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アンチ連盟本部での戦いから辛くも離脱したザンスパイン。
そのコックピットに座るエリス・クロードの膝の上で、ケロロ軍曹は怒りと悲しみに震えていた。

「ギロロにクルル……まさかあの二人が死んでしまうとは……!」
「ケロロ君……」
「エリス殿……仲間が死ぬというのは、何とも辛いものでありますなぁ……
 我輩の中で、殺した奴への怒りと憎しみが抑えきれないであります……」
「わかるわ、ケロロ君……でも、それに飲まれないで……」

優しく包み込むように、後ろからケロロを抱きしめるエリス。
エリスもまた、前の戦いで多くの仲間の死を目の当たりにしたばかりである。
あの時の仲間達の怒りが、彼女に後悔の念を抱かせていた。

――もしも私が、声が変わったくらいであんなに落ち込んだりしていなければ。
みんな私に怒らず冷静になって、あの場から迅速に離脱できたのではないか。
みんなをあれほどまでに怒らせたのは、私の弱さのせいだ。自分がもっとしっかりしていれば――

「エリス殿……泣いているでありますか」
「っ………大丈夫……ごめんね、ケロロ君……」
狭いコックピットの中で、空気が深い悲しみに包まれる―――

『感傷に浸るのは勝手だが、さっさと服を脱いだらどうなんだ』

そんな空気を、通信機越しのジェリド・メサの言葉があっさりとぶち壊した。

『別にこっちとしては、首輪の爆発でお前らが死のうが知ったことじゃないんだがな』
「そ……そうね。とりあえず服を脱ぎましょ、ケロロ君」
「エリス殿、これを預かって欲しいであります」

そう言って、ケロロがエリスに差し出したのは、自らの支給品一式、そして……
ケロロ小隊隊長の証、ケロンスター。

「ケロロ君、でもこれは……」
「我輩、他に脱ぐものがないからやむを得ないであります。
 それに……復讐心に染まりかけている今の我輩には、ケロロ小隊隊長としては失格であります……」
「ケロロ君……」
「制限が解けて、我輩の中で心の整理が付いたら……その時また、返してもらうであります」
「うん、わかった。あなたの隊長の証、その時まで私が預かってるね」

ケロロからケロンスターを受け取るエリス。
それにしてもケロロ軍曹、普段からこれくらいの信念を持っていて貰いたいものである。
しかしケロンスターを外したことで、彼の隊長という肩書きは消失。
それにより同時に、かろうじて保たれていた彼のあってないような威厳が完全に消失することとなった。

「……何だかケロロ君、急にさっきまでのオーラが消えちゃったような……」
「ケロ!?そ、そんなことはないであります!」
「そうかしら……それより、私も早く脱がなきゃ。」
「では我輩は外に……」
「何言ってるの、今外に出たら危ないわ」
「ゲロ~~!?」

……かくして、ケロロはエリスの脱衣シーンに立ち会うことになる。
もっとも、アンダースーツ止まりで肌を見るまでには至らなかったが……
ケロロ小隊隊長という肩書きも威厳も失われた今――
ケロロは確実に、いわゆるただの『淫獣』ポジションに収まりつつあった。


エリス・クロードとケロロ軍曹は、ジェリド・メサから全てを聞かされた。
過去に起きた殺し合い――前期カオスロワの存在。
それに参加した者達が、主催者の手により今回にも参加させられていること。
アンチ連盟が、前期から引き続き参加した者達を狩るための存在だということ。

『もっとも、今やアンチ同盟は事実上の壊滅状態だ。
 まだ残党は残っちゃいるが……司令塔のなくなった今、どれだけ機能できることか』
「なんで……どうして、アンチ連盟はそんな活動を続けているんです?」

毒づくジェリドに、エリスは尋ねた。至極最もな疑問を。

「その、7期の参加者を殺さなきゃならない理由って何なんですか!?
 どうしてそんな不毛な争いを!?それにどんな意味があるっていうんです!?
 置かれている境遇は、私達と何も変わらないじゃないですか!」

正論だ。仮に7期の参加者を全滅させたとして、それが何に繋がるというのか。
殺し合いを強制されているこの状況を覆せるわけでもない。これを不毛と言わずして何と言う。

『奴らを排除しなければ、俺達はどう足掻いても生き延びることができないんだよ』
「本当の敵は、このバトルロワイアル……それを執り行う人達じゃないんですか!?」
『ああ、そうだろうよ!だが、ロワにおいて主催どもと戦えるのはほんの一握り!
 多くは、奴らの所に辿り着く前に、殺し合いの中で死んでいくものだ!
 一握りの枠の中に入り込むには、必然的に他の誰かを蹴落とさなければならない!
 結局どんな綺麗事を並べようが、ロワってのは弱肉強食なんだよ!!』
「そのために、7期の人達を排除しようっていうんですか!?」
『これは『カオスロワ8期』だ!『カオスロワ7期・セカンドシーズン』などではない!
 旧世代にいつまでも台頭されちゃ、はっきり言って迷惑なんだよ!!』
「なんで、そうやって後ろ向きに考えるの!?
 他者の排除よりも、自分で活躍しようって気にはならないんですか!?」

エリスの言葉はどこまでも正論だ。アンチ連盟の行為は、ただの逆恨み・八つ当たりでしかない。
だが……ジェリドは、自虐的な笑みを浮かべつつ、それ以上の正論で言い返す。

『……確かに、強い個性を残すことができれば……7期の連中に埋もれず戦えるかもしれん。
 で?お前に聞くが、俺にそれができると思ってるのか?』
「……え?」
『このカオスロワにおいて、俺に奴らを上回る活躍が……いや、そこまででなくてもいい。
 最低限のまともな活躍すら、素でできると本当に思ってるのか!?』

そう……これが、彼らにとっての現実だ。
元々人気のあるボーカロイドや最近の作品のキャラなら、活躍の芽はあるだろう。
だが、ジェリドに彼らと同じことができるかといえば……否だ。

『俺の原作でのポジションは知っているだろう。所詮、カミーユの噛ませにして引き立て役……ッ!
 その程度の力しかない俺が、カオスロワでどうやって活躍できると思える!?
 真っ当な対主催としてもマーダーとしても芽などない男に、何が出来るっていうんだ!
 何も出来はしない……仮にチート能力を手にしても、小物ぶりを露出して潰れるのが関の山だ』

ジェリドは自分の限界というものを知っていた。
だからこそ、自分がカオスロワで満足に戦える器などないことを痛感していた。
まともな活躍が無理なら、ネタに走ればいいと思うかもしれない。
だがそれはそれで、尖った個性や過剰なまでのネタ性を用意しなければ存在し続けることすらかなわないのが現実。
変態化でもすれば話は違っただろうがプライドが許さないし、仮にそうなっても真っ先に間引かれるだけだろう。
結局どう足掻こうが、このロワにおいて彼に満足な活躍の場など許されていないのだ。

「そういえば……Gジェネワールドのマスターキャラ選択画面……
 歴代主人公やライバルが並ぶ中、なぜかジェリドさんがあの中にいましたけど……」
「確かに、場違いこの上なかったでありますな。他と比べて、格落ちっぷりが酷いであります」
『やかましい!エリス・クロード、お前も人のことは言えんぞ!
 あってないような最低限の設定とキャラ付けの、ゲームオリジナルキャラ!
 そんな無名オリキャラも同然の没個性で、この先どうやってカオスロワをやっていくつもりだ!
 お前、既にそこのカエルとの声ネタで、ほぼ唯一のネタ使い潰してるだろうが!
 それとも安易にカテジナ化でもしてみるか!?いや、それも結局は一発ネタにしかならん!!
 だいたい、新作で声が変わった以上、それもやるだけ虚しいってもんだ!』
「い、痛い所を……」

エリスもまたGジェネオリジナルとして自覚があるだけに、返す言葉もない。
ただ、ムキになるジェリドが痛々しくてならなかった。

「ジェリドさん……もしかして、疲れているんじゃないですか?自分の戦いに……」
『……かもな。俺はカミーユと戦い、負け続け……そして、全てを失ってきた。
 自分の地位も、戦友も……マウアーも。何もかも奪われ続けてきた。
 そして、最後に気付いたのさ。自分の限界と、自分の戦いがいかに虚しかったかをな』
「そこまで理解しながら、どうしてまた……」
『アンチ連盟の誘いに乗ったのも、それを払拭できる可能性を信じたかった……
 いや、違うな。単に八つ当たりの対象を見つけたかっただけかもしれない。
 だが、アンチ連盟も結局は7期連中の踏み台としての組織に過ぎなかった。
 奴らに勝つことすら許されない……奴らを引き立てるための存在。
 俺達は最初から、利用され醜態を演じるためだけに集められたんだ』
「……」
『モブ連中はそれに気付き、早々に脱退したよ。だが、俺は残った。
 俺はこの馬鹿げた餌に僅かな救いを求めて、縋り続けた。
 ハハッ……滑稽だと思わんか?結局どこまで行こうが、俺はこのポジションを抜け出せない運命なのさ』

自暴自棄とも取れる態度で、自嘲を込めて乾いた笑いを見せる。
彼は、自分の限界を知って、それでも足掻いて足掻き抜いて、その果てに心が折れたのだ。
そんな彼の行動を、誰が責められようか。

「ジェリドさん、アンチ連盟の壊滅した今、あなたはどうするつもりなんです?」
『……さあな、あてなど何もない。このまま死亡描写すらもなく、消えていって終わりだろうよ』
「なら、私達に協力してくれませんか」
『何……?』

「ゲロ!?エリス殿、本気でこんなヘタレと組む気でありますか!?」
『黙れボケガエル!お前にだけはヘタレ云々を言われる筋合いはない!
 ……で、どういうつもりだエリス・クロード。お前は俺に何を求めている』
「あなたは7期の参加者の人達の情報を知っているんでしょう?
 私は彼らと接触を試みるつもりです。そのために、協力して欲しいんです」
『馬鹿な、奴らと手を組むつもりか!?奴らの引き立て役として、潰されるのがオチだ』
「……私は、そういうこと気にしてませんから。
 それに最初に言いましたけど、本当の敵はこの殺し合いを強要する者達……
 彼らを打倒するためには、7期の人達とも手を取り合えるはずでしょう?
 いえ……そうでなくてはならないんです」

凝り固まった原作のジェリドであれば、頑なにこの申し出を断っただろう。
だが、その固執から抜け出て自分を見失った彼には、一考するだけの余地が生まれていた。
しばらくの沈黙の後、ジェリドはザンスパインにあるデータを送る。

「これは……7期参加者のデータ!?」
『言っとくが、奴らはお前の考えているような哀れな被害者ばかりではない。
 危険人物も変質者も大量に混じっている。それを理解しておくんだな』
「ジェリドさん……!」
『このまま消えるのも癪だから、しばらくはお前の甘っちょろい行動に付き合ってやる。
 だが勘違いするなよ。はっきりさせておくが、俺は7期の連中を快く思っちゃいない。
 お前の意図に従う義理もない。気に入らなければ、お前の邪魔をする事になるかもしれんぞ』
「……はい!それではあなたがそう考えて行動する前に、上手くやって見せます!」
『……ちっ』

頑固なまでに意志の固いエリスに、ジェリドは一つ舌打ちした。

【一日目・15時00分/埼玉県/天候・晴れ】

【エリス・クロード@SDガンダムGジェネレーションシリーズ】
【状態】健康、疲労(小)、アンダースーツ姿
【装備】ザンスパイン@Gジェネ
【道具】支給品一式×2、ケロンスター、尋ね人ステッキ@ドラえもん
【思考】基本:殺し合いを止める
1:7期参加者と接触を試みる
2:仲間を探す
※声は渡辺久美子です
※7期参加者の情報を入手しました

【ケロロ軍曹@ケロロ軍曹】
【状態】健康、エリスのザンスパインに同乗中(サブパイロット(淫獣)化)
    ケロンスター無(それに伴い威厳消失)
【装備】なし
【道具】不明
【思考】基本:殺し合いを止める
1:エリスと共に行動し、ケロロ小隊の仲間を探す

【ジェリド・メサ@機動戦士Zガンダム】
【状態】健康、やや自暴自棄、上半身肌着のみ
【装備】デスティニーガンダム@機動戦士ガンダムSEED DESTINY
【道具】不明
【思考】
1:しばらくはエリスと共に行動
※アンチ連盟の元仲間です。7期参加者を快く思っていません
最終更新:2011年03月06日 00:29