雷音竜は、確実にこの
ゲーム中最強を誇る参加者だ。
仮にジャイアンの母と戦いを繰り広げたとして、それでもなお彼の優性は変わらない。
炎だろうが氷だろうが雷だろうが彼にダメージを与えることはできない。
彼はまさに“地上最強”の名に相応しいまでのスペックを誇っているのだ。
そんな雷音竜は、現在謎の病魔と格闘中である。
「お、俺は……地上、さ、最強だ……どんな、奴で、も……0.2秒で、あ、あの世に、送る、ことがで、できるんだ……。
ゲホッゲホッ、ぶ、武器は持たない、カラテ、だ……」
全身を小刻みに震わせながら、雷音竜は身を小さく丸め、ひたすら病魔と死闘を繰り広げている。
生身で大気圏突破が可能な彼をも侵してしまう病原体。それは一体何だというのか。
「お、俺が、こうして、いる、理由なんて、き、決まってる……さ、さっき飲み込んだカプセルのせいだ……。
憎い、この俺の力が……ゴホッ、この俺の恐ろしい力が……ゴホゴホ」
彼は自分の強さを鵜呑みにし、誤って支給されたカプセル状の薬品を服用してしまったようだ。
普通添えつけられている説明書ぐらい読みそうなものだが、生憎地上最強の男に常識は通用しない。
『.pack//
感染拡大
これであなたも今日からステルスマーダー! 上手く使いこなしてムカツクあいつをD・E・S・T・R・O・Y!!
なおどれもブッ飛んだ危険物ばかりだから、使用の際は用法及び使用量を正しく守ってね☆』
そんな注意書きの書かれた袋にも彼は目を留めず、中に入っていたビン詰めのカプセルを飲んでしまった雷音竜。
完全に自業自得とも言える状況下に置いても、彼は自分の“地上最強”を貫こうともがき続けている。
しかし、それが終わるのも時間の問題であろう。既に病魔の進行は、深刻な所まで迫りつつあるのだから。
「俺…………地上……奴、0.2秒……送、武器…………カラテ……」
もはやぶつ切りの単語群を搾り出すのが限界の竜。恐るべき症状の進行速度である。
下痢をしている訳ではないから、ノロウィルスではない。
異様な筋肉も見られないので、ドーピングコンソメとも考えられない。
……ならば、一体?
「…………………………、」
ドサリ、と。
雷音竜は、その場へ静かに崩れ落ちた。
ピクリとも、動く気配がなかった。
ついでに付け加えるとするならば、息もしていなかった。
【雷音竜@地上最強の男 竜 王大人死亡確認】
―――三分後。
バネ仕掛けの人形さながらの動きで、突如死体が跳ね起きた。
死体の名前は雷音竜。
先刻謎の病原体に当たってしまい、再起不能になった筈の男である。
「……フゥー……フゥー……」
血走った眼で、雷音竜は見える世界を均等に睨み付ける。
まるで、それが自分の不倶戴天なる怨敵であるかのように。
「殺す……奴だけは、この世から抹殺する……」
ありったけの憎しみが込められた呟きを発すると、雷音竜は傍らに落ちていたデイバッグを開き、中からカプセルの詰まったビンを取り出す。
そして、壊れよとばかりにそれを力強く握り締めると、そのままどこかに向けて疾走していってしまった。
なお、彼が放置していったデイバッグに残された説明書によれば、
『CSV-カプセル
現代医学では改名不能な奇病「キャプ見沢症候群」に飲んだ人を発症させちゃうウィルス満載のカプセルだ!
発病したら最期、
キャプテンやその兆候・適正のある人物を抹殺するだけの特定マーダーに大変身!
うまく自分がキャプテンじゃないことを証明できれば、これ以上に有効なアイテムはそうそうないぞ!
接触感染も在り得る上、一度体内にウィルスが入れば最期、超即効性なのでで効き目バッチリ! Tウィルスも真っ青だ!』
とのことであるらしい。
【一日目 0:10 G-7:道路上】
【雷音竜@地上最強の男 竜】
[状態]:キャプ見沢症候群
[装備]:武器は持たない、カラテだ!
[道具]:CSV-カプセル(残り30粒程度)
[思考]
1:キャプテン(=
生真面目小隊長)を最優先で殺す
2:一見正常な者でもキャプテンの素質・疑惑がありそうなら殺す
3:完全に大丈夫のようならカプセルを飲ませ、仲間に加える
※G-7の道路脇に雷音竜のデイバッグが放置されています。中には支給品一式の他に、感染拡大セット
(ノロウィルス入りフラスコ ドーピングコンソメスープの素(使い捨て) T-ウイルス(@バイオハザード)入りの試験管
バイバイン@
ドラえもん ポイズンロッド@FF5 『矢』@ジョジョの奇妙な冒険 貞子のビデオ単品@リング)が入っています。
上記の感染セットは、どれも効果・用途を解説した説明書が添付してあります。
最終更新:2007年03月10日 01:14