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「お~いハム蔵~! どこにいるんだ~」

 たったった。陸上選手並みのスプリントで富士山麓の草原を走る少女が一人。
 彼女の名前は我那覇響、765プロのアイドルの1人であり、沢山の動物を家族のように可愛がっている。
 しかしバトルロワイアルが始まる少し前、彼女がいつもそばに置いていたハムスターのハム蔵がいなくなってしまったのだ。

「ハム蔵~! いたら返事するんだぞ~!」

 響はハム蔵を探して東京から走り始め、富士山のふもとまで来ていた。
 電波も届かない場所だ、バトルロワイアルが始まったことも彼女は知らないままだった。
 しかしもはや日本全土は恐ろしい殺し合いという名の渦に飲まれてしまっている。
 彼女もまた例外ではなく、その渦に巻き込まれるのだ……。

「ハムぞ――――って、ええっ!? 生首!?」
「おや、こんにちは。可愛いお嬢さんですね、光栄です」
「黒いポニーテールは……今日のラッキーアイテムではないのだよ」

 富士の樹海を抜け牧場に出た響の前に、宙に浮かぶ生首と、バスケユニフォームを着た緑髪の大男が現れたのだ。
 そして……「にこやかなポリゴン生首」川島隆太教授と、「キセキの世代」の一人緑間真太郎は、
 突然の遭遇に驚く響を前にこう言い放ったのだった。

「では脳トレを」「始めるのだよ」


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


Q:以下の漢字を組み合わせ、二文字の単語をつくれ

 北 京 月 日


「まずはこちらの合体漢字からです。二時間もあれば解けるでしょう」
「……!? じ、自分、クイズは苦手だぞ~……」

 川島隆太教授がどこからかホワイトボードを空中に召還し、緑間がサインペンでそこへ問題を書いた。
 どちらかといえば間違いなく体育会系な響には、知恵の輪を解くがごとく難しい問題だ。北京と月日がなんだというのか?
 北京ダックはたしかにいつまで経っても美味しいが……。

「うう、分かんないぞ! というか自分はハム蔵を探してるんだ、どいてくれないかなぁ!」
「それは出来ません。日本人として生き残るために必要なのは何より“脳”力。それが無ければ死ぬしかないのです」
「ついさっきも、この問題に答えようとしないクズがいた。人事を尽くさなかった結果、彼はこうなったのだよ」
「!? きゃああああああっ!?」

 響は緑間が抱えているものを見て驚愕した。それは人間の生首!
 しかも額に「落第」のハンコが押されている。

「緑間くん、その落第生は富士山の火口にシュートしてしまいましょう」
「言われなくてもやるのだよ。――俺のコートはこの日本全土なのだから」

 生首をくるくると人差し指だけで回すと、緑間はボール(生首)をしっかりと持ち、シュート態勢に持って行った。
 「キセキの世代」緑間真太郎の持つ才能はどこからでも3Pシュートを決められるというものだ。
 富士のふもとから火口までの三千メートル弱など、彼にとっては距離ですらない。
 ボール(生首)を放る。
 高い、高い、雲まで届きそうな放物線を描き……生首は火口へと消えていった。

「と、このように」
「答えられなかったら……自分もバスケットボールにされてしまう、ってことなのかっ……!」
「正解です。脳トレの成果が出てきましたね」
「分かったらさっさと答えるのだよ」

 緑間の195cmの長身が響の前に立ちはだかった。
 じりじりとした圧迫感が響を恐う。手に汗がにじみ、思わず足が望まないステップを踏みそうになる。
 すでに問題が出てから五分か十分は経ったが、響には答えがまったく検討もつかない……!

(北京……月日……北……日……ぺきん……うぅ、漢字は苦手だぞ……っ!!
 プロデューサー……みんな……もしかしたら自分、3Pされてしまうかもしれない!)

【上条恭介@魔法少女まどか☆マギカ 死亡】


【一日目・00時15分/日本・富士山】

【我那覇響@アイドルマスター】
【状態】混乱
【装備】なし
【道具】なし
【思考】
0:北京、月日、北京、月日?
1:ハム蔵を探す

【川島隆太教授@もっと脳を鍛える大人のDSトレーニング】
【状態】健康
【装備】メガネ
【道具】支給品一式、ホワイトボード
【思考】
0:優れた“脳”力を持っている人間を選別する
1:脳を鍛える

【緑間真太郎@黒子のバスケ】
【状態】冷静
【装備】なし
【道具】支給品一式、サインペン
【思考】
0:今日のラッキーアイテムを手に入れる
1:川島隆太教授についていく
最終更新:2012年07月26日 02:39