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「……もう追っては来ないみたいだな」
ローラ姫から逃げ切れたことを確認してから、俺は乱暴に地面に座り込んだ。
どれぐらいの時間走り続けたのだろうか。
体中が汗でびしょびしょになっているし、喉もカラカラだ。
水分を補給しようとして、デイパックをローラ姫との対話の時に投げたのを思い出して軽く後悔する。
「食料も支給品も全部無くしちまったか……。どうすっかなあ」
支給品は拡声器一つだったので別にどうでもいいが、食料を失ったのは痛い。
人間何日かは飯を食わなくても死にはしないが、空腹では力もでないし集中力も乱れる。
それではここぞという場面で役に立てない。
「どっかに食料があるといいんだが」
カオスロワという性質上、店や家内に食料が置きっぱなしという可能性は極めて高い。
「しょうがないな、食い物を探すか……ん?」
探索に出かけようとして、何か呻き声のようなものが聞こえることに気が付いた。
「誰かいるのか?」
不審に思いながらも、俺は姿の見えない相手に対して呼びかける。
「こっちだ! 助けてくれ! 身動きがとれないんだ!」
思ったよりも早く返事が帰ってきたことに驚きながらも、俺は声がする駅の方へと走り出した。


駅前には玄野計が倒れていた。
上半身に大リーグボール養成ギブスを身に着けている。
「おい、計ちゃん大丈夫か?」
呼びかけながら、仰向けに倒れている玄野を立たせる。
……この養成ギブスの所為で動けないのか。
立たせたついでに、ギブスのベルトを解除する。
これでもう大丈夫だな」
無言でギブスを外す玄野を見ながら、俺はホッと一息ついた。
「なんで俺の名前を知ってるんだよ」
「え?」
しまった、と思った。
さっき起こすときに『計ちゃん』なんて馴れ馴れしく呼んじまった。
初対面の俺が、相手の名前を知っているだけでも不自然極まりないのに、愛称みたいなものを使ってしまうとは……。
俺が咄嗟の反論を思いつかずに慌てているのを見て、玄野は少しづつ俺から距離を取る。
その顔には明らかな疑心の色が浮かんでいる。
まずいな……誤解フラグは望むところじゃないってのに。
「あんた名前は?」
玄野が臨戦態勢で問いかけをしてくる。
「お、俺は◆hXvyVozAPoってここでは呼ばれてる」
俺が名前を告げると、玄野はデイパックから名簿をとりだしてページをめくる。
……なんだか嫌なヨカーン。
「そんな名前載ってないぞ! やっぱり怪しい奴じゃねえか!」
「ち、ちがう! 俺は主催者の奴にゲームが始まった後に連れてこられたんだ! だから名簿に載っていないだけだ!」
「そんな言葉信じるかよ! 何を企んでんのか知らないけど俺に近づくな!」
そう言い残して、玄野は闇の中に走り去っていった。
「……くそっ! なんだってんだよ!」
一人虚しく悪態を吐いて、自分の馬鹿なミスを呪った。
俺がこのゲームから脱出できる日はくるのだろうか……。 



【一日目 2時】
【E-6(駅前)】


◆hXvyVozAPo氏@書き手】
[状態]:若干の疲労
[装備]:なし
[道具]:大リーグボール養成ギブス
[思考]
1:ゲームを終わらせて、元の世界に戻る。
2:キャプテンといーさんには容赦しない。
3:ローラ姫は怖い怖い。
4:できれば玄野計の誤解を解きたい。


【玄野計@GANTZ】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:支給品一式
[思考]
1:この状況をどうにかする。
2:◆hXvyVozAPo氏には気をつける。



最終更新:2007年03月20日 22:33