(さて……どうするか)
赤いジャケットの男が殺し合いの最中に考える。
武器は入っていた、二丁の銃と二振りの刀。
どれも手入れが行き届いた武器のように見える。
男の名は『キョウスケ・ナンブ』。
彼は殺し合いに乗る気は更々ない。
分の悪い方に全賭け……つまりは……。
(……危険人物の排除と野田総理の打倒か……)
そちらに彼が賭けるのは当然であった。
「分の悪い賭けは嫌いじゃない……!」
そう一言呟いて、キョウスケは行動を開始した。
しばらく、歩くと背後から……足音が聞こえてきた。
(……着けられているな……ならば……)
正直、射撃は苦手だ。
しかし、それはあくまでもエクセレンやリュウセイと比べてだ。
それでも、鍛えた軍人並にはある。
……当たらなくても、威嚇射撃程度にはなる。
パァン、という乾いた銃声が響いた。
「………!?」
その音を聞いたストーカーは懐の刀を抜刀した。
そして、そのままキョウスケに突っ込んできた。
(速いが……甘い!)
キョウスケは踏込み、斬撃を紙一重で躱して、襲撃者の首元に短刀を近づける。
「……獲ったぞ!」
「……生かすも殺すも好きにすったい……覚悟はとうに出来とるばい」
「!?」
見た目は今時の少女のようであった。
金髪の長髪に黄色と黒を基調とした露出度が高い服。
が、妙に訛っていた……具体的にはコテコテの九州っぽい喋り方だった。
◆ ◇ ◆ ◇
「普通に喋れないのか?」
「そげなこと言うても、この喋り方はクセたい」
「……喋り方はともかく、その動きは素人じゃないな」
「仕事が無い時期が私に多くて……身体ば鍛えとったら……」
「仕事? 軍隊か何かか?」
「歌手たい……私はアイドル歌手たい」
「!?」
Lilyはアイドル歌手。
どうでもいい個人情報だが、アイドル歌手なのだ、
ただ、他の親戚に比べると仕事は無かった……。
ニートではいかと見間違えるほど仕事が無かった。
そして、身体を虐めに虐め抜いた(not性的な意味で)
フルマラソン並のジョギングを繰り返し、手に入れた持久力。
護身術の道場をほぼ毎日を通いつめ熊を素手で殴り倒せるレベルまで昇華した拳。
そして、今のトレント《ご当地系》を取り入れるために九州に遠征に行った。
その結果、なんか失敗した。
「歌って踊れるアイドル歌手になりたかったばい……」
「俺にはそういうのはよく分からないが、何か根本的に違うような気がする」
「そいなこと、言われても……」
アホらしくなったのか、キョウスケは完全に戦意を喪失した。
「お前は殺し合いに乗っているのか?」
「乗っていない……」
「何故、俺を襲おうとした?」
「懐に銃やら刀を隠しとるのを【見た】からたい。
……危ない人に見えたからばい……」
(……お前の方が危ないだろ)
見た、という言葉を聞き、キョウスケは驚きを隠せない。
こんな真夜中で見えるということは、暗視ゴーグルなど使わないと到底無理である。
「眼は良い方ばい……両目共に12.0ある」
「…………アイドル歌手よりも違うものを目指した方がいいんじゃないか?」
「でも、私は……!」
「付き合ってられん!」
「ちょっと、待つたい!」
「……まだ、何かあるのか?」
そそくさとその場から去ろうとするキョウスケは後にしようとする。
それを、Lilyを右手でガッチリ止める。
ものすごく力が入っているのか。キョウスケはその場から動けない。
「アンタは……キョウスケさんはこれからどうするとや?」
「簡単なことだ……俺は分の悪い方に賭けた」
「―――野田総理を、撃ち貫くのみ……!」
「そんなことが出来ると思っとーと?」
「……さぁな、そういうお前はそう考えているんだ?」
「……私は……私は皆に私の歌を聴かせたいばい……
だから、こんな殺し合いなんて潰したい」
「……そうか」
それを聞いて、キョウスケは少々安心した、
自分一人だけではなかった、この殺し合いを良しとしないものは。
「キョウスケさん、私も着いていってよか?」
「……好きにしろ」
「ああ、そうさせてもらうぜよ」
「……それは高知弁だぞ」
「アイドルのキャラ付けも大変なんよ」
「…………」
そして、二人は市街地の方に歩いて行った。
【一日目・00時15分/日本・神奈川】
【キョウスケ・ナンブ@バンプレストオリジナル】
【状態】脱力
【装備】護業@NAMCOxCAPCOM
【道具】支給品一式、その他不明
【思考】
基本:主催者の打倒
1:知り合いの捜索
2:危険人物の排除
【Lily@VOCALOID】
【状態】疲労(小)
【装備】斬鉄剣
【道具】支給品一式、その他不明
【思考】基本:生き残る
1:キョウスケに着いていく
2:新感覚アイドルとして売り出したい
※普通に喋れます。
最終更新:2012年07月26日 02:31