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「はぁはぁ……積極的に殺人だなんて、少しは頭冷えたかしら?」
「……むしろ燃えて熱いんだけど」
「た、たすけてー!」

魔法少女と魔女、そしてアルター使いの戦いは魔女の勝利で終わった。
いくらネルの肉体が強化されているとはいえ、首から上が未強化なのが致命的だった。
相手は本物の魔法を使う歴戦の上級魔女。杖の打撃もかなりの威力だったのだ。
ネルは筋肉から煙をあげ、頭には大きなこぶができて、さらに正座をさせられた。
休戦のためにキュゥべえ(以下QB)は殺されず、彼の支給品だった有刺鉄線で束縛された。
そしてジグマールは早々に戦いから離脱していた。ある意味それが一番正しい選択だろう。

「全く……その淫獣が何を吹き込んだのか知らないけど、貴女の願いってなんなの?」
「……戦闘力B、レンきゅんが見ても反応する可能性は0……いいわ、教えてあげ
「心の声が表に出てたわよ。丸焼きにしてあげましょうか?いいから素直に教えなさい」


「……要するに、愛しの彼の好みがわからなくて不安で、でも最終的に結ばれたいのね?」
「そうよ!そのためにはQBがまだ必要なの!」

ネルは結局、自分の行動方針をアルティに打ち明けさせられる。
全てはレンきゅんを手に入れるためだと、ネルは信念を持って答えた。

「馬鹿ね……愛の魔法に関しては私のほうが先輩だから、一言言わせて貰うわ。
貴女、根本的に間違っている」
「なっ!どこがよ!?」

だがアルティはネルの言葉を一蹴し、諭すように言葉を続けた。



「もし、仮に貴女が邪魔者を全て排除できて、愛しい彼と結ばれたとして……
彼は、周りの人は喜ぶ?いいえ、殺人狂の夫とその彼まで罵られ、避けられる。それで幸せ?」
「!!」
「愛の魔法は誰かを幸せにする魔法。魔法は使い方を誤れば悲劇しか生まないの……」

ネルはショックを受ける。
全ては自分とレンきゅんが結ばれるためだと思っていた。
彼に近寄る悪い虫を全て叩き潰せばいいと思っていた。
だけど、それは全部自分中心の発想。肝心の相手の気持ちを全く考えていなかった。

「で、でも私はどうしても……!」
「貴女、もっと自分に自信を持ちなさい。せっかくかわいいんだから。
それにとっても一途。愛すら人のためだったら何だってできる強さを持っている。
QBの力を借りなくても、十分な愛の強さ。
彼を誰かにとられないか心配?取り返せるわ。貴女の愛の炎は、誰にも負けないものなんだから」

自分に自信を……
そうだ、自分はレンきゅんを愛している。自惚れでもなく断言できる。
この世界の誰よりも、他の家族の誰よりも愛している。
愛の強さの勝負なら、真っ向から正々堂々挑んで負ける道理がない。
そうさ、ルカ達より胸が小さくとも、大切なのは体じゃない、愛の強さ、想いの強さ!
ああ、私は一体何に惑わされていたんだろう……
ネルの中で、何かがふっきれた。



「……ありがとう師匠!おかげで目が覚めたわ!」
「し、師匠?」
「うん、筋肉の師匠はもういるから愛の魔法の師匠かな。
私、愛の魔法でレンきゅんを絶対に幸せにしてみせるわ!」

晴れ晴れとした笑顔で、ネルは立ち上がる。

「でもまずはレンきゅんを見つけないと。今もどこかで悲しみにくれていたら……」
「そうね……こんな世界、彼の命を狙う奴もいるでしょうね。
幸い貴女は戦う力を手に入れてる。敵を壊すんじゃなくて、彼を守るために力を使いなさい。
それとこれは、新しい愛の魔法の使い手への餞別……持っていきなさい」

アルティがネルの胸に触れ、魔力を流し込む。

「これは……凄い、なんだかさらに愛の力が強くなった気がする!」
「私の愛の魔法の力を分けたわ。これでQBがいなくなっても魔法が使えるはず。
愛の魔法の強さは想いの強さに直結している。貴女ならすぐに使いこなせるはずよ。
でも蘇生魔法は止めときなさい。私ももう魔力残ってないし、失敗したら大変なことになるから」
「ありがとう師匠。このたぎるラヴ・パワー!待っててねレンきゅん!」
「一緒にいて守ってあげたりすれば、愛もより深まるわ。……最終手段で既成事実を作るのも手だけど。
とにかく頑張ってね。貴女達の幸せを祈っているわ」

「「愛の魔法に不可能はない!」」

そう高らかに宣誓し、二人は別れた。

【一日目・6時45分/東京都/天候・雨】

【亞北ネル@VOCALOID派生】
【状態】魔法少女、首から下は超肉体、頭にこぶ、魔力上昇
【装備】妖しく光る肉体、金のブーメランパンツとマント
【道具】支給品一式、他不明
【思考】基本:この世界のレンきゅんと結ばれる
1:レンきゅんをみつけ、守る
2:魔法を正しく使い、レンきゅん達が幸せになれるようにする
3:ただし反撃が必要な時は容赦しない




「頑張ってね、ネル……さてと」

ネルが凄まじい速度で走り去るのを見届けるアルティ。
その姿が見えなくなったところで、彼女は後ろへと振り向いた。
その先には、縛られたQBが転がっている。

「私の愛の魔法に(笑)をつけただけじゃ飽き足らず、純粋なネルの愛まで利用するなんて……
貴方、覚悟はできてるんでしょうね?」

炎を撒き散らしながら、アルティはゆっくりとQBに近寄り……



「ぁぁああ……!なんだかこのトゲトゲが体に食い込んで気持ちいぃ!」
「まさか目覚めたの!?」

逃げ出した。



【アルティ@Luminous Arc2】
【状態】健康、覚醒後、魔力消費(大)
【装備】炎杖エクリクシス
【道具】支給品一式、他不明
【思考】
基本:愛の魔法で世界を救う
1:キュゥべえは放置
※蘇生魔法は当分使えません

雨にうたれながら、新たな世界、未知なる感覚を手に入れたQBはただ転がり続ける。


「……放置プレイか。それもなかなかいいね」

【キュゥべえ@魔法少女まどか☆マギカ】
【状態】焦げダメージ、火傷、片耳手損失、恍惚、目覚め
【装備】有刺鉄線
【道具】支給品一式
【思考】
基本:この未知なる感覚を楽しむ
最終更新:2011年02月12日 00:49