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―――穏やかなる俺の日常は、ある圧倒的な存在によって激変した。


眠りから覚めたら、突然に前触れもなく、少年に殺し合いをしろと言われた。
いわゆる一時期一世を風靡した『バトルロワイアル』という奴だ。
大方これもいつもの様にハルヒ関連の騒動だろう。
もしくは以前のように機関の、ハルヒを楽しませる為のどっきりだろうか。
こういう事件に慣れてしまった自分に悲しみつつ冷静に状況を分析する。
恐らくこれは、バトルロワイアルと称しているがサバゲーみたいなものだろう。
ハルヒが願ったにしろ機関の催しにしろ、実際に人を殺すはずがない。
現に最初に殺された女性も、少年は生き返ると言っていた。
ちなみに『殺す』とか『死』という表現は、『バトロワ』と称しているので使わせてもらう。
あの場にいたSOS団以外の人もたくさんいた。
どう見ても人間でないような奴もいた……恐竜のような奴やピンク球など。
だがすぐ近くに宇宙人や未来人がいる以上、別に驚くほどではない。
どうせ長門や朝比奈さん、古泉達の仲間だったりするのだ。
ならば巧みにハルヒが勝者になるようにしてあるのだろう。
あいつは退屈が嫌いな上に負けず嫌いだ。
だから上手く逆転劇になるようなシナリオになっているであろう。
SOS団団員である俺達もそれは同様だ。
それなりの危機があるもそれを何とか跳ね除け、終盤でリタイアという形だろうか。
名誉あるSOS団の団員が序盤で脱落など、あの団長様がお許しになるはずがない。
そう考えれば幾分気が楽になった。
用意されたシナリオをなぞるだけのサバイバルゲーム。
ようは演劇をやると考えればいいんだ。
勿論主役はハルヒだ。
さて、それなら厄介な主賓を満足させるためにも頑張りますか。

そう結論付けると、次にやるべきは支給品の確認だ。
本来なら真っ先にやっておくべきだったかもしれないが、過ぎたことはどうしようもない。
考え事に浸っている間にリタイアなんて事になってなくて良かったというべきか。
兎にも角にも至急品の確認だ。
食料や水などの基本品の他にランダムで武器が入っているらしい。
恐らくはゴムのナイフやエアガンといった物だろう。
こういうゲームは、とんでもない能力の持ち主でもない限り、支給武器が明暗を分ける。
俺の運命は果たして明か暗か……一気にデイパックのファスナーを開ける。
そして中身を見た途端に開けたその手が……いや、全身がその場で固まる。
……そこに入っていたのはゴムのナイフややエアガンなんて物ではなく。
勿論本物の拳銃なんて物でもなく、むしろその方が千倍いい様な物で。


♪ どこどこお出かけ すたこらお出かけ

                   キョン君 キョン君 連れてって ♪


いつも見慣れている、しかしこんな場に不似合いなのが入っていた。
いつか見たような格好でデイパックに俺の妹(名前は秘密だ)が収まっていた。
なぜこんな所に入っているのかは解らない、いや理解したくない。
理屈はわかる……これが俺の支給品だという事は。
だがなぜこの場で我が妹なのだろうか。
なんにせよこれは決定事項な以上、ウダウダ悩んでても仕方ない。
サバゲーとはいえ危険も盛りだくさん、そんな所に妹を連れ歩くわけにもいくまい。
というわけで、俺は危険性を説いた上でどこかに隠れてもらおうとしたわけだ。しかし。


♪ おどしくらいじゃ だまされないもん

                 やんっ やんっ いっしょにいこ? ♪


と、こういった風に聞かないわけだ。
このまま押し問答をしていても仕方がないので、しぶしぶ連れて行くことになった。
とはいえやはり危険なので、バックに入れたままだが。
幼女を入れた変態なんて言葉は聞かない。ああ聞かないとも。
これは合意だ、無理やりではない。
そこっ、変な意味に取るなよ?
そんなこんなで出発することになったのだが、問題はこれからの方針だ。
どうせハルヒが優勝するなら、このまま楽しんでもいいかもしれんが。
やはりハルヒと合流するのが先決か?
もっとも俺がリタイアするほうが早そうだが。
そんな事を考えていると前方に人を発見した。
どうやらこちらには気付いていないようだが……。
というかあのオッサン、本なんか読んでるぞ。
まああれなら安全そうだ、一応接触してみるか。
「あの、すみません」
俺のその言葉にやっと気がついたかのように顔を上げる御人。
彼は手に持った本をベンチに置く。
ってあの本、絵本じゃないか!
しかも開いたページは裸の幼女の絵がクレヨンで描かれている。
子供向けの大人向けの本という事か……何言ってるか分からんが。
って違う! それどころではない!
この御人はもしやペドフィリアなる趣向の持ち主なのではないでしょうか。
これは我が妹の貞操が危ない!?
「何用じゃ?」
アゴの髭を擦りながらこの御人は近づいてくる。
「あ、いや、その」
今更何でもないとは言えないが、どうする。
「キョン君~、キョン君~、なにしてるの~? わたしも出して~?」
「む、袋の中からおなごの声が」
妹の声がした後、この御人はやけに興奮した様子で声を上げた。
いつもそうだ、こんな時に限って間が悪く都合の悪いことが起こる。
あーなんでいつも、危険値大好調。


【一日目 1時00分 E-4:動植物園】

【キョン@涼宮ハルヒの憂鬱】
[状態]:警戒
[装備]:なし
[道具]:支給品一式、キョンの妹(バックに入っています)
[思考]:変態から妹を死守せねば
基本方針:SOS団と合流しつつ、サバイバルゲームを楽しむ

【豊臣秀吉@歴史】
[状態]:興奮状態  男のバックの中身にに夢中のあまり、まるで警戒していない
[装備]:やけに幼い外見の人ばかり出てくる物語の絵本
[道具]:支給品一式
[思考]:そ、その中には何が入っているのじゃ? 見せてみい。
基本方針:信長、官兵衛との合流を目指す


※キョンはこのゲームを機関の開催した大規模なサバイバルゲームだと思っています。



最終更新:2007年02月26日 13:35