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僕はもう、震えることすら忘れていっそ笑いたいような気分で無人の病室の真ん中に立っていた。
本当に、どうしていつもいつも僕ばかりこんな酷い目に遭うんだ。
それも今回のは、今まで巻き込まれてきたようなたちの悪いイタズラとはどうやら違うようだ。
目の前で惨殺された女性。
そして、僕たちに科せられた「殺し合い」というルール。
いくらあの人たちでも、ここまでの悪ふざけなんかしなかった。

もう駄目だ。
どう考えても、僕のような何の力も無い人間が生き残れるわけが無い。
ならばいっそここで命を絶つってのはどうだろう?
誰も殺さず、誰にも殺されず、人知れず一人で脱落する。
そうだ、それがいい。
丁度バッグのなかには手ごろな刃物も入っていたし、これで喉を一突きでもすれば・・・・・・

できなかった。
もう少し前の僕なら、そうしていたかもしれない。
けど、今の僕には出来ない。
帰るべき場所が、守るべき人が出来てしまったから。
あの人を置いて、こんなところで一人で死んでしまうなんてどうしてもできなかった。
その代わりに沸きあがってきたのは、『帰りたい』という強い思いだった。
こんな場所には一秒だっていたくない。
恋人や、友人や、家族同然の人達が待っているあの場所に・・・・・・帰りたい。
そのためにはどうすればいいんだろう。
そのためには―――

簡単なことだ。
僕が優勝すればいい。
それがどういう意味かなんてもちろんわかっている。それは、人間として最低なことだ。
たとえこんな状況に置かれているからといって、決して許されることなんかじゃないと思う。
だけど、僕は―――
「それでいい」
たとえ許されない罪を背負うとしても。
生き残れた後も、生涯それを背負い続けることになろうとも。
僕は。僕は僕は僕は、
僕は―――


「ったく、こりゃ災難どころのさわぎじゃねえぜ」
病院の廊下を、ひとりごちながら歩く少女がいた。
金箔で出来ているのかと思うような見事な金髪をポニーテールにして、タンクトップの袖口と
カットジーンズの裾から健康的な色に焼けた肌を出している。
少年のようなその口調は、精工な絵画のようなその容姿からはやや想像しにくい。
彼女は他の参加者とは少しばかり違っていた。
「大体俺はさー、カオスロワなんてネタで書いてただけなんだけどな・・・・・・」
そう、ただの暇つぶしだと思って参加していただけ。
なのにある日突然謎の電話で呼び出され、気がついたらあの広間に監禁されていた。
おまけに・・・・・・なんというかまあ、この状況だ。
「SSの中で人を殺した罰とでもゆーのかよ!! とにかく、こんなところで死んでたまるか!! 」
名簿を見ると書き手は自分以外にも小隊長を入れて六人。
中でもルートFの人と◆6/WWxs9O1s氏は、問題行動を起こしたことも無く信頼できそうな相手だ。
まあ、◆6/WWxs9O1s氏はやたらとマーダーを量産したりしていた人でもあるのだが・・・・・・
とにかく彼女は、当面の目標をこの二人と会って情報を交換すること、と定めた。
そうと決まればすぐにでもこの病院を離れたいところだったが、彼女にはそうできない理由があった。
彼女の引いた支給品は任天堂DS。自分がSSの中で登場させた一品だ。ご丁寧にソフトも脳トレだった。
「これも因縁、っていうんかなあ」
要するに、戦力的には丸腰に近いのだ。
今まで書き手としてロワに参加してきていたからこそ、こんな状態でうかつに動くのは危険すぎると思った。
この病院内にでも、使えそうなものがあればいいのだが・・・・・・

「あの・・・・・・すいません」
突然声をかけられて、彼女ははっと身構えた。
そこにいたのは、かつて自分がSS内で動かしたことのあるキャラクターだった。
「白鳥・・・・・・隆士」
「え? なんで僕の名前を? 」
しまった、と思った。あまり不信感を与えたくは無い。
「いや、さっき名簿を確認した時にその名前が目に入ったんでね。ちょっと頭に残ってたんだよ」
「そうですか」
少年、白鳥隆士はそれ以上の追求をしなかった。
「俺は◆qSSOg86y8s。もちろん本名じゃないけど、ここではそういう名前で通ってるらしい」
「はじめまして。◆qSSOg86y8sさんはこの殺し合いには・・・・・・」
「ああ、乗る気は無い。この手のゲームにはな、絶対に脱出する方法があるはずだ。
『対主催エンド』の可能性は必ず残っている」
「あ、あの、よくわからないですけど、僕も殺し合いなんかする気はありません。
だから僕も、あなたのいう「脱出」に協力させていただけませんか? 」
「おうよ、味方は多いほど都合がいいんだ」
白鳥という男のことはよく知っている。
決してマーダー側に回るような人間じゃない・・・・・・◆qSSOg86y8sは、そう考えていた。

白鳥はすでに意を固めていた。
自分が優勝するには、他の参加者すべてが死ぬ必要がある。
全員を自分で殺すのは不可能。ならば、誰か他の参加者を利用する必要がある。
無害な少年を演じて近づき、信頼を得て、その人に強そうな参加者を殺してもらう。
そして、その人が用済みになったら・・・・・・

純真な少年の姿は、すでにそこになかったのかもしれない。


【一日目 3時】
【8-G 総合病院】

◆qSSOg86y8s氏@テラカオスロワ書き手】
[状態]:健康
[装備]:任天堂DS(脳トレ)
[道具]:支給品一式
[思考]
1:人の集まりそうな場所に行く
2:味方を集め、主催者を妥当する

【白鳥隆士@まほらば】
[状態]:健康
[装備]:朝倉涼子のナイフ@涼宮ハルヒの憂鬱
[道具]:支給品一式
[思考]
1:◆qSSOg86y8s氏を、騙せそうな人かどうか見極める
基本方針:ステルスマーダーとして行動し、優勝する



最終更新:2007年02月24日 13:37