アットウィキロゴ
一回目の放送が聞こえてきたが、俺はそれに何の感情も抱かなかった。
当然だ。俺はロワを引退したんだ。一々放送など聞いていられるか。
知り合いも何人か呼ばれたりするが、まぁ割とどうでもいい。カオスロワだし、故あらば復活するだろう。
最後に呼ばれた初音ミクがどこの出展なのか少し気になったくらいで、俺は一回放送をほとんど聞き流していた。

その間、俺は愛想のない係員に誘導されながら、セカンドステージ会場まで移動していた。
さて、次は何をやるのやら。
さっきちょっと聞いてみたが答えてはくれなかった。
そのことに一抹の不安を覚えなくもないが、カオスロワ引退の為だ。何だってやってやる。

「着きましたよ」

それから、しばらくすると係員が口を開いた。
どうやら会場に着いたらしい。
そこには大きな扉が一つあり、そこがセカンドステージの入口のようだ。

「で、次は何をやればいいんだ?」
「規定により答えられません」
「この期に及んでも答えられないってのか」
「………………………」

どうやら聞くだけ無駄らしい。
まぁいい。この扉を開ければ分かることだ。
毒を食らわば皿まで。
どんな内容であれ、ここまで来て下りるなんてことは有り得ねぇ。

そう覚悟を決めて、俺は扉に手を掛けた。
そして、その先にあったのは――

「さぁ、次なる選手の入場です!
エントリーナンバー2101064番、ロワ出場回数なら誰にも負けない。
 カオスロワといえばこの人だ! 6/氏!」
ウォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ



そんな口上と共に響く大声援と、だだっ広い競技場だった。
観客らしき者達が客席に座り、実況っぽいお姉さんがフィールドの中央で俺の方を指差している。
これは……

「コロシアム……だと……?」

思わず、そんな言葉が漏れた。
建物の構造的にそれしか考えられない。
何だ俺に何をやらそうとしてやがる。

「セカンドステージはトーナメントです。
一対一の戦いで相手を打ち負かしたら勝ち、ルールはそれだけのシンプルなシステムになっています」

俺の疑問を察してか、後ろから係員がそう告げてきた。
トーナメントだと? ジャンプ漫画じゃねぇか。アイドル要素これっぽっちもねぇぞ。

「『カオスロワ』のアイドルですよ。バトルも強くないと。
 あ、武器は何でも使用可、助っ人を呼ぶのもOKです。人望もアイドルとしての力の一つですから」

後ろで係員が何やら説明し始めたが、要するにどんな方法でも良いから相手を倒せってか。
勿論、今の俺に呼べる助っ人なんていねぇし、呼ぶ気もない。
なら、一人で戦うしかない。

「おい、万年筆はあるか?」
「勿論です」

俺が問い掛けると、係員はその言葉をあらかじめ予想していたのだろう、既にに手に万年筆を持っていてこちらに差し出していた。
相手の手の平で踊っているようで癪だが、そんな気持ちは無視した。
踊らされることには慣れてる。

「やってやるさ」

ロワ引退の為だ。
どんな奴だって倒してみせる。
そう覚悟を決めて、俺はバトルフィールドに立った。
同時に会場が割れんばかりの声援が場に溢れた。

さぁ相手は誰だよ。
いつでも掛かってこいよ。

そう腹に決めた俺の目の前に現れたのは――

「ミク……だと……?」

現れたのは初音ミク、だった。
いやいやお前、さっき死んでただろ。復活するにしても唐突過ぎる。
ズガン確定だな。

と俺が驚きの混じった言葉を口にすると

「違います」

ミク――のような誰かは冷淡な口調でそれを否定した。
確かに最初は驚いて良く見なかったが、衣装がまるで違う。
ツインテールも左右バラバラだし、何と言うか全体的に、黒い。
いやしかし、顔はどう考えてもミクだし……。
俺の疑問は響いたアナウンスによって氷解した。

「彗星のごとく現れた謎の射撃手。
 初音ミクとの関係は不明。エントリーナンバー20112004番、ブラックロックシューター!」

ブラックロックシューター。
ミクの……亜種かなんかだっけ?
良く覚えてないが、まぁ良く似た別人って所か。
何にせよ俺の一回戦の相手はこいつらしい。

「さぁ両者、位置に着いて――カオスロワンアイドルセカンドステージ一回戦、レディーゴー!」

ガンダムファイトっぽい前口上の後、戦いの火蓋は切って落とされた。
瞬間、俺は動いた。

「無限の胡桃!」

また、これを使うことになるとは思わなかったが、とにかく俺は能力を発動させた。
同時に、周りに無数の胡桃が出現し、一直線に敵へと向かう。
一発でも当たれば、その隙に追い撃ちを掛けてやる。
知り合いに似てるからって容赦はしないぜ。

「…………………」

だが、ブラックロックシューター(長過ぎて面倒なので以下黒ミク)は無言で腕を前方に上げて、胡桃にその巨大な銃を向けた。
そして、爆発音。
ぱらららら、とバトロワでは同じみの機関銃の音だ。
俺が放った胡桃は全て撃墜されていた。当然だが、黒ミクは無傷。

初撃は失敗か、とはいえ俺だってこれで決着が付くなどとは思ってない。
俺はすぐさま次の行動へと移る。否、移っていた。

「くらえ……!」

今の攻撃を目眩しにして、俺は黒ミクに接近していた。
格好や名前から考えて、どう考えてもこいつは射撃の方が得意そうだ。
なら、取る道は一つ。接近戦だ。

「無限の」
「………………」

零距離から胡桃を叩き込む――直前に黒ミクが振り向いた。
だが、もう間に合うまい。この体勢から銃を放つことなんて……なぁ!?

「くr……ぶわぁ!?」

刹那、黒ミクの腕が銃から剣へと変化した。
そして、そのまま振り抜き、俺をふっ飛ばす。

結果、俺は宙を舞うことになる。
その間は俺は全くの無防備な訳で――

「ぐはっ」
「おおっと、これはクリーンヒットだ!
 6/氏! 大丈夫なのかぁ!?」

その隙を黒ミクが見逃す筈もなく、腕を再び変化させた黒ミクに弾丸をぶち込まれる。
そして、そのまま俺は受け身を取ることもできずに、地に落ちた。
すぐ立ち上がったけどな。

致命傷ではない。伊達に幾つもロワを経験してきた訳ではないからな。
しかし、楽観できる状況でもない。
今の攻防において、俺は完全に負けていた。
このままいけばジリ貧は目に見えてる。
接近戦は駄目だ。かといって距離を取っても勝てるとは――

と、頭を巡らしていると、痺れを切らしたのか今度は黒ミクから仕掛けてきた。
早い、そして速い。
俺は何とかそれを捌きながら、次の手を考えていた。

「……………」

黒ミクの奴は相変わらず無言で俺を攻めていた。
ぶぅんぶぅん。と俺の身体を剣が掠めていく。
その度に俺は命の危険を感じつつ、必死に次の……ぐばぉ!

「あぁっと! またもや6/氏へのクリーンヒットだぁ!」

捌き切れなかった一撃が俺を直撃した。
再び俺は宙を舞ったが、同じ過ちは繰り返さない。体勢を立て直し、すぐに黒ミクに向き合う。

どうする……?
相手はまだ無傷。こちらは結構ダメージをくらっちまっている。
ここで負ける? 俺が?

「認めるかよっ!」

俺は何としてもアイドルになる。
そして、そして、そして、そして――

「ロワを引退するんだよ!」
「っ……………!?」

俺の気迫に驚いたのか、黒ミクが一瞬怯んだ。
その隙に胡桃を放ったが、元々大した隙じゃない。
すぐに腕を銃に変形させ胡桃を撃ち落とそうとする。

「だが、これで終わりじゃないぜ!」

同時に俺も飛び掛かる。
当然、黒ミクは対応しようとするが――

「剣と銃は同時には使えねぇだろっ!」

胡桃迎撃の為に腕を銃にしていた為、黒ミクは即座に動けない。
剣にすれば胡桃を、銃にすれば俺を、二つ同時には捌けないのだ。
そうして

「き、決まったーー!
6/氏選手、まさかの逆転勝利ですっ!」

俺の一撃が炸裂した。






「ふぅ」

辛くも勝利した俺は疲労の色の混じった息を吐いた。
今回は何とか勝てたが、次もどうにかなるだろうか。
胡桃以外にも何か、新しい必殺技が要るかもしれない。

「負けました」
「ん?」

試合が終わり、俺が今後について考えを巡らしていると、声が掛けられた。
見ると、そこには先ほど下した黒ミクがいた。

「今回は私の負けですけど、次は負けませんよ。
 敗者復活戦もあるそうなんで、また戦いましょう」
「ああ。
ま、勝つのはまた俺だけどな。
 俺は絶対にアイドルになってロワを引退するんだ」
「あは、じゃあ控え室に会いに行くかもしれませんけど、よろしくお願いします」

そう言って、笑った顔は意外に屈託のない、綺麗な物だった。
放送も近いし、今は休もう。

【一日目・3時55分/東京・カオスロワンアイドルセカンドステージ会場/天候・雨】
【6/氏@テラカオスバトルロワイアル】
【状態】疲労(中)、カオスロワ参加者として引退中
【装備】カオスロワンアイドルの番号札、万年筆
【道具】支給品一式
【思考】基本:カオスロワのアイドルの頂点を目指す。
1:アイドルの頂点を目指す!
2:二回戦も頑張る。
3:新必殺技が……………?
〔備考〕
※今までのカオスロワや他のロワの登場、活躍を全て知っている6/氏です。

【黒衣マト(ブラックロックシューター)@BLACK★ROCK SHOOTER】
【状態】健康
【装備】★Rock Cannon
【道具】不明
【思考】基本:アイドルになる
1:頑張る

【カオスロワンアイドルの係員@テラカオスバトルロワイアル】
【状態】健康
【装備】
【道具】不明
【思考】
1:自分の役割を全うする。
【実況のお姉さん@テラカオスバトルロワイアル】
【状態】健康
【装備】マイク
【道具】不明
【思考】
1:自分の役割を全うする。
最終更新:2011年02月07日 00:46