっちりと抱える。
そして、フォルカが都庁の壁を蹴り破り、そのまま二人で日本の夜空を紐無しバンジー。
「落ちるぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!!」
「大丈夫だ」
美鈴は絶叫するが、フォルカは涼しい顔を崩さない。
後ろでは東京都庁がダイナマイトで爆破されたかのように崩れ落ちていく。
「今だ!」
「えっ!? ええっ!? えええぇっ!?」
……本日何度目か美鈴の驚き。
なんとフォルカは崩れ落ちていく都庁の瓦礫の上を走っているのだ。
最早、この人、人間じゃないなぁと感じ、笑うしかなかった美鈴であった。
「大丈夫か?」
「ええ……まぁ、はい……あのぅ、フォルカさんでしたっけ?」
「何だ?」
「何故、私を助けたんですか?」
「……あの男(ベガ)を放って置くわけにはいかなかっただけだ。
それが結果的に君を助けることになっただけだ」
(こっちは巻き込まれただけのような気がするんですけど……)
もう呆れるしかない美鈴。
しかし、彼女は話してる内に分かったことがあった。
(この人の『気』……今は穏やかだけど、先程のアレ、すごかったなぁ……
……ここまで鍛え上げるのにどれだけの修練を積んだんだろうか)
気の使い手である彼女は分かった、彼の放つ気は普通ではない。
「……聞いているか?」
「あっ、はい! 何でしょうか?」
「まだ、名前を聞いていなかったな……」
「名前ですか? 良くぞ聞いてくれました!」
いつも本名で呼ばれない妖怪である彼女のテンションはそのフォルカの一言で上がった。
そして、美鈴は高々と自分の名前をフォルカに告げた。
「私の名は紅美鈴です!」
【一日目・0時15分/東京都新宿区都庁跡地/天候・嵐】
【紅美鈴@東方Project】
【状態】健康
【装備】なし
【道具】不明
【思考】基本:未定
1:とりあえず、どうしましょうか?
【フォルカ・アルバーグ@スーパーロボット大戦シリーズ】
【状態】全身にダメージ(中)
【装備】なし
【道具】不明
【思考】基本:殺し合いを止める
1:殺し合いに乗った者は倒す。
【ベガ@ストリートファイターシリーズ 死亡確認】死因:落ちてきた瓦礫に押し潰される。
最終更新:2011年01月25日 09:21