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「殺し合いなどという危険なことをなぜワシらがせねばならないんだ。こんなものまで配りおって……」
夜の街を歩きながら、鷹の爪団総統は肩を落としていた。
その手に持つのは柄の部分に“悟史”と描かれた金属バット
「第一、人を殺すなどという事は憎しみの連鎖を生むだけで、何もいいことなど無い。何故、それが分からんのだ。
 ……そうじゃ、互いを慈しみあい、尊重しあう――それがワシの目指す世界だというのに……」
悪の秘密結社の親玉らしからぬ言葉を発しながら、総統は星と月が浮かぶ夜空を見上げる。
その空に、ここにはいない部下達の顔を思い浮かべながら……。
「吉田君……レオナルド博士…………菩薩峠君…………それにえーっとその…………あ、フィリップ…………」
名簿には名前が書かれていなかったその部下達。
彼らは自分が突然いなくなって、どう思っているだろうか。
「……そうじゃ。ワシはまだやるべきことが残ってるんじゃ。こんなところで落ち込んでいる場合ではないかもしれない」
総統は上を見ていた顔を元に戻し、正面を見据える。
それはバトルロワイアルという現実を直視するかのごとく。
「……そうと決まれば、さっそく、ここから出る為の方法を探さんとな。その為にはまず仲間を――――」
――仲間を探そう。
そう言おうとしたまさにその時。

『あー、テステス! 本日は晴天なり本日は晴天なり!』

突如、総統の耳にはそのようなスピーカーから出てると思われる少女の声が聞こえてきた。
「……な、何じゃ!? 一体、どこから声が……!?」
総統がそのようにして驚いている間にも声は耳に飛び込んでくる。

『みんな聞こえる!? 私は涼宮ハルヒSOS団の団長よ!』

「え、えすおーえす団じゃと? ワシ以外にもどこからか秘密結社のものが来とるというのか?」

『なんか訳分かんないことになってるけど、こんなのどうにかしてると思わない!?
 こんな意味不明な殺し合い、とっとと中止よ、中止! 戦闘をしている人たちはソッコー中止しなさい!
 そして、皆で一致団結して元の世界に帰るわよ!! 私は役所の建物にいるから、日が昇るまでに皆来なさい!
 特にSOS団の団員は遅刻厳禁! キョン、ちゃんと聞いてるでしょうねぇ! 私は役所にいるからね! 絶対来なさいよ!』

「ふむ、このような状況だというのに実に毅然としておる。若いのに大したものだ。それに役所といったか。確かここから近いな」
地図を広げ、現在地と役所の距離を確認する。
「……やはり、すぐそこか。道理で音が大きく聞こえるわけじゃ」

『それとセワシだかっていう子供! 聞いてるんでしょ!? 私はあんたなんかの言いなりになんか絶対ならないんだからね!
 後で覚悟してなさいよ! 二度とそんな口聞けないようにしてあげるんだから!!』

実に威勢のいい声を上げるハルヒの演説を聞きながら、総統は役所へと足を進める。
自分と同じ意志を持った同士を見つけたことに対する喜びを胸に。

「役所など確定申告以来になるかのぉ……」
悪の秘密結社に確定申告があるかどうかは甚だ不明であるが、総統はそんな一人言とともに役所の自動ドアをくぐった。
「……さて、ハルヒという少女は一体――――」
総統は電気の点っていない薄暗い一階ロビーを歩き、ハルヒと名乗った少女を探し始める。
すると――――
「誰!? 誰か来たの!? もしかしてキョン!?」
突如カウンターの影から何かが飛び出し、総統へ向かって走り出した。
総統は、そんないきなりの影の登場に驚き、尻餅をつく。
「はひぃ!!! や、優しく殺して優しく殺して…………キリングミーソフトリィィィィ~~~」
そして、壁まで這って移動し、最終的には観葉植物の陰に隠れて、命乞いを始める。
……そんな総統の姿を見て、驚いたのはむしろ飛び出してきた方であり――
「……な、何やってるの、あんた。……てか、誰?」
その飛び出してきた少女こそ演説の主の涼宮ハルヒであったのだが、この時の総統には知る由も無かった。
「あわわわわわ…………吉田くぅ~~ん、吉田くぅ~~ん……」


総統は自分が怯えていた影が、彼の探していた少女であることを知ると、途端に落ち着きを取り戻した。
「……いやはや、情けないところを見せてしまったわい」
「それはいいんだけど…………あんた、本当に秘密結社の総統なわけ? そんな弱っちそうなのに……」
「う……。た、確かにワシらは常にデラックスファイターのデラックスボンバーでやられては、
 組織の基地を改装して、戦闘員を集めて一から育て上げて、戦闘兵器を作って、鶴岡八幡宮で必勝祈願をして、
 それでまたデラックスボンバーにやられるという繰り返しじゃが……うぅ、うぅぅぅううう…………」
勝手に語り、そして勝手に泣き出した総統を見て、流石のハルヒも困惑してしまう。
「……あぁ、はいはい。分かったから、もうこれ以上言わなくていいから。
 ……とにかく、放送を聞いてここに来たって事は、あんたもあたしに協力してくれるってことでいいんでしょ?」
「う、うむ……。ワシも君と同意見だからな。殺し合いなどやっても、悲しみと憎しみしか生み出さん」
総統は、最後の部分を極めて真剣な口調で喋る。
すると、ハルヒも真剣なまなざしでそれに頷く。
……そして、総統を期待の眼差しで見つけてきた。
「……そ。ならいいわ。……で、あんたは何か特技あるの? 秘密結社の親玉なんだから、何かあるんでしょ?
 宇宙人と会話できるとか、ゴミだけで凄いメカが作れるとか、凄腕ハッカーだとか、実は死なない体だとか」
「い、いや、体が些か頑丈で、節約が得意な以外はワシにこれといったスキルは…………」
総統が申し訳なさ気に答えると、ハルヒは心底がっくりしたように項垂れる。
その目には失望すら映っていて……。
「なぁんだ。折角の現地調達団員だから変わり者を期待してたのに、これじゃただの臆病な中年オヤジじゃない……」
「ちゅ、中年!? た、確かにワシは……ワシは……うぅ、言い返す言葉が見当たらんわい……」
「ま、いいわ。雑用くらいには使えるわよね。こんな人でも。とにかく今は、我がSOS団の団員を増やすことが大事よね!」
ハルヒの言葉を聞いて、総統は更にヘコむことになる……。

「……ところで、お嬢ちゃん。折角ワシがいるのだから、組織の名前を変えないかい?」
「名前を変える……って、どんな風に?」
「いや、その例えば、SOS団と鷹の爪団を組み合わせて、鷹の爪SOえ――」
「却下」
「むうう!! ……で、では、SOSの爪だ――」
「却下! SOS団はSOS団のままでいいわよ」
「……な、ならば、ならばせめて組織の決めポーズとして、これを認めて欲しい!」
「……どんなの?」
「いいか、よく見ておれ! こうやって手を前に出して――――」


「た~~~か~~~の~~~つ~~~め~~~!!!」


【F-5・役所内部 1日目・3:00】
【総統@秘密結社鷹の爪(その他:サブカル類)】
[状態]:た~~か~~の~~つ~~め~~
[装備]:悟史のバット@ひぐらしのなく頃に
[道具]:支給品一式、デイパック
[思考]
基本:皆で団結してゲームから脱出する
1:このポーズをSOS団の決めポーズにするのじゃ!
2:ハルヒに従い、仲間を増やす。

【涼宮ハルヒ@涼宮ハルヒの憂鬱】
[状態]:我が道を行く
[装備]:不明
[道具]:支給品一式、デイパック
[思考]
基本:ゲームの中止、及び脱出
1:却下
2:SOS団メンバーと合流
3:日の出まで役所に留まって、来訪してくる参加者を待つ。

※ハルヒの演説は役所にある放送設備を用いて行いました。
※役所を中心とした縦横3マスエリア(E-4,5,6、F-4,5,6、G-4,5,6)によく響きました。
※上記範囲外でも、不明瞭ながら耳を澄ませば声は聞こえると思われます。


最終更新:2007年03月01日 21:29