「君達は何をしたいんだい? こんなところに連れて来て、わけのわからない事を言って、いきなり人の頭を爆破して……」
緊張感のない声色と表情。自分が置かれた状況をまだ飲み込めてないらしい。
「さっきの説明を聞いてなかったの? しょうがないなぁ、もう一回だけ説明してあげる。
簡単な話だよ。最後の一人になるまで、参加者同士で殺し合いをしてもらうのさ。アンダスタン?」
「ころしあい?」
「そ。後がつかえるから早くデイパックを受け取って、さっさと行ってよ」
早く行かないと首から上が吹き飛ぶよ? と口から出そうになるが、同時にそれは無意味なことかもしれないと思い、喉の奥にしまい込む。
「それがよくわからないんだよなぁ……最後の一人になるまでってことは、かくれんぼや鬼ごっこ
みたいな遊びなのかな?」
今度はデイパックを渡した兵士に尋ねている。こんなおつむで正義の味方が務まるなんて……
「はぁ……イジリーさん、彼をさっさと会場にご案内してあげて……じゃあ次の人――」
困惑した様子の兵士に指示をだし、名簿に目を戻して業務を再開する。わざわざ手を下すのも面倒だ。馬鹿はほっときゃ、勝手に殺されるだろう。
「困ったなぁ、顔がふやけて力がでないや」
手ごろな大きさの岩に腰掛けると、アンパンマンは大きなため息のあとに呟く。
「ドアを出たらいきなり湖の上だもんなぁ」
彼が放り出された先はC-5の湖面だった。幸いにも浅瀬だったために顔全部が濡れることは無かったが、着水時の水しぶきで三分の一近くがふやけてしまった。
「とりあえずこの
ゲームのルールはわかったけど……」
アンパンマンはイジリーと呼ばれた兵士との会話を思い出す。
――あの、『ころしあい』ってどういう意味でしょうか?
――どっちかが死ぬまで戦うってこと
――じゃあ『死ぬ』って何のことでしょうか?
――さっきのババアみたいに首から上を吹き飛ばされたら死ぬんだよ。さぁ行った行った!
「ようするに、他の参加者の頭を外せばいいんだよね。難しい言葉で説明しなくてもいいのに」
アンパンマンは『死』という概念を知らない。彼の世界では怪我をしたり病気になることがあってもそれが元で死ぬこともなく、加齢による自然死すら無い。
当然『死』や『殺す』という言葉すら存在しなかったのだ。
もっともそれは彼の世界での道理であるだけで、当然この会場においては当てはまらない。
「その前に頭を乾かさないと……あ、この中に使えそうなものはないかな?」
しばらく考えた後、彼はデイパックの存在を思い出し漁り始めた。地図、コンパス、名簿、水、缶詰……
「これは……『パンの詰め合わせ』?」
そう書かれたランチボックスを開けてみると、確かにあった。様々なパンが。
ペットボトルに入った透明な液体、白と薄茶色のツートンカラーから成るプラスチック製の直方体、柄がついた鉄製の浅いなべ、C3H8と書かれた小型ボンベ、女性のフィギュア……
「フライパンはわかるけど、他は名前すらわからないや。どう使うんだろう?」
それらを再びデイパックに詰め込み、次は地図を広げる。
「えっと、今いるのが多分C-5で……図書館がH-3にあるんだ。そこで支給品の使い道を調べてみるとして……まずは動植物園に行ってみよう。頭を乾かせる設備があるかもしれない」
デイパックを背負い歩き出すアンパンマン。本当の『死』の意味を知らない、無垢な正義の殺人者の誕生である。
【ロウルート 一日目 0:25 C-5(砂浜)】
【アンパンマン@それいけ!アンパンマン(その他:サブカル類)】
[状態]: 疲労(元気60/100倍)
[装備]:パンの詰め合わせ(トルエン500ml、白牌、フライパン、プロパン500g、彩パンのノーパンフィギュア)
[道具]:支給品一式
[思考]
1:動植物園で顔を乾かす設備を探す
2:図書館で支給品の使い方を調べる
[基本方針]:参加者の首を外す
[備考]
1:顔がふやけて力がでないので、満足に飛べません
2:死の意味を間違って解釈してるので、他の参加者も新しい顔or外れた顔をつければ元気になると思っています
最終更新:2007年02月24日 13:39