何だかよく分からない内によく分からない法案が通ってしまった。
状況的には昔長門に勧められて読んだパロディSF小説が思い浮かぶ。日本以外全部沈没とかいったか?
あれはブラックジョークの塊
みたいな話だった覚えがあるが、今の状況もジョークみたいなものかもしれない。
いや、本当どうしたもんかね。
「今の状況はジョーク以外の何物でもないさ。僕だって先の法案の発表を聞いた時、先ず何をしたかといえば笑うことだった覚えがあるよ」
残念ながら俺にそこまで胆力はなかったね。
「そうかい? ならそれは君がそれなりに人間ができていたということさ。何の前置きもしないで、この状況を聞いたら先ず大抵の人間は笑い飛ばす。それぐらい現実味に欠けているからね」
現実味か。俺はもはやどれだけ薄味でもそれを認識できる自信があるぜ。
そう言うと、目の前に座る女はくっくっくっと笑った。相変わらず変な笑い方だ。
佐々木よ。お前は変わらんな。
「変らないのは君の方さ。君のそのメンタリティは驚くべきことにこの状況にあっても変った様子がない。こんなジョークみたいな状況なのにね」
「ジョークみたいな状況にはもう慣れてるからな」
「いやいや、
キョン。君が今まで巻き込まれていた状況とこれはまた違うよ。今までは程よい喜劇や悲劇であったが、今回はそうでもない。度を過ぎた悲劇なのさ」
言ってる意味が分からん。
「思い起こしてごらん、キョン。例の小説のネタ元の方を。民族意識みたいなものを差し引いてマクロな視点で見つめてみると、あっちの方が状況としては随分と軽い。
なのに、あれは少なくとも喜劇とは言えないだろう? よりずっとひどい筈のパロディの方はジョークなのに」
「そりゃあ……」
「要は限度ってのがあるのさ。度を過ぎてひどい状況に出会うと人はそれを喜劇だと解釈してしまうんだよ。逆に喜劇をクローズアップしたら悲劇になる、なんて言葉もある」
分かったような分からないような。
俺はもうそれ以上何も言わず、それまで一切手を付けて居なかったコーヒーに口を付けた。
今、俺と佐々木は喫茶店で顔を突き合わせている。SOS団御用達のあそこではなく、どっか別の所だ。
「しかし……」
俺は周りに目をやった。喫茶店には俺たち以外には誰も居ない。
2人っきりだ。知り合いが他に見当たらなかったんだから当たり前といえば、当たり前なのだが。
向き直ると、佐々木はカップを落ち着いた様子で啜っている。
こうして深夜の喫茶店で顔を突き合わせていると、何故だか妙に後ろめたいものがある。
こう浮気亭主の気持ちを疑似体験しているような……
【一日目・00時20分/日本・兵庫】
【キョン@涼宮ハルヒの憂鬱】
【状態】健康
【装備】なし
【道具】支給品一式、その他不明
【思考】
1:何か嫌な予感がする
【佐々木@涼宮ハルヒの憂鬱】
【状態】健康
【装備】なし
【道具】支給品一式、その他不明
【思考】
1:どうしよう
最終更新:2012年07月26日 02:42