『僕と契約して、魔法少女になってよ!』
そんなお決まりの口上を、キュゥべえが黒神めだかに述べてからそれなりの時間が経過した頃。
「……そろそろ決まったかい?」
「まあ待て、そう焦るな」
未だに、キュゥべえはめだかと契約を結ぶことができていなかった。
「別に焦っちゃいないよ。僕に感情とかは無いからね」
「ほう、そうなのか」
めだかが魔法少女になることを拒否したわけではない。
むしろ即断即決、コンマ1秒すら間を空けずにめだかは『よし、私は魔法少女になるぞ!』と答えていた。
極めてスムーズな契約成立に前足でガッツポーズするキュゥべえだったが、トントン拍子に事が進んだのはそこまでだった。
『それで、君の願いはなんだい?』
『願い?』
『うん。魔法少女の契約には願いが必要なんだ。願い事を言ってくれれば、僕が叶えてあげるよ』
『ふむ……』
願い事と聞いて熟考に入るめだかの姿を、キュゥべえは内心でほくそ笑みつつ眺めていた――最初の五分だけは。
十分経っても、三十分経っても、一時間経っても、めだかは一向に願い事を言う気配がなかったからだ。
現在の時刻は午前二時過ぎ。同行者の玉子は、退屈そうに座り込んで夕食のメニューを考えている。
全女性参加者との契約を目指すキュゥべえにとって、これは大きなタイムロスだった。
「……そういえば、マミもよくどうでもいいことで延々と悩んでいたなあ」
「ちょっと黙っていてくれ。集中して考えたいのだ」
「………………それは、悪かったね」
めだかから並々ならぬ魔法少女の素質を感じていたのが、キュゥべえの不幸だった。
これがどこにでもいるような平凡な少女だったら、早々に見限って他の獲物を探しにいけたのだが。
そして、さらに一時間近く時が流れ、ようやくめだかが口を開いた。
「……よし!」
「願い事が決まったのかい!?」
「ああ、私はさしあたって叶えたい願いが無いのでな。代わりにそこのご婦人の願い事を叶えてやってほしいのだが」
「あれだけ考えてそれかよ」
「何か言ったか?」
「ううん、なんでもないよ。そういうわけで玉子、君の願いはなんだい?」
「え、私?」
ぼうっとしていたところに突然話題を振られ、玉子は戸惑う。
願い事を言えと言われても、玉子はついさっき長年の悲願であった
野比玉子症候群からの解放を果たしてしまった身だ。
新しい願い事なんて、そう急には思いつかない。
「ここらにある品揃えのいいスーパーの場所が知りたい、とかでもいいのかしら」
「さすがにそれで契約しちゃうと、黒神めだかの魔法少女としての能力に不都合が出かねないから別のにしてくれないかな」
「難しいわね……」
再び玉子がうーん、と考え込む。
その姿を見て、キュゥべえは『どうしてこいつらこの殺し合いを終わらせてほしいとか願わないんだろう』と素朴な疑問を抱くが、
きっと大宇宙の意志とか何かの影響なんだろうと判断し、それ以上考えるのを放棄する。
五分ほどその場に沈黙が続いた後、ついに適当な願い事を思いついたのか、玉子が立ち上がった。
「決まったわ。私が夕食を作るまでのびちゃんが殺されないように、強力な支給品をあげてほしいの」
「強力な支給品か……たとえば何だい?」
「
ドラえもんなんてどうかしら」
「んー、ちょっと難しいかな。似たようなものなら用意できるんだけど」
「じゃ、それでおねがいするわ」
こうしてキュゥべえは玉子の二つ目の願いを叶え、晴れてここに本日二人目の魔法少女が誕生した。
【一日目・3時30分/日本・埼玉県】
【キュゥべえ@魔法少女まどか☆マギカ】
【状態】健康
【装備】なし
【道具】支給品一式
【思考】
基本:女性参加者全員を魔法少女にする。
1:なんかめっちゃ疲れた。
2:必ず鹿目まどかとも契約してみせる。
【野比玉子@ドラえもん】
【状態】健康
【装備】買い物かご、サンダル、ソウルジェム@魔法少女まどか☆マギカ(穢れ無し)
【道具】支給品一式
【思考】
基本:野比家の面々に夕食を作る
1:で、スーパーはどこかしら?
【黒神めだか@めだかボックス】
【状態】健康
【装備】箱庭学園の制服(めだか仕様)、ソウルジェム@魔法少女まどか☆マギカ(穢れ無し)
【道具】支給品一式
【思考】
基本:バトルロワイアルを叩き潰す!!
1:これで私も魔法少女だ!
2:それにしてもこの動物(キュウべぇ)かわいいな。
3:善吉……
そして、高知で襲撃者からの逃亡を続けていたのび太の前に一人の男が現れた。
「誰ですかあなた」
「お前の支給品のドラゴン紫龍だ」
【一日目・3時30分/日本・高知】
【
野比のび太@ドラえもん】
【状態】動揺
【装備】なし
【道具】支給品一式、ボーリングの玉@現実、龍星座の紫龍@聖闘士星矢
【思考】
基本:生き残る
0:死人が出るぞぉ!!
1:ドラえもんを探す
最終更新:2012年11月17日 21:36