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時刻は6時手前。静寂に包まれた洞窟の中を突き進む少女の姿があった。
少女の名は結月ゆかり、VOCALOIDの一人だ。
VOCALOIDではあるが、実際の活動内容はたまにコンサートに姿を現して歌う程度である。
彼女の本職は探検家であり、未知の領域を目指して日々世界中を旅しているのだ。

朝日が昇り動植物が目を覚ます時間帯だが、土と岩にまみれた地底に太陽の光が届くはずもない。
この場を照らすのは彼女が持っている松明の灯りのみ。
炎によって広がる僅かな視界を頼りにゆかりは探索を続けていた。

(おや行き止まりですか)

敷き詰められた土の壁の前にして、ゆかりは足を止める。
左右を見ても通路は存在せず、見渡す限り土で埋め尽くされているのみだ。

(戻りますか?
 しかし戻ったところで新たな道が見つかるかどうか・・・・・・)

道中どのような地形をしていたか覚えているが、自分が今まで通ってきた道以外に
先に進む通路があったかどうか記憶に怪しい。
通れる道全てを徘徊して調べ尽くした上で、残された道を選んでここまでやってきた。
食料は十分にある。時間も腐る程ある。
もう一度調べれば新たな道を開拓できるかもしれない。

(今回は中止?バカを言いなさい、まだ大した収穫はないんですよ)

デイバックに入った戦利品を見てゆかりは首を捻る。
手に入ったのはまだ恐竜の化石らしき岩盤一つのみだ。
ダンジョンを制覇していない以上、ここで帰るのは彼女のプライドが許さない。
わからないところをそのままにしておくのは気が済まないのである。

(必ずどこかにあるはずです。この先に進むための道が!)

来た道を戻ろうと壁に背を向けようとするゆかり。
しかし次の瞬間、彼女の頬を一筋の風が通り過ぎる。

「!?」

パーカーを揺らし反射的に向き直ったゆかりは、すぐに壁に密接して目を凝らし始める。
手元を松明の灯りで照らして土を右手で掻き分ける。
確かに壁の方から風が吹いてきた。
ならばこの壁の奥は空洞になっているに違いない。
ここは違う、ならば次はここだと体を動かし穴を探す。

「見つけました」

土に埋もれかけた小さな小さな丸い穴。
真っ黒で吸い込まれそうになる穴であるが、手を当ててみると冷たい風が当たっているのが感じられる。
ゆかりはすぐにデイバッグから古びたツルハシを取り出して、いざ掘らんと構えた。

「いきますよ・・・・・・」

1、2回振るって感触を確かめる。錆び付いているが壁を壊すには十分そうだ。
一度尖った先端を穴に触れて照準を定め、大きく振り上げ振り下ろす。
するとみっしりと埋まっていた土の壁は音を立てて崩れ落ち、中から新たなエリアがゆかりの前に広がった。



(大分広いところに出ましたね)

周囲を見渡して、ゆかりは頬についた汗を服の袖で拭う。
コウモリの鳴き声が遠くから聞こえてきたことから、随分と広い空洞に出てしまったらしい。

(しかしモンスターは少ないですか)

人の及ばぬ未開の地なれど人外の者は存在する。
ネズミやモグラならばまだ優しいものだろう。
しかしここは不思議のダンジョン、人の身の丈を超えるオオグモや力尽きた冒険者の怨霊が彷徨っているのだ。
無論、そのような者達に遅れを取るゆかりではないが。

(ならばそろそろ休憩しますか)

辺りに気配を感じないことを確認すると、ゆかりはデイバッグから替えの松明を取り出す。
何歩か歩いた先に火をつけた松明を置いてまた数歩歩いて松明を置く。
それを繰り返して彼女は長方形を描くように自分を中心とした四隅に松明を配置した。
なにせここは光の及ばぬ暗闇の世界。視界を確保できぬまま腰を下ろすなど自殺行為だ。
モンスターからは位置が丸分かりになってしまうが、元々洞窟の奥深くで暮らしている彼らの方が
闇の中でも目が利く者が多い。そんな彼らだからこそ光を嫌う習性を持っているので、案外この手は有効だったりするのだ。


(今の内に食事を取っておかないと・・・・・・お?)

ゆかりが地面に尻をつけたその時である。
彼女の下半身に何やらゴツゴツした感触があるではないか。
体をずらし、灯りを当ててみると盛り上がった鉄が姿を覗かしている。

(これはラッキーです!)

武器に機械に建物、人の文明に鉄によって飛躍的に進歩したと言っても過言ではない。
鉄は様々なアイテムを作る原材料となるのだ。
探検家としてはこれを利用しない手はないだろう。
すぐさまツルハシで地面を掘り、埋まっていた鉄を回収する。

(ではもうこのツルハシさんとはお別れです)

古びたツルハシを解体し、木の棒と錆びた鉄片にわける。
こんな刃ではいつ壊れるかたまったものではない。
作業台を準備して、新品の鉄をツルハシの刃の部分へと加工していく。
新しい道具さえあればまだまだ十分に探索を進めることができるであろう。




「ズバーン・・・・・・」

ツルハシを作っているゆかりを体育座りで見つめる黄金の影があった。
彼、と呼ぼうか、その名は大剣人ズバーン。
古代人の遺した剣が魔人の形に変化した、生きる秘宝である。

「ズバーン・・・・・・」

さっきからずっとゆかりに同行しているのだが、
『何の苦労もせず手に入れたお宝に価値などありません』
と仲間になることを拒否されているのだ。

「ズンズン・・・・・・」

時折ゆかりに話しかけたりボディタッチを行う等のスキンシップを行っても、全て無視されてしまう。
こんなに構ってもらえないのは初めてで、胸の宝玉も真っ黒になってしまっている。
ズバーンは剣である。剣とは戦士の武器であり、友なのだ。
バトルロワイアルが始まって最初に出会ったゆかりをパートナーとして認めた。
だから彼女とともに目的に向かって進みたい、冒険がしたいのだ。

「ズバーン」
「うーん、やっぱり新品の道具は美しいですね」
「ズバーン!」
「我ながら素晴らしい出来です。ひょっとしたら鍛冶屋の才能もあるかもしれません」

しかしゆかりには一向に構ってもらえない。
彼女の関心は自分の作ったツルハシに向いているらしく、
ズバーンが何度アピールしても向き合おうともしない。

「ズバーン・・・・・・」

果たして自分がゆかりに認めてもらうにはどうすればいいか。
腕を組んで考えていた時のことであった。



「キキー!」
「キキー!」
「キキキー!」

松明の灯りにひかれたのか、何匹ものモンスターがゆかり達を取り囲む。
ゆかりは作ったばかりのツルハシを持ちつつもため息を付いた。
今までゆかりはツルハシで敵を倒してきたが、あくまで少人数の場合の話だ。
今回みたいに多数を同時に相手にするには状況が厳しい。

「ズバーン!」

ズバーンは正にチャンスだと思い、ゆかりの前に立ちふさがった。
ここで自分の力を見せればゆかりもこの先自分を必要としてくれるはずだ!
さあ見ていてくれ未来のマスター!俺が全部ぶちのめしてやる!



「いえその必要はありません」
「ズンズン?」

はずだった。
すると突如洞窟内だというのにも関わらず雷が降り注いだのだ。
一瞬洞窟を大きく照らしたかと思うと、モンスターの一匹が炎上し悲鳴をあげて倒れていく。

「ふふふ♪」

何事かと思ったズバーンはゆかりの笑い声につられて振り向くと、
彼女が見覚えの無い剣を持っているではないか。
赤いシルエットに広がるのはコウモリみたいな形の柄。
刀身は途中で釣り針のように湾曲し、刃の部分だけ黒く染まっている。

「このエンシェントソードがあればこの程度の敵どうってことありませんよ」

ゆかりがエンシェントソードと呼ばれた剣を振るうと、再び雷がモンスターに襲いかかる。
光の速さで放たれる稲妻に逆らえるはずもなく、モンスター達は抵抗できずに燃えていった。

「ふふふふふ♪」

玩具で遊ぶ子供みたいにゆかりは次々とモンスターを虐殺していく。
雷を操るエンシェントソードは正にバランスブレイカー級の破壊力だ。

「ふふふふふふふふふふ♪」
「ズバーン・・・・・・」

優秀な武器まで隠し持っていたゆかりにズバーンはすっかり落ち込んでしまった。
しかしこんなことで心が折れるズバーンではない。
頑張れ!ズバーン!負けるな!ズバーン!
いつか君の力をゆかりんに認めさせてやるんだ!
ズバーンの孤独な戦いはまだ始まったばかり。


【ケイブスパイダー×いっぱい@Minecraft 死亡確認】
【スケルトン×いっぱい@Minecraft 死亡確認】
【ドラキー×いっぱい@ドラゴンクエストシリーズ 死亡確認】
【デスクロー@ファイナルファンタジーシリーズ 死亡確認】
野比玉子@カオスロワ 死亡確認】

【1日目・6時00分/不思議なダンジョン】

【結月ゆかり@VOCALOID】
【状態】上機嫌
【装備】エンシェントソード@Minecraft
【道具】支給品一式、土×99@Minecraft、松明×99@Minecraft、鉄×3@Minecraft
          鉄のツルハシ@Minecraft、作業台@Minecraft、ヒミツのコハク@ポケモン
          かまど@Minecraft、石炭@Minecraft×99
【思考】
基本:未知の世界を求める
 0:ふふふ♪
 1:このダンジョンを制圧する
 2:素材を集めてアイテムを作る
 3:身内のことはわりとどうでもいい
 4:てかバトロワ自体どうでもいい

【大剣人ズバーン@轟轟戦隊ボウケンジャー】
【状態】ズンズンズッバーン!バーン、ズンズンズン…
【装備】ズンズンズバズバーン!
【道具】ズバババーン!
【思考】基本:ズンズンズバズババババーン!
1.ズンズン ズバズババーン
2.ズンズンズバーン ズバズバズンズンズンッ
3.ズンズンズン… バァーン…
【備考】
※ズンズンズバズバーン、ズンズンズンッ♪
  ズッバーン!ズバズバ
最終更新:2012年11月13日 02:07