「柊……お前、なに死んでんのや……お前が死んだら、お前の姉も、親御さんも、泉も高良も他の奴らも悲しむやろが……」
陵桜学園世界史教師、黒井ななこは一人呟く。
視線の先にあるものは、地面に転がる柊つかさの焼死体だ。
ななこは、未だぷすぷすと煙を上げ続けている教え子の成れの果てにそっと手を伸ばすと、そのまま抱き寄せる。
「スマンな……守ってやれへんかった……。ウチが、もうちょっと早く……ここに来てたら……助けてやれたかもしれんのにな……」
その姿は、死者に許しを乞うと言うよりは。
生徒を守ることができなかった、自分自身を責めているようで。
誰かが止めなければ、きっと彼女はいつまでもその行為を続けていただろう。
だからこそ、彼女の同行者は言った。
「そうやって泣いていても、何も始まらないよ」
「…………キュゥべえ、ちょっと黙っとれや」
「黙らないよ。だって君がそのままじゃ、僕もここにいるしかないんだもん」
同行者――キュゥべえと呼ばれた、イタチのようなウサギのような小動物は、ななこの言葉に構わず続ける。
「君が自分の生徒を亡くして、悲しんでいるのはわかるよ。
でも彼女はもう死んでいて、君がそうしていても彼女に何かをしてやれるわけじゃない。
彼女を殺した悪魔はまだこの辺りをうろうろしているかもしれなくて、もし見つかったら僕らは揃って一巻の終わりだろうね。
だから――」
「うっさいっ!!」
捲し立てるキュゥべえに、ななこは激昂する。激昂せずにはいられなかった。
それだけの感情が、今の彼女の中には渦巻いていた。
「お前に……何がわかるっていうんや……。
柊だけやない……たくさんの生徒がこの殺し合いに巻き込まれて、助けを求めてるっちゅーのに……ウチには、何もできないんや。
ウチには……あいつらを守ってやれるだけの力が無い。……教え子も守れなくて、何が教師や……」
「何もできない、ねえ」
自分には何もできない。
そんな本音を吐露するななこに、キュゥべえは尋ねる。
「ななこにも、何かできることがあるって言ったらどうする?」
「…………え?」
「そこの死んだ彼女を生き返らせることも、これから他の生徒たちを守ることも、主催者を相手に戦うことだってできるよ。
ななこがそれを望むなら、僕はそれだけの力をななこに与えてあげる。ちょっとした条件付きだけどね」
「じ、自分、柊を生き返らせられるんか!?」
「うん、そのくらいのことはできるよ。ああでも、生き返らせるのはバトルロワイアルが終わってからになるかな?
せっかく生き返らせたって、この殺し合いじゃどうせまたすぐに死んじゃうだろうしね。……ただし」
「さっき言ってた、条件ってやつやな……なんや」
その時、黒井ななこは。
目の前の無表情な同行者が、ふっと微笑んだような錯覚を覚えた。
「僕と契約して、魔法少女になってほしいんだ」
【一日目・0時20分/埼玉/天候・嵐】
【黒井ななこ@らき☆すた】
【状態】健康
【装備】なし
【道具】支給品一式、他不明
【思考】
基本:生徒たちを守りたい
1:柊が助かるのなら……。
【キュゥべえ@魔法少女まどか☆マギカ】
【状態】健康
【装備】なし
【道具】支給品一式、他不明
【思考】
基本:???
最終更新:2011年02月01日 00:50