主催本部にて、譲治はクルル曹長に七期参加者とオリキャラ以外の殺害許可も出るように上にかけあってくれと直訴していた。
しかし、
「そんなこと急に言われてもなあ~……」
などとのらりくらりとかわされていた。
と、そこに部屋の扉が開いて二人の男と一匹のキツネが入ってくる。
「曹長さんよ、お望みの人材をお連れしたぜえ?」
猟銃をかついた兵十とごんと共に部屋に入ってきた男を目にして譲治は逆上する。
「6/!! なんで貴様がこんなとこに!!」
しかしクルル曹長はそんな譲治をスルーして彼らに告げる。
「ク~クックック……あんたたちならやってくれるって一応は期待してたぜえ。
そいつを無事にこっちの陣営に引き込んでくれたってワケだ」
6/は無言だ。よほど胸の中につかえているものがあるのか、今にも何かを吐きだしそうな顔をしている。
「ちょ、ちょっと待てよ、どういうことだ!!」
わけがわからないという顔で彼らの顔を見比べる譲治。
「まあ落ち着きねえ。今からゆっくりと、あそこで何があったかを教えてやっからよ」
兵十はそう言うと、カオスロワンアイドルの会場で何があってなぜ6/がアンチ連盟側についたのかを説明しはじめた。
※※※※※
(さて、もうこれ以上『参加者』としてここにいる必要は無いよな。)
東京タワーと別れた後、6/が思ったのはそのことだった。
殺し合いから離れたいという理由でこのアイドル企画に参加したのに、殺害事件だのなんだので結局はいつものパターンに陥ってしまっている。
ここにこれこんなことをしていては目立つだけだ。
それに審査のことを気にしていてはマトを殺害した犯人を探すことも、全ての真相を明らかにすることも不可能。
さっさとこんな企画は棄権して、裏で動くことにしよう。
6/はそう決意して椅子を立ったが、その時に食堂に井口ヒロミが入ってきた。
これ幸いと、ポケットから番号札を出して机の上に置く。
「悪いが、俺は棄権する。止めても無駄……」
「6/くん、せっかくだけどそんな必要は無さそうだよ?」
意外な言葉に6/は一瞬固まる。
井口ヒロミはそんな彼以上に憔悴しきった顔をしていた。
「どういうことだ?」
「カオスロワンアイドルの再開は永遠に不可能になってしまったからさ。とりあえず、警備室まで来てくれないか?」
警備室には多数のモニターがあり、そこには会場内の各所に置かれた防犯カメラからの映像が映されていた。
しかしその画面のほとんどは、山のような鯛焼きで満たされていた。
そしてその中の一つが、この鯛焼きの山を生み出した犯人の姿を映していた。
「あれは……確か、会場の前で鯛焼きを売っていた……」
「おいおい、あれが鯛焼き風情のやることかよ?」
警備室に呼ばれた6/と、6/の護衛に指名された兵十、それに東京タワーは驚愕と呆れの混じった表情を浮かべた。
ちなみにマトの護衛に指名されていたごんも、マトが死んだことで意味を失ったため6/の護衛に移行している。
映像に映されている鯛焼き屋は、目に付く人間を片っ端から捕まえて鯛焼きにしていた。
背中に鯛焼き屋の屋台を背負っていることからもその体力が尋常では無いのは伺えるが、鯛焼き製作の技術はさらに常軌を逸していた。
犠牲者を捕まえ。
ミキサーに入れて鯛焼きの餡にし。
皮で挟んで焼く。
以上の所要時間、0.3秒。
さらに彼の半径五十メートルに入った者は例外なく犠牲になっていた。
次々と鯛焼きを量産する鯛焼き屋の映像を見ながらヒロミが説明する。
「どうも何かがきっかけで、会場外で客の男とケンカになったみたいだけど、それで興奮しすぎておさまらず、
会場内まで進入してきたみたいだ。そして今や理性を失い、目に付く人間を全員『食い逃げ犯』だと認定して殺している。
カオスロワンアイドルの参加者も、スタッフも、片っ端から鯛焼きにされるかさもなくば逃げ出したよ。
それも大量殺害禁止ルールにひっかからない程度にやってるのが厄介というかなんというか……
審査員も同様さ。まだ残っているのは僕とそこの彼女と、そして彼くらいかな」
ヒロミがモニターの一つを指差す。そこには鯛焼き屋と対峙するサイモンの姿が映っていた。
「高い技術力を持っているのは認めるけど、あまりにも力技すぎて感心しないな。
それに鯛焼きについても、ちょっと焼きすぎて皮が硬すぎるんじゃないかね?」
「……なあ、あの人の行動コマンドには『辛口の批評をする』ってのしか無いのか?」
「さっきのセリフをなんでカメラ目線で言ったのかも謎ですね」
首を傾げる6/と東京タワーをよそに、サイモンは一歩一歩鯛焼き屋に歩み寄っていった。
「全く、楽しみにしていた企画をこんなことで潰されるとは思ってもいなかったが、一言―――」
それがサイモンの最後の言葉となった。
彼は鯛焼き屋からかなりの間合いを保っていたにも関わらず、あっという間に捕らえられてミキサーにかけられ、鯛焼きにされた。
「……なにこれ」
「あの男一人のせいで、カオスロワンアイドルはめでたく中止というわけだ」
「十分離れたとこから銃で撃ち殺すってのは?」
「警備員が射撃したんだけど、すべての銃弾を鯛焼き器ではじかれたよ。
そしてその五秒後には、その警備員は鯛焼きになった」
要するに現在企画主催者には何の戦力も残っていないというわけだ。
「6/君、君はおそらくこの企画参加者の中でも最も戦闘力を持っている。どうだい、あいつと戦って勝算は?」
「勘弁してくれ。銃で撃って死なないヤツにクルミ投げが通じる道理は無いし、固有結界を張ったとこで
あいつの間合いに入ったところで鯛焼きにされて終わりだろう」
「なるほど……つまり打つ手なし。とすると我々がするべきことは……」
「「「逃げるか」」」
全会一致でそう決まった。
6/はこれ以上カオスロワンアイドルに関わる気は無く、東京タワーその他にしても命を捨ててまでここにとどまる意味は無い。
「僕は一応、会場内に逃げ遅れていない人がいないかどうかざっと確認してから逃げるよ」
ヒロミはそう言って、6/たちに別れを告げて駆け出していった。
「ふん……悪いけど俺はそこまで付き合う義理はないからな」
「じゃあ俺もあんたに同行しよう。この会場を出るまでは、俺はあんたの護衛だからな」
兵十とごん、そして東京タワーも6/に続いて会場から脱出することにした。
「ふふふ……ふふふふははははははは!!」
誰もいない廊下を走りながら井口ヒロミは彼らしくも無い笑い声を上げる。
「いいねえ、全ては僕の計画通りだ!! 侵入者という不確定要素さえも僕に味方している!!
カオスロワンアイドルが続行不可能になった今、もう誰の目も警戒する必要は無い、僕の目的のためだけに行動できる!!」
【一日目・7時00分/東京・カオスロワンアイドルセカンドステージ会場/天候・雨】
【井口ヒロミ@本格的ガチムチパンツレスリング】
【状態】健康
【装備】スタッフ証
【道具】支給品一式ほか多数
【思考】
基本:自分の『目的』を達成する
【鯛焼き屋の親父@KANON】
【状態】健康 発狂
【装備】鯛焼き作成のための道具一式
【道具】不明
【思考】基本:自分の店を潰した食い逃げ犯(月宮あゆ)を見つけて殺害する
1:とりあえず目に付く奴は全員食い逃げ犯とみなして殺害
【サイモン・コーウェル@アメリカン・アイドル 死亡確認】
【カオスロワンアイドルの参加者@テラカオスバトルロワイアル 死亡確認】
【カオスロワンアイドルの係員@テラカオスバトルロワイアル 死亡確認】
一方の6/たちは幸い鯛焼き屋に遭遇せずに会場外に出ることができた。
外に出てまず驚いたのはすさまじい破壊の後。あの鯛焼き屋とヤクザ風の親父の戦闘の結果だろう。
そういえばあのヤクザ風の男は無事なのだろうか、などという考えが脳裏をよぎったその時、耳元で銃声がした。
「なっ……」
振向くと、後頭部から血を流して東京タワーが倒れていた。
「俺たちアンチ連盟の目的は『七期キャラ』に加えて『オリキャラ』の排除……悪く思うなよ。そして」
東京タワーを銃殺した構えのまま、銃口を6/に向ける兵十。
さらにごんも6/の前に回り込んで行く手を遮る。
「あんたももちろんだ。会場の中では俺はあんたの護衛だが、一歩会場を出れば標的ってことだ。
企画続行が不可能になった今、スタッフを騙る意味も無いしな」
「クソッ、やっぱりそういう展開かよ!!」
6/は眉間に皺を寄せながらもポケットに手を入れる。生き延びるにはクルミの能力を使うしかない。
しかし派手な戦闘をして目立ってしまうことも避けたい、というジレンマに襲われる。
こっちからしかけることが出来ずにせいぜい彼らを牽制するしかできない6/。
しかし兵十は意外なことを口にした。
「わかるぜ、あんたの気持ち……今あんたが何を考えているのかもな」
「だったらさっさと撃てばいいんじゃねえか?」
「ああ、俺たちの最重要の標的があんただしな。しかし……あんたにはもう一つの選択肢がある。
スタンスをガラっと代えて、俺たちの側に付くっことだ」
「なっ……俺に、アンチ連盟とかいうのに入れってのか!?」
「悪くは無いだろ? 少なくとも俺たちに狙われる可能性はなくなるし、それにこういうスタンスはあんたにとって初めてじゃないか?」
どこまで調べているのか、兵十は全てを見透かしたような顔で告げる。
6/は考える。確かに今までもマーダーをしたことはあるが、どこかの勢力に加わった上でのマーダーというのは始めてのことだ。
それになるべく目立ちたくない自分にとって、巨大勢力に属するというのは悪い選択ではない。
似たような行動方針のキャラが集まっていれば、目立たなくなる可能性が高いからだ。
「……しかし、俺を仲間に入れてあんたらに何の得がある?」
「いやそれはついさっき俺も連絡を受けたんだがな……あんたを欲しがっている奴が上にいるんだよ」
【東京タワーちゃん@テラカオスバトルロワイアル 死亡確認】
※※※※※
「てなわけで、6/さんは全てを承諾してアンチ連盟に加入することになったってわけだ」
「っざけるなああああ!! 僕はあんた
みたいなモテ男なんかみとめなぐふっ!!」
6/に掴みかかろうとした譲治はごんに顎を蹴られて伸びた。
「ク~クックック、でかしたぜ兵十さんにごんさんよう……」
イラついている譲治と対照的に愉快そうに笑う曹長。
「そんじゃあさっそくだが、俺たちの仲間として信用していいかどうかを試す意味も込めて、
あんたにちょっと仕事をたのむぜぇ~?」
その演技めいた笑いの奥底にあるものを想像しながら、6/は心の中でつぶやいた。
(すまねえな、みんな)
【一日目・7時30分/アンチ連盟本部/天候・雨】
【右代宮譲治@うみねこのなく頃に】
【状態】健康、落とし穴無効、小疲労、ずぶ濡れ
【装備】黒スーツ、富竹のカメラ@ひぐらしのなく頃に、キメラの翼
【道具】支給品一式
【思考】
基本:自分以外のモテ男を全て殺す
1:恋愛フラグ立ててる奴も、イチャイチャしてる奴も殺す
2:サイモンらを殺せるよう、上層部に8期参加者殺害の許可も貰う
※アンチ連盟の一員です
【クルル曹長@ケロロ軍曹】
【状態】健康
【装備】なし
【道具】不明
【思考】
1:クックックッ……早速仕事を頼むか
※アンチ連盟の仲間です。
【6/氏@テラカオスバトルロワイアル】
【状態】疲労(小)、精神的疲労(中)、混乱、カオスロワ参加者として復帰
【装備】カオスロワンアイドルの番号札、万年筆
【道具】支給品一式
【思考】基本:アンチ連盟に協力する
1:クルルの指示を聞く
〔備考〕
※今までのカオスロワや他のロワの登場、活躍を全て知っている6/氏です。
※アンチ連盟の仲間になりました
【兵十@ごんぎつね】
【状態】健康
【装備】猟銃
【道具】支給品一式ほか多数
【思考】
基本:とりあえず休憩するか
※アンチ連盟の仲間です
【ごん@ごんぎつね】
【状態】健康
【装備】不明
【道具】支給品一式ほか多数
【思考】
基本:うなぎ喰いたい
※アンチ連盟の仲間です
最終更新:2011年02月14日 01:21