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「……大丈夫、キリカ?」

急いで走ること数十分。
途中で疲れて歩いたものの、何とか東京港までたどり着いたメリーが見たのは、ボロボロになって倒れているキリカの姿だった。

「うん……まぁ、大丈夫だよ。死んでないし、動けなくもない」

言いながら、変身を解除するキリカ。
あちこち穴の開いた黒ずくめが私服に変わり、いくらかマシな身なりになる。もちろん、身体の傷はそのままだが。

「それにしても、よく生きていられたわね……」
「残念ながら、私はほとんどアイツと戦えていないんだよ。どうもあのロボットは、ハナから先客しか相手にしていなかったようでね。
 両腕を砕いて地に落とした瞬間、『ハハハハハ! さようなら、513ンンンンン!』って叫んで、どこかに飛んでいってしまったんだ」

そう言って、キリカはひょいっと身を起こす。
猿のように身軽な動作は、普段の癖だったのだろう。それを怪我をしながら実践した結果、あいたた、と呟き身をさする羽目になった。

「しかしだよメリー。これから織莉子に会ったとして、私はどう彼女をプロデュースすればいいのだろう?」

そして目に軽く涙を浮かべながら、そんなことを問いかけた。

「ええ? プロデュースって言われても……」
「全く我ながら情けない話だ。一番肝心なことに気付かなかった。
 ロボットに逃げられて、あれに負けないくらい織莉子を目立たせるためにはどうしたらいいのかと考えてみたものの、私には全く答えが出なかったんだ。
 そもそも私は、そんなことを今までしたことがなかったからね……だからお願いだメリー。
 どうすれば人は目立つことができる? どうやれば人を目立たせることができる? この無知で間抜けで浅学な私に、知恵を分けてはくれないだろうか」
「え、えーっと、そうねぇ……」

そう言われて困るのはメリーである。
当然プロデュース業なんてものとは、メリーだって無縁なのだ。
しかも今回の目的は、アイドルのプロデュースですらない。かっこいいところも目立たせる、主人公のプロデュースである。
そんなスペクタクルな世界とは、メリーはどちらかといえば無縁であった。故にどうしたらいいものかと、うんうんと頭を唸らせた。
そうして考えているうちに、思いついたある単語。もうこの際これでいいやと、半ばやけくそ気味に口にしたのは、

「……脱がせてみるとか?」

水着グラビアの発想だった。

「………」
「………」

冗談にしたってセンスがない。口にしてからそう気付く。
訪れた沈黙を前にして、だらだらと汗を流すメリー。
それは主人公ではなくて、若手アイドルの営業だとか、落ち目のアイドルの末路ではないか。
中途半端な業界の印象を、慌てて口にした結果、場を一気に白けさせてしまった。
どうしよう。とりあえず謝ろうか。
そんなことを考えた矢先、

「……ムッハ――――――――――!! それいいっ! 凄くいいよメリー!」

唐突に声を張り上げたキリカが、きつくメリーの手を握った。

「え? え? あの……」
「そうだよそうだよそうなんだよ! 織莉子は脱いだら凄いんだよ!
 織莉子の魅惑のナイスバディは、まさに超中学生級の一言に尽きる……ああっ、何でこんな単純なことに気付かなかったんだろう!
 彼女が水着に着替えたら、それでもうビーチの視線は釘付け!
 しかもこちらで用意したのを、私の手で着付ける場面を想像すると……いけない、妄想だけで感じてしまいそうだ」

頬を興奮に上気させながら、キリカは一気にまくし立てる。
どうやらメリーの入れ知恵は、彼女の性的琴線に、いらん刺激を与えてしまったようだ。

「そうと決まればさぁ急ごう! どこかで水着を調達するんだ!
 なぁに心配することはない。織莉子の体格くらいは理解してるさ。それにサイズが合わなくとも、むしろそれはそれで……えへへへ」
「あ、ちょっと!」

戦闘の傷はどこへやら、全力でダッシュを始めたキリカを、またも慌てて追いかけるメリーだった。


【一日目・2時40分/日本・東京港】

【呉キリカ@魔法少女おりこ☆マギカ】
【状態】ダメージ(大)、ソウルジェムの穢れ(小)、興奮
【装備】ソウルジェム
【道具】支給品一式、カオスロワ8期のSS集、その他不明
【思考】
基本:織莉子を目立たせる
1:邪魔する奴はぶっ殺す
2:水着を買って織莉子を脱がす!

【マエリベリー・ハーン@東方Project】
【状態】疲労(中)、困惑
【装備】なし
【道具】支給品一式、その他不明
【思考】
基本:とりあえず生き残ることを考える
1:キリカの友達を捜すのを手伝う
2:蓮子と合流したい


一方その頃、青森県沿岸部の某料亭では。

「……っ!?」
「どうしたの、アンタ?」
「い、いえ……ちょっと不穏な未来が見えたもので」
「ふーん……まぁいいけど。あ、このウニ美味しいわ」
(何なのこの未来は!? 何故私がこんな破廉恥な目に!?)

蓮子達が海鮮丼に舌鼓を打っていた。


【一日目・2時40分/日本・青森県の料亭】

【美国織莉子@魔法少女おりこ☆マギカ】
【状態】健康、赤面
【装備】ソウルジェム
【道具】支給品一式、海鮮丼、その他不明
【思考】
基本:どうしようかしら
1:蓮子と行動を共にする
2:キリカと合流したい
3:キリカ、貴方一体何考えてるの……!?
4:注文した海鮮丼を食べる

【宇佐見蓮子@東方Project】
【状態】健康
【装備】なし
【道具】支給品一式、海鮮丼、その他不明
【思考】
基本:とりあえず生き残ることを考える
1:織莉子と行動を共にしておく
2:メリーと合流したい
3:海鮮丼うまうま
最終更新:2011年09月09日 01:23