「愚かな者達よ、キサマらには決して勝利は来ない!
たとえ殺されようとも、悪に屈しない心!それがやがては勝利の風を呼ぶ・・・。
人、それを・・・『凱風』という!」
「何ですって? だ、誰なのあんた!」
「貴様らに名乗る名前は無い!」
人影に太陽が重なりハイグレ魔王達は眩しさのあまり目を背ける。
そして啖呵を切った男の顔がはっきりと現れ、口元が装甲で覆われた。
「とぁぁぁーーーっ!!」
現れた全身鎧の男の跳躍に誰もが目を奪われる。
天に向けていた視線が重量で落ちる肉体に従って地面に戻る。
構える暇も与えさせず、男は複数のパンスト兵に拳の猛連打。
千手観音のように次から次へと出てくる腕は、マーベラス達の周囲を瞬く間に掃除した。
「天空宙心拳・・・・・・瞬殺拳!」
ポーズとともに宙へ舞ったパンスト兵達は一斉に地面に落ちた。
「ほう、あれが噂の天空宙心拳か」
「知っているのマーベラスさん?」
「ああ、クロノス星って星に伝わってた伝説の拳法だ」
「じゃああれはなんだい?」
ディエンドが指差すのは天空宙心拳の使い手が立っていた家屋と正反対の建物だ。
いや正確にはその上空、高く跳躍していく人影がある。
「貴様らかぁぁぁぁぁぁ!!!」
「ラハールさん!?」
ルカが探していた同行者が今ようやく合流した。
空中のパンスト兵達を次々となぎ倒し、ハイグレ魔王に斬りかかる。
魔王はそれを紙一重で回避する。
「じゃあ僕達も行こうじゃないか」
「ああ、そうだな」
思わぬ助っ人が入ってディエンド達に気力が戻る。
さてマーベラス、戦闘に参加したいところであるが、今の彼の姿は『たこやきマントマン・レッド』だ。
正直この体格での戦いなんて全く慣れていないため、別のヒーローに変身しようとしているのだ。
(やっぱり無難にウェザーレッドだな)
「あのーすいません」
変身するレンジャーキーを取り出しモバイレーツに挿入しようとするところで、
ルカが話しかけてくる。
「なんだ? 用があるなら後にしろ」
「いえ、もしかしたらこれ・・・・・・」
話題を先送りしようとするマーベラスであったが、ルカが見せたものに目を丸くした。
それは紛れも無く海賊戦隊ゴーカイジャー、ゴーカイレッドのレンジャーキーだったのだ。
今まで用途がわからないからデイバッグの中で眠らされていたのに違いない。
「これは返してもらうぞ」
ルカの手からレンジャーキーを奪い取り、戻ってきた相棒を強く握り締めた。
笑顔の彼女を尻目に、すかさずレンジャーキーをモバイレーツに差し込む。
やはりこれが一番しっくりくる。 ゴーカイガレオンの二代目船長
キャプテン・マーベラス。
レンジャーキーを通して様々なヒーローになれるマーベラスであるが、彼を代名詞とするヒーローは他にあるまい。
「豪快チェンジ!」
―ゴーカイジャー!―
「でりゃぁ!」
「天空宙心拳、旋風蹴り!」
ラハールの一閃と天空宙心拳伝承者ロム・ストールの飛び蹴りがハイグレ魔王に襲い掛かる。
バック転をしてそれらを避けるハイグレ魔王であったが、先ほどと違い焦りの表情が浮かんでいる。
「ちょっとあんた達二人がかりなんて卑怯よ!」
「悪魔がそんなこと知るか」
「貴様が言えたことではないな」
自分が戦闘員使っていることを棚に上げて批判するも、ラハール達にあえなく一蹴される。
よく戦隊ヒーローなどで怪人一人に数人がかりをどうだとか言うが、
彼らが大多数の戦闘員を使っていることはあまり気にされていない。
それとも戦力ではないと思われるのだろうか。 確かに一方的にぼこられているからそうとも見えなくない。
圧倒的な数の差を生かせないのは些か疑問が残るが。
「待たせたな」
新たに入ってきたゴーカイレッドとディエンドに、ロムは首を縦に振る。
そしてロムは支給されていた剣をゴーカイレッドに向けて投げたのだ。
「使え」
「持っていたなら早く出せって・・・・・・まあいい!」
受け取った剣は紛れも無く使い慣れた曲刀、ゴーカイサーベルだったのだ。
サーベルについていた鍵穴を見て、偽物ではないことを確認すると、何度か振るって使い方を思い出す。
「そろそろ終わりにしようじゃないか」
「ふん、勝手にしろ!」
そう言いつつも、ラハールは上空に魔王玉を浮かべ始める。
彼に合わせるようにゴーカイレッドはいつのまにか取り出したゴーカイサーベルにレンジャーキーをセットする。
ディエンドは隠し玉とばかりにとっておいたファイナルアタックライド用のカードをディエンドライバーに挿入した。
(詰んだ)
「隙あり!」
呆けた魔王の隙を突いて一足先に飛び出したのはロムだ。
蹴りの連打が魔王の顔、胸、腹、腕、脚といたるところに喰らいついて、
回避を許されない状況を作り出していた。
―ファァァイナルウェイィィブ!―
―ファイナルアタックライド ディディディディエンド!―
「天空宙心拳・九頭竜蹴り!・・・・・・今だ!」
最後の蹴りが命中し、ロムはその場を飛び立った。
そして予備動作が完了した三人は、それぞれの必殺技を魔王に向けて放った。
「「でぃやぁぁぁぁぁぁぁ!!!」」
ゴーカイレッドのファイナルウェイブを、真剣白刃取りの要領で受け止めようとするが、
ディメンションショットが後押しし、胸に大きな傷が入る。
さらにエネルギーの渦が全身を包み込むかのように通り抜けて、傷を通って体の内側を焼き尽くす。
最後に魔王玉が無差別に降り注ぎ、ハイグレ魔王は跡形も無く消え去った。
「すごかったですね・・・・・・」
「ああ、色んな意味でな」
ハイグレ魔王を倒し終えたマーベラスは、ルカとともに街中まで来ていた。
パンスト兵達が消えたのか、住民は全員元の姿に戻って熟睡中だ。
ロム・ストールはその後悪を倒しにと去り、ラハールは海東とともに散歩・・・・・・という名の火事場泥棒をしている。
マーベラスは別にそこまで気にしないし、ルカは助けられた手前意見することができない。
この場に起きている人間が自分達だけだということを確認すると、マーベラスは足を止め、ルカに向き合う。
「おい、一つ聞きたいことがある」
「・・・・・・なんですか?」
尋ね返しては見たが、ルカにはその答えがわかっていた。
肩を掴むマーベラスの瞳は瞬き一つすることなく、彼女の顔を映している。
「どうしてあんな無茶をした?」
ハイグレ魔王に追い詰められた時、ルカは彼と戦うことを選んでしまった。
恐らく今まで銃を握ったことがない人間が、自身の撃てるレベルの銃で超人に勝負を挑むなど、
最早、墓の中に埋まりに行くのとなんら変わりが無い。
「倒せるとでも思ったのか?」
少し頭を働かせれば、太刀打ちできないことぐらい彼女もわかっているであろう。
だが、答えようによってはここで別れてしまおうとは思う。
今回は同行者を探すという名目で助けたが、
これからもこんな無茶をされたらまたトラブルを呼び込んでしまうかも知れない。
そんな女とは一刻も早く離れたい。 勝手なヒロイズムで動かれても迷惑なのである。
周りに流されるイエスマン。 それがルカという人間であった。
いつも周りの顔色を窺って、嫌われないようにと相手に都合の良い返事をしてしまう。
兄から良い子だと褒められたのは、兄の理想の妹の姿に答えているだけだ。
妹から尊敬されるのも、幻滅させたくないから取り繕っているだけ。
弟から愛情を感じていたいから、いつまでも堕落した関係から抜け出せない。
そして姉はそんな彼女を見限った。
「何もできないのは嫌だったからです」
ルカ自身も自分に失望していた。 目を瞑って大切な人たちが消えるのを待つのは嫌だったのだ。
だから我武者羅に飛び出して、自分なりの形でマーベラス達を救おうとした。
ただ、やっぱり間違っていたのだろうとだけ思った。
「そうか」
ルカの肩を離し、マーベラスは元々進んでいた方向へと歩き出す。
果たして絶望されたのかどうかはルカにはわからない。
でもそれでも自分のやることは変わらない。 これからも家族のためにできることを考えるだけだ。
昔のような、仲のいい家族を取り戻すためなら全力を尽くす。
そのためには彼らを本当の意味で救うにはどうすればいいのか、その答えが知りたい。
「だがあそこで出しゃばるのははっきり言って邪魔だ」
「そうですか・・・・・・」
言い捨てたマーベラスはその場にしゃがみこんだ。
わかっていたことであるが、返ってきた否定の言葉にルカは肩を落とす。
改めて力の無い人間が頑張ったところで無意味なのだと、肯定されたのだ。
結局自分は役立たず、友のようにはなれないんだと後悔している。
やっぱり私はこの人たちのために何もできないのだろうか。
「おい、起きろ」
きつく言いつけたマーベラスは今は別の人間に話しかけている。
倒れていた二人の男の頬を軽く叩くと、壮年の男と少年は目を覚ましたのだ。
先刻の出来事を思い出したのか、両者とも機嫌が悪そうだ。
「お前ら、レンジャーキーというものを知らねえか?」
「知りませんよそんなの」
「・・・・・・少し急いでいるんだ、後にしてくれ」
「おい待てまだ話は!」
【一日目・9時30分/日本・神奈川】
【ボルガ博士@チャージマン研!】
【状態】人間爆弾 ウンコの痕
【装備】頭の中に爆弾(何時爆発するかは不明)
【道具】支給品一式
【思考】基本:ジュラル星人とチャージマン研に復讐し主催者を倒す
0:早くウンコを洗い落とす
1:仲間を集める。
2:シンジと組む。
※死亡後からの参戦。
【碇シンジ@新世紀エヴァンゲリオン】
【状態】不安 ウンコの痕
【装備】なし
【道具】支給品一式、はれぶた@はれときどきぶた
【思考】基本:とにかく、生き残りたい。
0:早くウンコを洗い落とす
1:ボルガと組む。
※8期とは別人です。パーペキな別人です。
言い終える前に二人はマーベラスの元から去ってしまった。
しかし臭っていたためか、どうにも彼らを追いかける気にはなれなかったのだ。
ふと頬を払った手を嗅いでみると微かに汚臭を感じたため、ハンカチで乱暴に拭う。
その後、また嗅いで臭いがしなくなったことを確認すると、再び別の人間の前にしゃがんだのだ。
「おいお前、レンジャーキーってやつを知らねえか?」
「さあ・・・・・・」
「じゃあ今から言う奴らに心当たりは・・・・・・」
マーベラスは倒れていた人々から手当たり次第に探し物と知り合いのことを尋ねていたのだ。
あまり地味な作業は
ごめんであるが、他に方法が無いのだから仕方が無い。
それに宇宙中からレンジャーキーを集める時に比べればまだ気が楽だ。
「お役に立てなくてすいません・・・・・・」
「気にするな」
話し終えた男性が会釈をし、愛想笑いをしながらマーベラスから去っていく。
他の人間を当たろうと立ったその時、何かを思い出したようにハッとしてルカに振り返る。
「な、なんですか?」
「ぼさっとしてないでお前も手伝え。 探しているんだろ、家族ってやつを」
「あ」
マーベラスが尋ねた知り合いの名前の中には、自分の仲間だけではなくルカの身内も含まれていたのだ。
情報交換を済ませた際に既に記憶している。 物はついでというやつだ。
もしかしたら、ルカの知り合いが仲間の手がかりを持っているかも知れないことだってある。
そして赤の他人のマーベラスが探しているのだから、ルカがサボっている道理はない。
マーベラスに倣って足元の人間を起こし始める。
(私にだってできること、きっとあるはずだよね)
ルカには戦う力はない。
だから守られているだけの一般市民で収まった方が幸せだ。
しかしそれはみんなと幸福になる道とは違うと思うから、彼女は懸命に足掻き続ける。
足手まといになりたくないからと、誰かのために今できることを必死にやり続けるのだ。
その努力が報われるかどうかはまだわからない。
最終更新:2011年12月13日 12:00