「あったかいのです」
梨花ちゃんはさっきから、トトロから離れようとしない。
無理もないか。こんな寒い時期に『服を脱げ』だなんてナンセンス極まりない。
だからこそ、こういうもふもふーな温もりを求めているのだろう。
そのトトロはといえば、あの茶髪の女の子に散々もふもふされたトラウマがよみがえったのか固まっている。
まあ、あれはトラウマになる。もし俺がトトロだったら、同じ心境に陥るだろう。
そういえば、先の放送で、梨花ちゃんの知り合いがひとり、死んだと聞かされた。
「竜宮レナ」。彼女よりやや年上のお姉さんだそうだ。
口癖は「かぁいいよー」「お持ち帰りぃぃぃ」でいったんそのモードに入ると、手がつけられなくなるそうだ。
……え?「かぁいいよー」?「お持ち帰りぃぃぃ」?
アッー!!もしかして、俺が殺したのって……あの「竜宮レナ」って子だったのか!?
まずいぞまずいぞ、もし知られたら梨花ちゃんに殺されかねない。
もし、殺されたら……俺のポケモンマスターの夢はどうなる!?俺のハーレムの夢はどうなる!?
こうなったら、ばれる前に殺すか?殺してしまうか?!
うん、そうしましょう。殺しちゃいましょう。
「幼女誘拐犯」から「幼女誘拐殺人犯」に昇格なのです☆なんて笑われてもいい。俺の夢の為だ……!!
そう思いながら、イワークを召喚しようとした瞬間……。
「みー?」
気取られたァァァァァァ!!!
「あわあわあわあわ……」
イワークの入ったボールが手の上ではね……転がっていく。
……そして、近くの池に落ちた。
「あああああああ、俺のイワークが……」
orz。まさにそのインターネットスラングと同じポーズで俺は落ち込んだ。
もっとも、その池はそれほど深くはなさそうであったが
いかんせんこの時期だ。池に入ろうものなら、風邪をひいてしまう。いや、むしろ死ぬ。凍死だ。
この格好(上半身裸)で池に落としたモンスターボールを取りに行き、
挙句の果て凍死して、ポケモンマスターの夢が断たれた……なんて笑い話にもならない。
せっかく症候群から脱出できたのに、こんな形で死んだら元も子もない。俺はため息をついた。
「タケシ、そのボールの中にいた『イワーク』とやらはあなたのお友達ですか?」
梨花ちゃんが話しかける。
「友達ってレベルじゃねぇ……『大切な仲間』だ」
「ボクと同じなのです」
「……?」
つまり、どういうことだってばよ?とばかりに俺は梨花ちゃんの方を見た。
「ボクも『大切な仲間』を失いましたから……」
「大切な仲間って……」
「先程話したレナなのです」
……。
「梨花ちゃん、そのレナを殺した奴が許せないか?」
「みー。許せないってレベルじゃないのですよ。でも、憎しみは何も生まないのです」
ー何度も経験した故の、発言ですよ……と聞こえるか聞こえないかわからない声量で梨花ちゃんは言う。
憎しみは何も生まない。とあの子は言っていた。けど、俺のやったことは……。
「そろそろここを離れるのです。ボク達のことを狙っている人がいるかもしれませんから……」
「ああ……」
今の俺に出来る、梨花ちゃんへの償いは彼女を意地でも守ってあげること。
そして、残りの知り合いと再会させてあげること。
なんやかんやで人にやさしくしなければ、ポケモンマスター失格なのだから。
「タケシー、早く来るのですー」
「あ、ああ。……ひっきし!」
ああ、早く服を着たい……。やっぱゲーム版の格好はきついぜ。
【一日目・14時03分/福島県のどこかの公園/天候・晴れ】
【タケシ@ポケットモンスター】
【状態】健康、上半身裸
【道具】モンスターボール×2、定春、トトロ、エリザベス、服
【装備】支給品一式
【思考】
1:梨花ちゃんを護衛し、残りの知り合いと再会させる
2:ポケモンマスターになる
【古手梨花@ひぐらしのなく頃に】
【状態】健康、下着姿
【装備】なし
【道具】支給品一式、私服
【思考】基本:タケシについていく
1:前を向いて進んでいくのです。
【トトロ@となりのトトロ】
【状態】健康。現在、ボールから出されている
【装備】なし
【道具】支給品一式、大きなコマ@となりのトトロ
【思考】基本:タケシに従う
1:ヴォオオオオオオオオオオオ(セリフ、なかったな……)
※福島県のどこかの公園にイワークの入ったモンスターボールが放置されています
※どんぐりとか、木の実たくさん@となりのトトロは放送前にトトロがおいしく頂きました
最終更新:2011年03月05日 22:16