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「あーあ、このところは死者も出なくて暇だお」
セワシは、何十台ものモニターの前であくびを噛み殺した。
それにしても、どうしてこんなことになったのか。
あの名簿の中に、祖先であるのび太に加えてドラえもんの名前まであったのには驚いた。
それに、のび太大爺の子供時代の友達のジャイアンという人やのび太大爺の母に当たる人物、
さらには昔の野比家の近所に住んでいた人たちまで含まれていた。
そればかりではない。歴史の教科書で習った偉人たちや、アンパンの妖怪や映画の中の怪獣、
森に住んでいた野生動物やレイプ魔の変態、そしてパソコンが友達のオタクたち・・・・・・

なぜ彼らが選びだされ、こんな殺し合いなどをさせられるのかについてはセワシも全く知らされていない。
彼が聞いたのは、この殺し合いの「進行役」をすれば、野比家の抱えている借金を全て肩代わりしてもらえる上、
野比家の人間はその生活を一生保障されるということだけだった。
祖父の祖父であるのび太大爺が抱えた、一生働いても返せないほどの莫大な借金。
それを帳消しにできるなら、そしてその先に今までの苦労が報われるほどの楽な暮らしが待っているなら、セワシには迷いはなかった。
あるいは、自分たちに赤貧生活を強いるのび太大爺と、彼をちっとも厚生させている様子のないドラえもんへのささやかな復讐心
もあったのかもしれない。

すでに十四人もの人が命を落とした。
その中にはのび太の母と友人も含まれている。
「ああ、僕は・・・・・・幸せになるんだ。たとえ、何人もの人を踏みにじってでも」
だって僕は、今までずっと沢山の人に踏みつけられてきたのだから。

「しっかし暇だなあ。のび太おじいちゃんはマーダーになっちゃうし、ドラえもんは女装したおっさんと組んでるし。
みんな結構楽しんでくれてるみたいで何よりだけど・・・・・・僕は手持ち無沙汰なんだよねえ。
さっきみたいなサービス放送も、あんまりするとマズいだろうしなあ」
ついさっき、電話で「あまり勝手なことをするな」と釘を刺されたばかりだ。
なんか自分はあくまで駒扱いみたいで癪だ。

「よし、暇つぶしにテキトーに誰かの首輪でも爆破するか」
まさにナイスなアイデアを思いついたセワシは、モニターに目を走らせた。
さて、誰を選ぶか。どうせなら戦ってる最中の人物とか、呑気に仲間と談話している奴とかの首を撥ねたほうがインパクトはあるだろう。
「いや待てよ・・・・・・そうだ、折角だからコンピューターでランダムに決めよう!! まさにロシアンルーレットってワケさ」
セワシはノートパソコンのキーボードを叩いてプログラミングを終えると、鼻歌を歌いながらルーレットを開始させた。
ノートパソコンの画面の真ん中で、現在の生存者の名前がスロットマシンのように点滅する。
「3・・・2・・・1・・・はい終了!! さて、幸運なる当選者は・・・・・・」

しかし、セワシがその名前を確認することはなかった。
ノートパソコンの画面が、鮮血で覆われて見えなくなったからだ。


ごとり、と床におちたセワシの首。
その口は、すでにその主が生命を失った後も本能によって辛うじて数秒だけ動いていた。
その唇は自分でも気がつかないうちに、小さな声で、
ごめんなさい、ドラえもん」
と言っていた。
もう誰も見ていないモニターの向こうでは、彼が愛した人々が血みどろの戦いを続けていた。


【セワシ@ドラえもん 死亡確認】



最終更新:2007年05月15日 23:38