この殺し合いが始まって、もう七十年が過ぎる。
そして今現在、殺し合いは終結していた。
実際の所、終わったのは今より五年前であるが、それを気にする者はいない。
参加者は一人を除いて死滅し尽くしたからだ。
全ての死体は放置されている。ミイラ状態で武器や道具やらを持ち亡骸は風景のようにこの世界に存在した。
ある時は主催が立ち上がれば殺され、その殺害者をも殺し主催が立ち上がる。
上記のような現象は参加者にも当然、起こる。殺しの連鎖が永遠に続く。
だから膨大な数の参加者は減っていく。そして誰も殺し合いを止めようとはしなかった。
皆、それがなければ存在価値を失ってしまうような存在になったのだ。
存在を失うことを恐れた彼らは殺しあう。ただ何の目的もなく。
狂気がこの世界を支配していた。正常な者が異常者とされながら。
だが生き残るのは正常者である。結局は異常者は何が起ころうとも異常者なのだ。
その正常者は
キョン、という名の老人だった。彼は拳銃を持っている。もう参加者はいないと言うのに。
彼は渋谷、とかつて言われた戦場に木造の椅子を置く。彼はそれに座り、周りを見渡す。
そこにいるのは死体だけだ。首がもがれたり足がなかったり胴体が真っ二つだったりする、そのモノが。
誰もいない世界であろうが季節は続く。現在は夏。だが蝉一匹すら鳴いていない。
キョンは現在、何も持ち合わせていなかった。食料も気力も体力も失ってしまう。
それはそのはず、こんな不生産的な
ゲームで何が残ろう。唯一言うなら死者だけだ。
そう、もはやこのゲームは全員が死ぬまで終わる事は無い、というルールに変わっていた。
主催はいないが自然の摂理のようにそれは決められた。そしてキョンは今日、それを終わらせる気なのである。
彼は死を恐れなかった。その前に死がどういう者かがわからなかった。
自分は何回も死んだ。死んでは無いことにされ、また殺し合いに参加させられていた。
他にもそういう者達がいて、中にはその道のベテランのような者もいたが、それも死ぬときはあっさりだ。
死んでも死にきれないという枷も運命のように消え去り、参加者は死んでいく。彼は多く見てきたのだ。
口を開け、銃口を突っ込む。引き金を引く。
彼は走馬灯を見る。音速を超えた銃弾が彼の脳みそをぶっ飛ばすその間で。
そこに見たのは嘗ての仲間達、そして死んでいった者達。
ハルヒも死ぬ。長門も死ぬ。朝比奈も死ぬ。古泉も死ぬ。みんな死ぬ。
(じゃあ俺の番でもおかしくはないよな、ハルヒ)
死んだ者に言葉を捧げ、彼の脳みそは吹っ飛ぶ。
その夏に死ぬ男は誰にも見られることはなく死んだ。
殺し合いは終末を迎えた。