(ついにここまで来たか・・・・・・)
フォルカ・アルバーグは眼前の祠を見て思う。
古びた神社の中に建てられていた物だが、彼は確かに此処に気配を感じていた。
扉を開けて、老朽化した木面の床を捲りあげる。
「むぅ、これは如何にも怪しい階段でありますな~」
「おいおいこれは一体どういうことだ?」
神社には大よそ似つかわしくない石の階段が姿を現し、ケロロとジェリドが感想を漏らす。
そしてフォルカは、ここが主催者の本部であろうことを告げ、暗闇の中へと足を踏み入れていく。
すると耳障りな電子音が彼を中心にして鳴り響き、すかさずフォルカはケロロ達の元に駆け上がった。
「むむ!? 首輪が警告音を鳴らしている?」
「ああ。 これまでの実験でわかっているだろうが、この音は、『禁止事項』を満たそうとした時に鳴るそれと同じ物だ。
そしてここから先に足を踏み入れることが『禁止事項』だとしたら・・・・・・」
「禁止区域。 態々そんなもんを設定するとしたら主催が身を隠すため、しか無いな」
「そういうことだ」
同行者達が各々納得したところで、彼らに先に進むことを提案する。
当然彼らはそれを否定した。 元より自分達には首輪を外す術は無い、
これ以上進んだって犬死するだけだ、と。
「そりゃあ気持ちはわかりますが、今のフォルカ殿では何もできないのでは?」
「死にたいなら勝手に一人で行ってろ」
「問題ない」
フォルカは自分の首輪に両手を添えて握り締める。
首輪が警告音を発するが、まだ大丈夫だ。 まだ爆発はしない。
拳に闘気と僅かばかりのノアの力を集中させ、すかさず左右に引き離す。
そして手に残った残骸を祠の外に投げ捨てた直後、機械の破壊音とともに爆風が扉を焼いた。
「こんなことが・・・・・・」
「・・・・・・冗談はこれっきりにして欲しいぜ」
ジェリド達は己の目を疑った。
『首輪を引き千切って、首輪が爆発する前に投げる』
フォルカが行った動作は極めてシンプルな物であったが、彼らを沈黙させるには十分だった。
素手で首輪を破壊できるだけの力を持った者ならば、この大陸を探せばいくらかはいるであろう。
しかしそれに速さを伴うとなれば話は別だ。 電気信号が機械を伝わる速さは、人間の反射神経を遥かに上回る。
肉体が神経に従って動いている限り、人の動きが機械の反応を超えることなどありえないのだ。
よって彼らには最初からそのような選択肢は存在しない。
「俺は行くぞ、お前達はそこで待っていてくれ」
「え、ちょっとフォルカ殿!?」
放心しているケロロ達を差し置いて、フォルカは階段に足を踏み入れようとする。
だが手首に感触を感じ、咄嗟に掴んできた手の主に振り返った。
「エリスか・・・・・・ここにいると主催に目をつけられる。
主催は俺に任せて、お前達は殺し合いをしている参加者達を止めてくれ」
「それは結構です。 でも・・・・・・」
「でも、どうした?」
「ショウコさんのことはどうするのですか?」
彼女から告げられた名前に、フォルカは微かに顔を強張らせる。
ショウコ・アズマ。 かつてフォルカが一人の修羅でしか無かった頃に、彼を支えてくれた女性だ。
闘うことしか無かった彼の人生に、初めて手を差し伸ばしてくれた少女である。
戦士でもただの一人の女でしか無かったショウコに、フォルカは並々ならぬ感情を抱いていた。
だからバトルロワイアルが始まってきても、常に彼女のことを捜し求めていたのだ。
「フォルカさんが強いことはわかります。
フォルカさんならもしかしたら主催者達を倒すことができるかも知れません・・・・・・
ですがショウコさんはどうなるんです?
もしも貴方が死んだらショウコさんはどれだけ悲しむと思っているんですか?」
沈黙を続けるフォルカに、エリスは次々と言葉を浴びせる。
それは大きな信頼であると同時に一つの不安の表れでもあった。
フォルカ・アルバーグは、主催を倒す剣となるかも知れない。
しかし同時に、彼が倒れてしまったら彼を待つ少女は何を思うのだろうか。
勝てるかどうかわからない戦いに身を投じるよりは、大切な人を安心させるべきではないか。
「・・・・・・」
「フォルカさん!」
エリスの問いに対する答えはない。
叫ぶ彼女の手を振り解き、フォルカは一人、前に進む。
参加者に過ぎない人間ならば、冥府への入り口でしかないが、
フォルカは戸惑うこと無く門を潜っていく。
取り残されたエリス達は、呆然と彼を見送ることしかできなかった。
「フォルカさん・・・・・・」
「エリス殿、ショウコ殿は我輩達が探しましょう。
それにしても、どうせなら我輩達の首輪も外して貰えば良かったでありますなぁ」
ケロロは落胆するエリスの肩に手を置き、気を紛らわそうとしたのか別の話題を振った。
彼女の様子を見ていたのだが、ジェリドが祠の外に駆け出す。
どうしたのかと声を掛けようとするケロロであったが、彼の思考をエンジン音が阻害する。
すぐ後に浴びせられたジェリドの罵声によって、彼らも自分のMSにへと駆け出した。
「お前ら! 話は後だ、こいつらを何とかするぞ!」
飛翔したデスティニーガンダムとザンスパインの周りには、無数の機動兵器が点在していた。
「機神拳!」
手前から迫ってくる戦闘員の群れを、裏拳、蹴り、そして突きで蹴散らしていく。
すると死角から2体の戦闘員が彼に飛び掛ってきた。
フォルカはそれを確認することも無く、両の拳に闘気を宿らせる。
「機神双獣撃!」
龍の闘気は前方の戦闘員を払ったかと思うと、
その身を翻してフォルカの後ろへと泳いでいく。
二対の龍は背後の戦闘員に襲い掛かる。
空中で逃げ場もあるはずが無く、彼らは龍によって噛み砕かれ、
その顎はフォルカに仕掛けようとしていた後方の戦闘員達を次々と貫いていく。
「お前達に構っている暇はない!」
物言わぬ死体を除けながら、フォルカはさらに奥へと進む。
祠の階段を降りていった先には、彼の想像通り、バトルロワイアル主催者の者らしき施設に通じていた。
事実、彼を襲った戦闘員達は皆、参加者の証である首輪を全くつけていない。
(そう、俺はこんなところで時間を取られているわけにはいかないんだ)
顔を引き締めて、フォルカは全力で走り出した。
体力はノアの力抜きでも人を軽く超えているため、多少の無理は考えなくていい。
死体を傷つけることも厭わず、ただ只管に大地を踏みしめていく。
(ノアの見た未来を消し去るためにも!)
バルサンの脅威から幾多の次元を救っている間、フォルカはそれら全ての世界を見た。
そしてその中のいくつかの世界が、闇に覆われている所を目にしてしまったのだ。
全ての生命が朽ち、物だけが存在して動いている世界を。
肉体の一部を欠損し、あるいはそのまま放置させてミイラ化した死体の数々、
しかしそれらの首には、このバトルロワイアルの物と同一の首輪が填められていた。
もしかしたらこの世界にも訪れてしまうかも知れない一つの結末。
それを見てしまったのだから、他の対主催が倒れてからなんて悠長なことは言っていられなくない。
(ショウコ、待っていろよ・・・・・・)
未だに姿を見ることが適わぬ少女を思い出す。
フォルカの目論見、それは一刻も早くバトルロワイアルを終結させて、ショウコの安全を確保するというものだった。
何処にいるかわからない人間を探すより、主催を叩く方が早いと考えたためである。
エリスに言われた通り、フォルカはフォルカでショウコを救おうとしていたのだ。
同時に告げられた不安も、フォルカのノアの力の前では杞憂でしかない。
彼の頭に浮かぶのは、ショウコをあの世界の住人にしないこと。
そして・・・・・・
(みんなが主催探しに手間取っている中、主催を倒せばまさしく俺は英雄になれる!
この活躍の前にはどんな対主催だろうと霞むだろう・・・・・・いけるな!)
誰よりも目立つことである。
「扉か。 この先に主催がいるのだろうか・・・・・・」
走っている間に、フォルカは施設の一角であろう部屋の前に辿り着いた。
体感では結構奥に進んだのだが、扉を目にするのはこれが初めてだ。
道中には雑兵以外と戦ったことがない。
これから先には今よりも強大な敵が待ち受けているであろう。
しかし恐れることはない。 修羅とノアの力を合わせれば、自分達に打ち砕けぬ物など何も無いのだ。
「いらっしゃいませぇぇぇ!!!!」
「は?」
扉の先に広がっていたのは、秘密基地の一角でも大量の雑魚でも何も無かった。
目の前には、活発そうな少女が声を張って明るく礼をしている。
カウンターの上には帳簿や時計が並び、奥の棚には多くの酒瓶が並んでいる。
「リッカの宿屋へようこそ!」
「え? ああ宿屋・・・・・・」
2階へと続く階段が見えるが、恐らくそこに客室があるのだろう。
そうだとするとこの階はフロントということになるのだが、
広間にしては他のホテルよりも少々騒がしい。
『『貴方と合体したい・・・・・・気持ちいいー!』』
「楼座さんと桂さん自重して欲しいなぁ・・・・・・」
階段を降りてきた緑髪の巫女が嘆く。
ここはラブホテルか? 突っ込みたいところだが、少女がそれを許さない。
「1階は酒場、2階は客室となっています! お客様はどちらをご利用でしょうか?」
「いや俺は・・・・・・」
「ど ち ら を ご 利 用 で し ょ う か ?」
「じゃ、じゃあ酒場の方で! すぐ出るからミルクでいい!」
「かしこまりました!」
有無を言わさぬ迫力に、思わず注文を答えてしまう。
すると少女は慣れた手つきで複数のグラスに液体を注いでいく。
ビール、ワイン、ウォッカ、ジュースと色とりどりのグラスの中に、ミルクのグラスが加わった。
そしてエプロンを着た従業員がそれらを次々とトレイに乗せた。
自分のグラスまで手を伸ばされたため、あっ、と声を出した。
「あ、
キョンさんそのミルクは置いていってください・・・・・・
会計は今でいいでしょうか?」
「それで頼む」
キョンと呼ばれた青年を見送り、少女はフォルカの前に手の平を差し出した。
彼女の意思を感じてポケットから千円札を取り出して乗せる。
一瞬、通貨はこれで大丈夫だろうかと思ったが、笑みを浮かべて小銭を取り出す様子を見ると、
不安はすぐに消えた。
(しかしここは一体何処なんだ?)
フォルカはカウンター席に座って現状を思案する。
冷えたミルクが脳を冷やしてくれたおかげか、大分落ち着くことはできた。
ミルクの微かな甘味を噛み締めながら、此処に至るまでの道のりを思い出す。
祠の階段を降りて、主催者の本拠地に来たはずだ。 戦闘員達を殴った感触だってまだ残っている。
「うらあ! 酒持ってこんかい!」
「アッコさんマジぱねぇwwwこれで100杯目www」
「飲みすぎは余りよくないですよ・・・・・・」
「こんなことしてて私達大丈夫なんでしょうか・・・・・・」
「澤井さんに先生、そんなに思いつめるもんじゃありませんよ。
パーっとやりましょう、パーっと」
「そうそう、ただで飲めるんだからもっと騒がなきゃ! ほら九ちゃんも!」
「妙ちゃんが言うなら私も飲もう」
「お前らはいいよなぁ・・・・・・ああ、将軍のことどう誤魔化そう・・・・・・」
なのに扉を開けたら宿屋(酒場)が広がっていた。
しかも何故か客も結構来ていて、店の一角では宴会場と化している。
彼らに悟られないように、フォルカは客と店員の首を一瞥した。
「何故私がこんなことを・・・・・・」
「あ、ティアさんそれ6番テーブルまでお願いしまーす」
(首輪があるだと!?)
ここが主催者の本拠地ならば、参加者を阻むための禁止エリアが設定されているはずだ。
従って本来彼らは首輪の爆発で死亡していなければならない。
なのにも関わらず彼らが生きてるということは、フォルカを焦らせるには十分だった。
(ここがもし主催本部でなければ、俺は一体何処に来てしまったというんだ!?
いやしかしそれだとあの戦闘員達は一体・・・・・・)
仲間を見捨てて無駄道をしたとしたら、時間を大きく浪費してしまったことになる。
だがそれとは別に、フォルカの推測を証明する物も確かに存在するのだ。
考えを巡らすが、悩めば悩むほど深みに嵌っていく。
すると奥の階段からTシャツにトランクスという、ラフな格好をした女性が上がってきた。
特に意識していなかったから気づかなかったが、地下にも階段があったらしい。
「またスロットでスッた・・・・・・コイン頂戴」
「その前にバイトしてくださいマーニャさん」
考えていても仕方ないので、とりあえず外に出ることにした。
「おかしい、確かに俺は主催本部に・・・・・・」
宿屋の外に出てみると、そこは確かに今まで自分がいた基地の一角であった。
辺りをよく見渡してみると、実は曲がり角が存在することに気づく。
ちょうど出入り口から左側に広がっており、通路の端に二つの人影を発見した。
「お前達、何をやっている」
近づいて話しかけるとともに、彼らは銃を向ける。
背丈はまだ子供であるが、怪しい人物への対応は一流の戦士のものだ。
しかし明確な殺意を感じ取ることは出来ず、あくまで牽制といった感じである。
最も発砲するのならばこちらとて容赦はしないが。
「待て、お前達に危害を加えるつもりはない」
だがあくまで自分の目的は主催者の打倒。
避けられる戦いは出来る限り避けたい。
両手を上げて敵意が無いことを示すと、黒髪の少年は銃を下ろした。
「・・・・・・敵では、ないようだな」
もう片方の茶髪の少年も銃を下ろして呟いた。
銃口が向けられなくなったため、今度は彼らの背後の物体に目を移す。
壁から伸びるケーブルがノートパソコンに接続されており、
その画面には、無数の記号が羅列されている。
フォルカには大よそ解読できない内容だが、彼らは今までこの暗号を解いていたらしい。
「何をしていた」
「主催本部にハッキングして首輪を無力化していた。
今まではこの一帯しか効果が無かったが、今なら先に進めるはずだ」
黒髪の少年の言葉にフォルカはやや眉を顰める。
彼らの言う通りであれば、首輪をつけている他の対主催まで主催本部を自由に動けるようになるのだ。
このままでは彼らに先を越されてしまう、自分以外の者が英雄となってしまう。
それだけはなんとしても避けたい。
フォルカの瞳に最早、少年達は映っていない。
彼らを置き去りにしてフォルカは通路の奥へと走っていった。
「どうして奴に話した?」
「話さないメリットが特に無いと判断しただけだ」
「そうか。 それより残りの食料はあるか?」
「カロリーメイトだ、食うか?」
「・・・・・・チョコレート味か?」
「いや・・・・・・俺はフルーツ味しか食わん」
「もらおう。俺もフルーツ派だ」
「舞朱雀・交!」
「地斬疾空刀でございます」
「ミスターブシドー!いざ、尋常に!勝負!」
「悲しい・・・・・・とても悲しい話をしよう・・・・・・
俺は今、主催を倒すとか言って連れて来られたと思ったら、
主催とは程遠い雑魚ばかりの相手をして悲しくて本当にどうしようもない。
この騙され具合は(ry」
「いつまでもウジウジしてんじゃないの! 邪鬼銃、行きなさい!」
拳と斬撃が飛び、あらゆる敵対する異形を次々を蹴散らしていく。
攻撃を掻い潜ってきた戦闘員を、仮面の男やでかいレンチを持った男がとにかく斬ったり殴ったりしている。
さらに背後の人形使いが、自前の等身大人型兵器を使って打ち漏らしを潰した。
「なんだこれは・・・・・・」
通路を進むと、大量の怪人やらモンスターやら戦闘員と交戦を繰り広げる参加者の姿があった。
いくつかの参加者はフォルカ自身にも見覚えがあるが、正直感動の再会を喜んでいる暇はない。
「フォ、フォルカさん!?」
「フォルカさん・・・・・・よくもアレディさんを・・・・・・!」
「な!?」
そしてよりによって今、一番会いたくない参加者と出会ってしまった。
うまく場を誤魔化すための言い訳を考えていたが、彼女達以外からも殺気が向けられていることに気づいた。
「お前、今まで何処ほっつき歩いていた!」
「ここらが
年貢の納め時であります」
「神夜達の仲間を殺した真意、確かめさせてもらおうか!」
「うれしい、とてもうれしい話をしよう。
探していた宿敵が自分からのこのこ歩いてやって(ry」
「事と次第によっては手加減しないわよ!」
どうやらフォルカ・アルバーグがアレディを殺害したということは彼らにも伝わっていたらしい。
それほど広くはない通路で囲まれているため、傷つけずに突破するには厳しい。
ノアの力を使えば通るだけなら可能であるが、その場合彼らを生かして置ける自身が無い。
それにノア自身が消耗している現状では、余り彼の力を多用したくも無いのだ。
しかし悩んでいる間にも彼らはフォルカと距離を詰めていく。
「うわぁぁぁぁ!!」
「ルイージさん!?」
フォルカ達の間を割って緑の帽子の男が飛んできた。
モンスター達の攻撃で突き飛ばされたらしく、ぼろぼろになった服からは生傷が所々、姿を現している。
神夜は彼のルイージと呼ばれた男の元に駆け寄り、彼に心配そうに声を掛けた。
「いや、これぐらい気にすることは無いよ。 それより・・・・・・」
ルイージと呼ばれた男は体に付着した埃を払いながらも立ち上がり、
フォルカを一瞥した後、神夜達に向き直った。
「みんな何やってんだ! 僕達は今、戦っているんだよ?
戦うべき敵が目の前にいるのに突っ立っていてどうすんの!」
ルイージの一括に神夜達は、はっとしてモンスターの群れを見た。
フォルカごとまとめて一網打尽にしようと全員牙を立てて飛び上がっていた。
しかしそれらはルイージを始めとする、逸早く対応に移った者達によって殴り落とされて、地面に叩きつけられる。
「フォルカさんが敵なら、僕達はとっくの昔に襲われているさ。
でもそうして来ないってことは少なくとも今は敵じゃない、てことでしょ?」
「ルイージさん」
「そりゃ僕だってハーケンの仲間を殺したそいつは許せないよ。
でもフォルカさんが僕に掛けてくれた言葉。 殺し合いを止めると宣言した言葉が嘘だと思えないんだ」
「でも・・・・・・」
「彼はアクセルさん達の仲間だったんでしょ? もしかしたら何か事情があるかも知れない。
それより僕達が今やるべきことはそれじゃない。
僕達は・・・・・・」
ルイージの台詞を遮り、緑の影が神夜に襲い掛かる。
それをルイージは受け止め、仕留め損なった影は元いたモンスターの群れへと戻って着地した。
「いつまでも無視するなー!」
「余所見をしている場合じゃないぜルイージ」
「ア、アシェンさん・・・・・・」
「ちぃ! フォルカ、残念ながらお前のことは後回しだ。
無罪を証明したきゃ少しは手伝うんだな!」
「言われるまでもない!」
アクセルの怒声を浴び、フォルカは既に交戦を再開したラミア達の下に加わる。
味方として戦っているフォルカの姿を確認し、ルイージは怒りに震えたノコノコの顔を見た。
「アシェン、そしてノコノコ。 エクスデスを殺し、今度は僕達を殺そうとしている。
教えてくれ、何が君達をそうさせるんだい?」
「教えてくれだと? 俺は許せなかっただけだ!」
亀の獣人は瞬時に甲羅に手足、そして首を引っ込め、それをアシェンが蹴り飛ばす。
瞬く間に殺人的な速度を得たそれは、ルイージの腹目掛けて飛んでいく。
「許せない? 何がだ!」
ルイージはそれをアッパーカットで突き上げて勢いを殺そうと試みたが、
進路が逸れるだけに終わり、甲羅は壁を反射してルイージの脳天を割ろうとする。
ルイージはスーパージャンプパンチでそれを相殺し、ノコノコは地面に手足を出して地面に着地した。
しかしノコノコはその反動をバネにして、今度はルイージに殴りかかった。
「貴様らばかりがチヤホヤされ!
俺達はいつも日陰の笑い者!
お前達の引き立て役になるために当然とばかり踏み潰される仲間達の気持ちがわかるか!」
ノコノコは憎しみを一切隠さずに全てルイージにぶつける。
パンチの連打を裁ききれないと判断したのか、ルイージは全て腕で受け止めていた。
いつまで経っても拉致が空かないと判断したためか、ノコノコはヤクザキックで彼を大きく蹴り飛ばし、
ダッシュパンチを放つ。
「お前達
みたいな仲間殺しは・・・・・・人殺しは! 俺が殺してやる!」
後ろに足を突き出してルイージは姿勢を整え、スタンディングスタートの要領で加速をつける。
直後、辺りに鈍い音が響き渡った。
「!?」
「君の憎しみはわかったよノコノコ・・・・・・
正直まだ、殺す殺されるなんてよくわかないけど、君の言う通りなら僕は立派な人殺しだ。
でもだからと言って僕の仲間を殺すというなら、やっぱり僕は君を許せない!
だから来いノコノコ! 僕は君を倒す!」
「ほざけぇぇぇぇぇぇ!!!!!!」
「大分時間を取ったが、なんとか逃げられたな・・・・・・」
ノコノコとアシェンを筆頭とするモンスター軍団が神夜達の相手をしてくれたおかげで、
乱戦に紛れて彼らの元から逃げ出すことができた。
しかしフォルカの頭からは未だに神夜達への謝罪の念が離れることは無い。
(殺すつもりは無かった、と言っても無駄だろうな)
どんな理由があろうとも、誰かを殺してしまったらそれは立派な人殺し。
アレディとの勝負で彼を殺害してしまったのは一種の事故であり、
彼は立派な主催の手の者だったのだが、神夜達からすれば大切な仲間に他ならない。
アレディという一人の修羅を殺したことは、今後一生彼の人生に付き纏うだろう。
だから全てを終えた後には決着を付けなければならない。
(そのために今は主催を倒さなければ!)
細長い通路の奥に、一筋の明かりが見えてきた。
もしかしたらこの先に主催足りえる人物が潜んでいるかも知れない。
期待に胸を膨らませ、フォルカは光の中に飛び込んだ。
♪デデデン、デデデンデデデ~ン、デデデデッ
カ オ ス ロ ワ フ ァ イ ト !
製作:俺
「親子喧嘩」
ここは主催本拠地の某所、
何やらウルトラセブンと全身銀色の青年が睨み合ってます。
「ずっと気になってたんだけどお前一体何者よ」
「お前はウルトラマンじゃない!」
おおっと青年がウルトラゼロアイを取り出した。
「俺がウルトラマンだ」とほざいた瞬間、ウルトラマンゼロに変身しましたぞ!
セブンとゼロ、二人のウルトラ親子が感動の再会を果たしてではありませんか。
「うん俺ウルトラセブンだしね、マンじゃないしね」
でも変な言いがかりを付けられたセブンは、黙らせるためにとりあえず先制攻撃しておきます。
「何言ってんだ親父!」
しかしゼロくん負けてはいられません。
セブンのパンチで仰け反りつつも、すかさず反撃に出ます。
「親父とかわけわかんないけど、やるってならやってやるよ」
ここで年季の違いかセブン、ゼロの蹴りを難なく交わしました。
そのまま足を掴もうとしますが、息子のゼロくんだって意地があります。
蹴り上げた足でそのまま踵落としを放ちました。
たまらずセブン、悶え苦しみます。
「見たか親父!」
ところでゼロくん、さっきからセブンのことを言っていますが飛んだ勘違いをしてますね。
確かにゼロくんはセブンの息子ですが、このセブンは昭和仕様です。 子供とかいるわけありません。
「ヘァァッ!」
ここでセブンが声をあげてまだ大丈夫だと言わんばかりに立ち上がります。
息子でなくともここは先輩、同じウルトラ戦士としてポッと出の若僧に膝を折るわけには行きません。
セブンとゼロの激闘はまだまだ続きますが、残念ながら今週はここまでです。
以上、実況のT-1000でした。
「いやぁ面白かったねカズーイ」
「でもまだ戦っているみたいよ、バンジョー」
「それよりかわいい子探しに行こうよ」
「というかエジプトに行っていたはずなのに、どうしてこんな所に・・・・・・」
(なんでこんな所で親子喧嘩やってんだ・・・・・・)
ルイージ達が熱戦を繰り広げているものだから、ここのウルトラマン達の闘いはフォルカからしたら
とてもしょうもないものに思えた。 観客は一応いるが、ほとんどが人外だ。
「小腹が空いた時にはシェフのお手製料理がありますよ」
「そんなもんよりドーピングコンソメスープはどうですかー」
「筋肉がつきますよー」
筋肉達磨というべき屈強な男三人が食品を売り歩いていた。
ますますこの闘いが見世物臭く思えてくる。
体を動かしていたせいか、男達の料理がやけに魅力的な物に見えてくる。
小銭は余っているから少しくらいなら構わないだろう。
「おい、シェフの特製サンドとドーピングコンソメスープを頼む」
「行くか」
空腹を満たしたフォルカは、すぐにこの場を離れることにした。
何故だか体がやけに軽い。
今ならノアの力を使わなくても巨大人型兵器も倒せる、そんな気がする。
もちろんそんなはずは無いのだが、全身に漲る筋肉はそれを可能だと錯覚させてしまうほどの魅力がある。
さて、いつまでもここで時間を潰している暇ではないだろう。
時間が惜しいということもあるが、これ以上セブンとゼロに近づきたくないというのが本心だ。
自分以外のウルトラマンを否定するノアは、できることならば彼らを抹消したい。
しかしそれは同時に、ノアの信じる正義と反発してしまう。
ならばこれ以上彼らの前に姿を現さなければいい。
入ってきた方角の向かい側に、新たな通路が見つかった。
未だに喧嘩を続けているウルトラ親子を飛び越えて、フォルカは次にフロアに移動した。
最終更新:2011年08月13日 00:25