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第一回放送の数分前……

「上条さん……助けていただいてありがとうございました」
「いやいや顔を上げてください!
 そんな、俺はただ俺のできることをしただけですから」
お辞儀をする秋山澪に、上条当麻は慌てて言う。
澪がルールのため仕方なく組んでいた変態紳士クマ吉にレイプされそうになっていた所を、たまたま通りかかった当麻が助けたのだ。
ちなみにクマ吉(7期からの参戦。長野とは別人)は当麻のパンチを食らって失神している。

「でも本当に……ありがとうございます……」
顔を赤くして澪が呟く。もうダメだと思ったときに颯爽と現れて自分を助けてくれた彼は、まるで物語の中に出てくるヒーローのようだった。
「あー、いや、大したことないっすよ、ハハハ……」
顔を赤らめる澪を見てドキリとした当麻は、笑って場をごまかそうとする。


「『お二人の邪魔するようで申し訳ないけど』『どうするんだい上条くん』」
「うおっ!?」
「きゃっ!」
突然話しかけてきた球磨川の声で、二人は思わず飛び上がる。すっかり球磨川のことを忘れていた。
「ど、どうするって何がだ?」
「『おいおい忘れたのかい。』『今のルールは2人以上3人以下でまとまって行動することなんだよ』」
「『今ここにいるのは四人』『上条さん、僕、チェ・サンジュ、変態という名の紳士』」
「『このままだとみんな首輪が爆発して死んじゃうよ』」

そうだ、その事を失念していた。どうするべきか上条は考える。
クマ吉を一人残していく……駄目だ、そうなればクマ吉は首輪の爆発で死ぬ。いくら犯罪者とはいえ殺したくはない。
なら自分がクマ吉と残るか……それは駄目だ。球磨川は邪悪な男だ。澪さんを球磨川と二人きりにするなんて危険すぎる。
ならば球磨川をクマ吉と……駄目だ。球磨川を野放しにしたら大変なことになる。ましてや性犯罪者と組ませたりしたら……。
なら澪さんとクマ吉……ってなにを考えてるんだ俺は!!

そこまで考えて当麻は愕然とする。どの選択をしても、待っているのは悲惨な結果しかない。

「『上条くん、どうするんだい。』『僕たちはどうすればいい?』『決めてよ』」
「『まあどの選択肢を選んでも』『君の生き方はここを境に折れ曲がるけどね』」

球磨川を無視して当麻は自問する。どうすればいい? 最良のハッピーエンドに到るための選択は……


「『……な~んてね☆』『僕がそんな辛い決断を』『大親友である上条君に押し付けるわけないじゃないか』」
「『汚れ仕事は僕がやってあげる。』『僕は上条君のことが好きだから』『戯言だけどね』」

言いながら球磨川は大螺子で倒れているクマ吉の頭を貫いた。血飛沫が飛び散る。

「ッッ!テメェ!」
「『これで僕たちが爆死する心配はなくなったよ。』『君もこうなることを望んでたんでしょ?』」
当麻は球磨川に掴みかかる。だが彼らが言い争う前に
「嫌……嫌ぁぁぁぁぁ!」
澪が二人のもとから逃げ出した。

「って澪さん!」
球磨川の襟首を掴んでいた当麻は、慌てて澪を追う。

「来ないで!人殺し!」
「一人で行動しちゃ駄目……って危ない!」
「えっ?」
嵐で視界が悪かった事と地面がぬかるんでいた事が災いした。
パニック状態で走っていた秋山澪は自分が向かう先が崖になっていることに気付かず
そこから転落した。

「澪さん!!!!」
当麻は崖に駆け寄り下を見る。
澪の体は壊れた人形のようで、首や手足が曲がってはいけない方向に曲がっていた。絶命していることは一目で明らかだった。


「なんでだよ……!!なんで……こんな……!!」
「『視界が悪い中で走ったりしたら危ないのにねえ』」
自分の後ろに来た球磨川を、当麻は振り返りざまに殴った。球磨川の体が吹き飛ぶ。
当麻は球磨川の襟首を掴んで立たせると、さらに二発、三発と殴る。
「『痛い……』『痛いよ上条くん……。』『なんでこんなひどい事をするの?』」
当麻は無視してさらに四発、五発と殴る。
球磨川の鼻と口から血が流れ出し、歯がへし折れる。

「持ってる螺子を全部捨てろ……」
肩で息をしながら、当麻は球磨川に命令する。
「『螺子?』『螺子を捨てればもうこんなひどい事はしない?』」
「いいから全部捨てろ!今すぐに!」
そういってもう一発球磨川を殴る。殴り倒された球磨川はよろよろと立ち上がると、両手に大量の大螺子を持った。
「『これを全部捨てればいいの?』」
そう言うと、凄まじいスピードで螺子を近くの木陰へと投げつけた。

「グェ!」「ウギャア!」「ひでぶ!」

その木陰から人の悲鳴が聞こえた。
まさかと思い当麻はそこに走る。待っていたのは彼が最も恐れていた光景だった。
螺子が頭部を貫通した田村ひよりと椎名真冬の死体。どう見ても即死だろう。
そしてもう一人、螺子に腹部を貫かれたセーラー服の少女はまだ生きて呻き声を上げていた。
「おい!しっかりしろ!」
当麻は少女を両手で抱き起こす。それは彼女を助けようとする全く善意の行動だった。
しかし
「うっ!!」
バリンというガラスの割れるような音と共に、少女の体はメダルとなって崩れ落ちた。
上条当麻は知らなかった。その少女が幻想の存在、グリードだということを。

「『あーあ。』『みんな死んじゃったね』」
球磨川は血まみれの顔のまま笑っている。
その中心に当麻は思いきり拳を打ち込んだ。
球磨川の体が宙を舞い、ゴミのように転がる。
「『八つ当たりするなよ。』『最後の子が死んだのは明らかに君のせいじゃないか』」
まだしゃべり続ける球磨川の顔面に、更に何発も拳を打ち込む。

「『そもそも螺子を捨てろって命令したのは君だし』『僕はあそこに人がいるなんて全然気がつかなかったんだ』」
「『だからこれは所謂、』『不幸だー!』『ってやつだよ』」

球磨川の顎に向けてパンチを放つ。顎の骨が折れる手ごたえがあった。

しかしそれでも球磨川の声は止まらない。

「『彼女たちを殺したのは半分は僕だ。』『でももう半分は君だ』」
「『そういえば最初の時もそうだったね。』『最初に君を追いかけてた女の子のことを覚えてる?』」
「『あの子は本来、僕の螺子なんかで死ぬような体じゃなかったんだ。』『でも君が殴って無力化していたから僕の螺子で死んだ』」
「『あれも僕たち二人で殺したんだよ。』『やっぱり僕たちは最高の相棒だね』」

当麻は球磨川の顔を殴り続ける。何十発も、自分の拳の皮が裂け、血が噴き出しても止めることはない。
そして球磨川の声も止まない。


「『上条くん』」
 『君は今まで誰かの不幸を壊すためだけに』『その右手を振るって戦ってきた』
 『だけどね』『それは駄目だよ』
 『大事なのは壊すことじゃない』
 『愛することだ』

『全ての人間の不幸を』『不浄を』『不遇を』『不運を』『不正を』『不快を』『不信を』『不安を』『不明を』『不純を』『不平等を』『不条理を』『不完全を』
『ふざけた幻想を』『曲がった理想を』『歪んだ回想を』『挫けた妄想を』『止まった追想を』『撓んだ思想を』『傷んだ連想を』『おどけた懸想を』
『蜜月の恋人と睦みあう様に』『人生を共にした伴侶を慈しむ様に』
  『愛することだ』



上条当麻は殴る手をとめた。
球磨川禊の顔はもう、どこに何があるのかさえわからない血と肉のボールになっている。
そして呼吸も心拍も停止していた。

当麻の首輪からピピピという警告音が流れ出す。
ぼんやりと周りを見渡すが、生きている人間は当麻以外誰もいない。
「畜生」
そして首輪の爆発が上条当麻の身体を粉々に吹き飛ばした。



禁止行為によって上条当麻が爆死した数秒後、

キーンコーンカ「フハーッハハハハ!!!」

全世界にTCBR8第1回放送を告げるチャイムが鳴り響いた。

【一日目・2時00分/宮城県/天候・嵐】

【上条当麻@とある魔術の禁書目録 死亡確認】
【球磨川禊@めだかボックス 死亡確認】
【秋山澪@けいおん! 死亡確認】
【クマ吉(7期)@ギャグ漫画日和 死亡確認】
【田村ひより@らき☆すた 死亡確認】
【椎名真冬@生徒会の一存 死亡確認】
【メズール@仮面ライダーオーズ/OOO 死亡確認】
最終更新:2011年02月01日 00:57