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「うわぁぁぁぁ!!!もう駄目だ、おしまいDA!!」

ギルガメッシュ同様、首輪の不発により死を免れたベジータ。
しかし、爆発したと思い込んでいた彼は、ひたすらヘタレ続けていた。

「おい」
「殺される!首輪が爆発したら、生きてられるわけないYO!」
「落ち着けヘタレがぁぁぁぁっ!!!」
「がはぁっ!?」

あまりに情けない醜態に、ベジータは突如、何者かから思い切り蹴っ飛ばされる。

「げ、げほげほっ……だ、誰だ!?死神が俺を迎えに来たのか!?いやだ、死にたくない……」
「よく見ろ。首輪は不発だったんだ。お前は死んじゃいない」
「え!?あ……本当だ。って、貴様は!?」

ベジータを蹴っ飛ばした男を見て、ベジータは驚く。
そう、その男はベジータの知り合いだった。

「ヤムチャ……!?」

そう、世のヘタレの代名詞、ヤムチャであった。

「へっ、ざまぁねぇな。サイヤ人の王子がなんて無様なんだ」
「だ、黙れ!貴様、殺されたいらしいな!!」
「言うじゃねぇか。やれるもんならやってみたらどうだ?」
「きさまぁぁぁぁぁっ!!!!」

ヤムチャの挑発に乗り、ベジータは逆上。ヤムチャに食って掛かる。

ベジータ対ヤムチャ。
二人のガチバトルの始まりだ。

バトルというにもおこがましい。
実力差は歴然。あまりにも結果の見えた、馬鹿げた戦い。
普通に考えて、ベジータが負ける要素などありえない。
まともに戦って、ヤムチャが勝てる可能性など万に一つもあるはずがない。

そのはずだ。ありえないはずだった。

だが……

ありえない結末が、導き出された。
信じがたい光景が、そこに広がっていた。

「はぁっ、はぁっ……」
「どうした?まさかもう終わりっていうんじゃないだろうな?」
「く、くそったれ……」

ベジータはヤムチャを倒せないでいた。
いや、それどころか……傍目には、ヤムチャのほうが優勢なようにすら見えた。
ベジータが肩で息をする。対して、ヤムチャにはまだ余裕がある。

「きさま……何をした?」
「何もしてないさ。正々堂々、お前とぶつかった結果だぜ」
「ふざけるな!!何もせずに、貴様ごときがこれほどの強さを得られるはずがない!!
 何を使った!!どんなチートを使いやがった!!!」

断っておくが、ヤムチャは本当に何もしていない。
チートアイテムを使ったわけでもなければ、何か超強化されたということもない。
ここにいるのは普段と同じ、紛れもなくいつものドラゴンボールのヤムチャ本人だ。

「まだわからないのか……繰気弾ッ!!!]

ヤムチャの右手から気の玉が放たれる。
繰気弾はヤムチャの意思のままに動き、ベジータに襲い掛かる。

「くそったれめ……ひっ!?ぐぁっ!」

避けきれない。ヘタレが身に染み付いた彼には、避けることができない。
繰気弾が目の前に迫ると、恐怖心が働き、反射的に目を閉じてしまうのだ。
結果として、ベジータは繰気弾を避けることもできず、ただ一方的に打たれ続けていた。

「ぐっ、がぁぁぁぁぁぁ!?」

やがて、ベジータが沈んだ。
地べたに這い蹲るベジータと、それを見下ろすヤムチャ。ありえないシチュエーションだ。
ヤムチャの視線には、もはや哀れみすら込められていた。

「ほんとうに……弱くなっちまったな、ベジータ」
「ばかな……俺が、こんなくだらん技に敗れるだと……」
「そうだ。俺のこの程度の技にすら、お前は歯が立たなかった。
 当たり前だろうな。これがお前の望んでいた……お前の選んだ展開なんだから」

胸の奥が、ズキリと痛む。ベジータは顔を上げ、ヤムチャの顔を見上げた。

「俺が……望んだ、だと……?」
「お前のここでの行動は一部始終、見せてもらったぜ。
 変態ミクトランの出来損ないの機械に洗脳され、破壊活動を行った……
 お前を知る奴なら、この時点でおかしいと思うだろうよ」

一旦間を置き……やがて、ヤムチャは目を見開き言い放った。

「プライドの高いお前が、洗脳に屈するなど考えられない」

かつて原作においても、ベジータは外部からの洗脳を受け、破壊を行ったことがあった。
魔界の王すら容易に手懐けるほど強力な、バビディの洗脳を。
だが、あの時の彼はどうだった?
洗脳され、悪に身を堕としてすら……その心だけは、バビディの悪意に染まることはなかった。
バビディの命令に背き、悟空と戦い……そして、魔人ブウに立ち向かった。
己の誇りと、そして守るべきもののために。

「俺も、他の皆も!そしてもちろん悟空も、わかっていたはずだ……
 お前の本当の心が、弱くはないってことをな!!」

では、なぜベジータはミクトランに洗脳され、下僕と化していたのか。
答えは簡単。バビディの洗脳を受けた時と同じだ。

「要するに……自分で望んだ結果だったんだろう?」
「……ッ!!」
「お前は自分から、奴の洗脳を受け入れたんだ。違うか?」

長い沈黙が、場を支配する。
やがて……ベジータは、その重い口を開いた。

「……いつの頃からだろうな。かつてブロリーとの戦いで晒した醜態が、蒸し返され始めたのは」
「……」
「ネットではブロリーの動画が人気を博し、俺の無様な姿も色々な形で表に出始めた。
 ニコニコ動画をはじめ、今や俺は笑いものだだ!!姿を見せただけで指をさされ、嘲笑されるッ!!」
「……」
「俺は……昔の俺に戻りたかったんだ!!残酷で冷酷なサイヤ人の俺に戻って、
 あの頃のように、思うがままに徹底的に闘いたかったんだ!!」

その目から一筋の涙が流れた。それは、彼の魂の叫びだった。

「気に入らなかった……知らないうちにネットでの影響を受け……腐っていく自分が……
 俺ともあろうものが、惨めなヘタレ扱いをされ……悪くない気分だった。
 どれだけ貶められても注目を浴びることがスキになっていたんだ……!」

その胸中はいかばかりであろうか。
明らかに腐っていく、そのことに居心地の良さを感じるなどと。
だが、腐ろうとも彼の誇りは変わらなかった。
だから……ベジータはそれを払拭するために洗脳を受け入れ、悪に身を堕とした。

「……俺に勝てないわけだ。自分が貶められることをどこかで望んでいたんじゃな」
「黙れ、貴様に何が……」

そこまで言われて、ベジータは気付く。
笑い者にされているのは……むしろヤムチャのほうが先だったと。

「悪いが、俺はどれだけ笑われようが前を向いてるからな。
 無謀だのお調子者だの、笑わば笑え。俺は俺だ、それを否定される筋合いはないぜ」
「う……あ……」
「お前もそうだろう?お前は本気で今の扱いに満足しているわけがない!!はずがない!!
 今の自分が嫌だから、だからミクトランの下僕になったんだろうが!」
「俺は……俺は……!」

言い返せない。ベジータは現実から逃げるように、頭を抱え込んでいた。

「まあいいさ。今のお前ははっきり言って、見るに耐えない……
 この場ですっぱりと、葬り去ってやるぜ」

ヤムチャが狼牙風風拳の構えを取る。
目に殺意が灯った。本気で殺すつもりだ。
それもいいかもしれない――ベジータはそんなことを思っていた。
結局、洗脳を受けても、ベジータ自身は何も変わらなかった。洗脳が解けた途端、このザマだ。
受け入れた理由はバビディの時とは違う。ただの現実逃避でしかなかったから。

「失望したぜ。お前のそんな姿だけは、見たくなかった」

今の腐りきった自分に、どれほどの価値があるのか。生きている意味があるのか。

「お前腐った姿を見れば見るほど……自分自身が哀れになる」

こうまで貶められて、それでも生き延びて、どうする?
だったら――

「お前みたいな奴に、ブルマを取られたとあっちゃなぁ!!!」

――ブルマ?

そうだ。俺には。

ブルマが。トランクスが――

「死ね、ベジータァァァァ!!!!」

ヤムチャが、ベジータに向かって飛びかかる。
同時に、ベジータの中で何かが弾けたような気がした。

「俺は……俺はッ!!!」

ヤムチャの動きが、見える。当然だ、元々実力差は歴然。
ベジータがその気になれば、不覚を取ることなどありえない。
右手に気を溜め――解き放つ!

「俺は死なん!!!!!誰が何を言おうがッ!!!!!
 俺の誇りは、死ぬものかぁぁぁ――――――ッ!!!!!!!!!!!」

ベジータの眼下には、下半身を吹き飛ばされたヤムチャの姿があった。
既に虫の息だ。どう足掻いても、程なく死に至ることだろう。

「ようやく吹っ切れやがったか……手間取らせやがって……」
「貴様……わざと足元をお留守にしやがったのかッ!?」
「へっ……まさか」

神様に指摘された弱点、だがそれはもう何年前の話だ。
ヤムチャとて格闘家の端くれだ。その程度の弱点、すぐに克服する。

「この俺様をなめやがって……くそったれめ!」
「そいつは……光栄だな……へへっ、だが……これで俺も……」
「ヤムチャ!!」
「守ってやれ、よ……お前の大事な、もの……を……」

そう言い遺して……ヤムチャは事切れた。

  # # #

これから、やることは山積みだ。しかも、あても何もないときた。
だが、このふざけたゲームは必ず叩き潰す。他人の手など借りるつもりはない、自分自身の手でだ。
カカロットを殺した奴も放置しておくつもりはない。
どこのどいつかは知らんが、俺を敵に回すことを覚悟しての行為だろうな。
とりあえず、今はミクトランを探すことにする。
そして見つけ次第……奴をぶっとばしてやる。
既にミクトランに対する信頼は、彼の中で地に堕ちていた。
自分に洗脳を行ったこと、そして何より三回目の放送時に流れたアレのせいで。

ベジータは歩き出す。
その瞳には、もはや恐怖心も迷いもない。
誇り高きサイヤの戦士、ベジータの姿がそこにはあった。

【一日目・午前8時30分/東京都/天候・晴れ】

【ベジータ@ドラゴンボールZ】
【状態】健康。ダメージ小。決意
【装備】スリッパ(ハズレ支給品)
【道具】支給品一式
【思考】
基本:主催者をこの手で叩き潰す
1:ミクトランをとりあえずぶっとばしとく
2:カカロットを殺した者を探し、倒す
※7期より参戦です

【ヤムチャ@ドラゴンボールZ 死亡】
最終更新:2011年02月17日 00:43