MMR(マガジンミステリー調査班)が解散してから何年が経ったか
1999年、ええっと、何月だったっけな?
とにかくその時はとっくに過ぎ、MMRが解散した日もとっくに過ぎ、俺が講談社を辞めた日もとっくに過ぎ、2006年も終わろうとしている。
予言博士とかほざいていた頃が懐かしい。
キバヤシは今どうしていることだろう。
あいつのことだから、相変わらず森羅万象有象無象夢想妄想あらゆる事から世界の滅亡を説いて回ってそうだが、最近は噂もめっきり聞かない。
ナワヤは生ガキ食って中毒死した。
イケダはWinnyで編集部の情報を流して自殺した。
トマルは太腿を車に轢き潰されて事故死した。
そして俺は今、ボロアパートでゴロゴロしている。
週六のコンビニバイトで何とかやってるが、年齢的に限界が近い。再就職するにももう遅すぎる。
何で、あんなことしちゃったんだろうなぁ……
いつから、俺の人生は\(^o^)/オワタみたいになってしまったんだろうか。
もともとMMRなんて電波クラブに入ったとこから終わっているが、
具体的に言えば、世界の滅亡を信じ切って、それでも「あきらめない!」とか言って、政府を説得すべく国会議事堂に突入した辺りだろうか。
門前払いされそうになり、ならばとモデルガンを取り出して脅し、でもあっさり警備員に捕獲された辺りだろうか。
軽く一年近くの懲役刑食らって、仮釈放の時に、やっぱり懲りてなくて(ry
とにかく、馬鹿だった。
どうしようもない馬鹿だった。
思い出してくると鬱になってきて、気晴らしにテレビを付けてみる。
ゴミ捨て場から拾ってきたブラウン管のものだ。このブラウン管内部は常に悪天らしく、調子が良ければ画面の五割が朧気に見え、悪ければ一面砂嵐だ。
今日は四割。運がいい。
そのテレビから、ノイズ混じりにバトルロなんちゃらとかいう聞き慣れない言葉が聞こえてきた。
テレビに映っているのは、確か、なんだっけ、なんかの長官とかだったよな? アベだかアソベだかアベルだか……
その長官が言った。これからバトルロワイアルを初めガーッ、少子高齢化たガガガッルールガガッ、殺しガッ、ガガッ、ガガガッ、ズザアアアア――――
砂嵐。付けてから7秒目にしてこれだ。今日はやっぱり運が悪いらしい。むかついて、テレビを殴ってから消した。
その時、ドアをノックをする音が四畳一間に響いた。
どうせ新聞の勧誘か、NHK受信料催促か何かだろう……出ても面倒だ。居留守だ居留守。
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|┃三 ,ィ, (fー--─‐- 、、
|┃. ,イ/〃 ヾ= 、
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|┃ ト.l ヽ l
ガラッ.|┃ 、ゝ丶 ,..ィ从 |
|┃ \`.、_ _,. _彡'ノリ__,.ゝ、 | / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
|┃三 `ゞf‐>n;ハ二r^ァnj< y=レヽ < 話は聞かせてもらったぞ!
|┃. |fjl、 ` ̄リj^ヾ)  ̄´ ノ レ リ | 人類は滅亡する!
|┃三 ヾl.`ー- べl,- ` ー-‐' ,ン \____________
|┃ l r─‐-、 /:|
|┃三 ト、 `二¨´ ,.イ |
|┃ _亅::ヽ、 ./ i :ト、
|┃ -‐''「 F′:: `:ー '´ ,.' フ >ー、
|┃ ト、ヾ;、..__ , '_,./ /l
「お前はキバヤシ!? うちは引き戸じゃないぞ!」
「それより聞いたか! 今の安倍総理の言葉を!」
「え、バトルロワイアルなんちゃらって奴? 総理だったの? ほとんど聞こえなかったけど……」
いいか!
バトルロワイアルというのは少子高齢化対策のために阿部内閣が打ち出した政策だ。
日本における貨幣の価値を法的に無効化し、衣食住等の生活に必要なものを殺し合いによって奪い合う事を促進する法案、と安倍は説明している。
だがこれは事実を隠蔽するためにでっち上げた理由だ!
ところでこの政策を打ち出した安倍総理……どこか別の所で、似たような名前を聞いたことがないか?
そう、カインとアベルのアベルだ!
ヽ、.三 ミニ、_ ___ _,. ‐'´//-─=====-、ヾ /ヽ
,.‐'´ `''‐- 、._ヽ /.i ∠,. -─;==:- 、ゝ‐;----// ヾ.、
[ |、! /' ̄r'bゝ}二. {`´ '´__ (_Y_),. |.r-'‐┬‐l l⌒ | }
゙l |`} ..:ヽ--゙‐´リ ̄ヽd、 ''''  ̄ ̄ |l !ニ! !⌒ //
. i.! l .::::: ソ;;:.. ヽ、._ _,ノ' ゞ)ノ./
アベルは兄であるカインの嫉妬によって、人類で最初に殺された人物だ。
阿部総理はアベルの生まれ変わり……そう考えれば、このバトルロワイアルの真意もアベルが神に羊を殺して捧げたこと、カインが人類の祖先であることからわかってくる。
つまり
,.ィ , - 、._ 、
. ,イ/ l/  ̄ ̄`ヽ!__
ト/ |' { `ヽ. ,ヘ
N│ ヽ. ` ヽ /ヽ / ∨
N.ヽ.ヽ、 , } l\/ `′
. ヽヽ.\ ,.ィイハ | _|
ヾニー __ _ -=_彡ソノ u_\ヽ、 | \ 安倍はカインの子孫たる人類を羊に見立て
.  ゙̄r=<‐モミ、ニr;==ェ;ュ<_ゞ-=7´ヽ > 殺し合わせることによって
. l  ̄リーh ` ー‐‐' l‐''´冫)'./ ∠__ 復讐すると同時に
゙iー- イ'__ ヽ、..___ノ トr‐' / 人類を神に捧げようとしているんだよ!!!
l `___,.、 u ./│ /_
. ヽ. }z‐r--| / ト, | ,、
>、`ー-- ' ./ / |ヽ l/ ヽ ,ヘ
_,./| ヽ`ー--‐ _´.. ‐''´ ./ \、 \/ ヽ/
- ‐ '''"  ̄ / :| ,ゝ=< / | `'''‐- 、.._
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, ‐''´~ `´ ̄`‐、
ヽ‐'´ `‐、
≦ ヽ
≦ , ,ヘ 、 i
l イ/l/|/ヽlヘト、 │
|/ | ! | | ヾ ヾヘト、 l
! ‐;-、 、__,._-─‐ヽ. ,.-'、
} ' (:)〉 ´(.:)`i |//ニ ! だめだこいつ……
゙! 7  ̄ | トy'/ はやくなんとかしないと……
! `ヽ" u ;-‐i´
ヽ ` ̄二) /ヽト、
ヽ、 ー / ゝ
\ __, ‐' / / \
 ̄ i::::: / /
馬鹿と天才は紙一重と言うが、こいつは間違いなく馬鹿だ。
しかし、全く持って変わってないキバヤシに、どこか羨ましいとも思える自分がいることは否めない。
俺はもう変わってしまった。あの時にはもう戻れない……
「行くぞタナカ!」
「は? どこに?」
「阿倍のところだ! 地球は俺達が救う!」
俺が唖然としていると、またもやドアがノックされた。さっそく、バトルロワイアルに乗った人間が来たのかもしれない。四畳一間に緊張と戦慄が走った。
|┃. 、ー'´ \ /''⌒ヽ-─‐- 、
|┃三 > , ! ゝ ,、.___, \
|┃ ≧ , ,ィ/ハヽ\ | 「 ./ \ | / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
ガラッ.|┃ .1 イ/./ ! lvヾ,.ゞ、 ! |./ ヽ | < キバヤシ! タナカ!
|┃ _レ「゙f.:jヽ ーT'f.:j'7`h r|´゙>n-、ヽ-rj='^vヽ | 話は聞かせてもらったぞ!
|┃三 {t|!  ̄" } ` ̄ !リ :|r| ー "j `ー ′ h゙リ \____________
|┃. ヾl ヾ_ /' ヾ! ヾ イ‐'
|┃三 ト ヾー-' ` /.| ト.、 ー― , ' |
|┃ | :\ /,' ト、_ ⊥:`ヽ. __ / ,' |
|┃三 ,、.._ノ :: `ー ' /,.イ / ̄\ :: , '/ ̄\
引き戸でないドアを引いて出てきたのは、懐かしくも信じられない顔ぶれだった。
「な……お前達は……」
「久しぶりだなタナカ!」
「ナワヤ! 食中毒にかかって死んだはずじゃ!」
「ああ、グレイがカキに注入したノロウイルスにかかって危うく死ぬところだったが……なんとか無事だったぜ!」
「お久しぶりですタナカさん!」
「イケダ! Winnyで情報流して自殺したはずじゃ!」
「ええ、講談社をクビにされ家族にも見放され金が尽きガスも電気も水道も止められ毎日パンの耳での生活に危うく首吊りするところでしたが……なんとか無事でした」
「トマル! ……はいないのか?」
「何言ってんだ。あいつは太腿潰されて死んだだろう」
「ああそう……」
「それよりキバヤシ! 今の話は本当なのか!」
ナワヤが驚愕を目に、キバヤシに食いかかった。
「ああ……このことはノストラダムスも予言している……呪いの病が日の本の国に蔓延る時、法則と秩序は乱れに乱れ、親も子も互いに殺し合うと……!」
そんな予言あったかなあ……とぼんやり思ったが、ナワヤは血相を変えている。
「呪いの病……まさか、ノロウイルス!?」
「その通りだ……お前もかかった恐るべきウイルスは、このことの兆候に過ぎなかったんだ!」
「そんな……!」
馬鹿だ……こいつらは馬鹿だ……
でもなんでだちくしょう……なんでこいつらが……馬鹿でしかないこいつらが……こんなに輝いてまぶしく見えて……
キバヤシが吼えた。
「よしMMR出動だ! 安倍を止めに行く! ナワヤ! イケダ! タナカ!」
「おう!」
「ええ!」
「…………」
三人が意気込み、四畳一間から出て行こうとする。しかし途中で動かない俺に気が付いて、皆振り返った。三人とも、使命感に満ちあふれた表情だった。
ナワヤとイケダが呼びかけてきた。
「どうしたタナカ! ぐずぐずしている時間はないんだぞ!」
「タナカさん! 行きましょう、安倍を止めに!」
俺は……俺は……俺はもう……
「タナカ!」
耳を突き抜けてくるような高らかな声に、俺はハッと顔を上げた。
キバヤシが
「あきらめない!! それがオレたちにできる唯一の闘い方なんだよ!!」
いつか聞いた、懐かしい言葉。
キバヤシの言葉は常に自信に溢れ、強く導かれていくようで、どんな無理矢理なことでも納得させてしまう響きがある。
今も例外ではない。
いつか聞いた以上に、キバヤシの言葉が頭の中に響いてやまなかった。
「タナカ!」
「タナカさん!」
俺は……いや僕は、決意を胸に秘めて立ち上がった。
「ああ、行くよ! 人類を救いに!」
人 類 の 未 来 は 俺 達 が 守 る !!
,ィ, (fー--─‐- 、、
,イ/〃 ヾ= 、
_,,r-‐''"´ ^ `N /l/ `ヽ
彡 N! l `、
彡 l ヽ l` ´ ``‐ 、
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l、 /三f、,,_ _,ヾニ_ ____彡ノノノノノ_ヾヾ | ,l、 、 l、_ ,、-‐、 |
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ヽl ヽ- ヽl lゝ__,ノ | ゞ___ノl/l / l `~゙´ lァノl 、fモチ lヾ;|
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_,,-‐'\ `ヽ、 ,,r' /| \ / .| \__/ ,,rヽ‐-‐ '' / l`ヽ
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/ ヽ、_/)ノ
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. |〃、!ミ: -─ゝ、 __ .l
!_ヒ; L(.:)_ `ー'"〈:)_,` /
/`゙i ´ ヽ ! で、阿部総理はどこにいるんだ?
_/:::::::! ,,..ゝ!
_,,. -‐ヘ::::::::::::::ヽ、 r'´~`''‐、 /
! \::::::::::::::ヽ `ー─ ' /
i、 \:::::::::::::::..、 ~" /
.! \ `‐、. `ー;--'´
ヽ \ \ /
_,.-‐"':" ̄~゙'ヽ、 __
_,---‐" ̄\ / ``ー‐-、 ノ \
/ ヽ ;" ) / \
/ ぐ わ | / |ノ/ \
/ ら か | | )/.| ・ オ |
| .い ら | | ,;';;,, /ノ | ・ レ |
| ・ な | |::::.................:::::::::;;,'^;、::::::'''..,,_;、丿 | ・ に |
| ・ い | /:::::::::::::::::::::::::::;"゙, /゙~゙`''::;'゙; | ・ だ. |
| あ こ | `、;;::::::::::::::::;/ ),;' :.'.,、 | ・ っ |
| る と | ,へノ `'"´ .:; .:::_ヽ | ・ て |
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ナ ゝ ナ ゝ / 十_" ー;=‐ |! |!
cト cト /^、_ノ | 、.__ つ (.__  ̄ ̄ ̄ ̄ ・ ・
ミミ:::;,! u `゙"~´ ヾ彡::l/VvVw、 ,yvヾNヽ ゞヾ ,. ,. ,. 、、ヾゝヽr=ヾ
ミ::::;/  ゙̄`ー-.、 u ;,,; j ヾk'! ' l / 'レ ^ヽヘ\ ,r゙ゞ゙-"、ノ / l! !ヽ 、、 |
ミ/ J ゙`ー、 " ;, ;;; ,;; ゙ u ヾi ,,./ , ,、ヾヾ | '-- 、..,,ヽ j ! | Nヾ|
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u  ̄ ̄ 彡" 、ヾ ̄``ミ::.l u j i、`ー' .i / /、._ `'y /
u `ヽ ゙:l ,.::- 、,, ,. ノ ゙ u ! /_  ̄ ー/ u /
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゙ u ,./´ " ``- 、_J r'´ u 丿 .l,... `ー一''/ ノ ト 、,,_____ ゙/ /
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/;;;''"  ̄ ̄ ───/ ゙ ,::' \ヾニ==='"/ `- 、 ゙ー┬ '´ / \..,,__
、 .i:⌒`─-、_,.... l / `ー┬一' ヽ :l / , ' `ソヽ
ヾヽ l ` `ヽ、 l ./ ヽ l ) ,; / ,' '^i
それが――――
それが彼等の最後の言葉だった。
もうもうと立ちこめる煙が、ようやく晴れかかったころ、
先程まで家賃一万二千円のアパートであった瓦礫の山の上に、一人の老人が立っていた。
白い立派な髭を生やした顔を天に向けて、高笑う。
「ヒャアッハッハッハッハッハッハッハ! 我が予言は正しかった! 世界は滅亡するんだぁー!」
【キバヤシ@MMR 死亡】
【ナワヤ@MMR 死亡】
【タナカ@MMR 死亡】
【イケダ@MMR 死亡】
【トマル@MMR 死亡】
【東京都かな?】
【ノストラダムス】
状態:健康
装備:ダイナマイトあたり
道具:荷物一式
思考:1.世界滅亡来たれ!
最終更新:2006年12月17日 16:29