電柱にチラシを貼った。
「ジオン軍兵士募集!」とだけ書かれたそれは、
ドズルがせいいっぱい筆で描き10円でモノクロコピーしたものだ。100枚ある。
(コロニーは潰れ、資金は底をついた。
兵士は消え、家族は堕落した。。。。もはやジオンを復活できるのは俺だけだ!)
ドズルには強い意志があった。またジオン軍を再興し、日本を手にするという意思が。
電柱にチラシを貼って、次の電柱へ向かう。
そしてまた電柱にチラシを貼って、次の電柱へ向かう。
ドズルはよく働いたので、全ての電柱にチラシを貼り終えるまでに三時間しかかからなかった。
「よし、家に帰ろう……もう志願者が来ているかもしれないからな」
疲れた足腰をさすりながら家へと戻るドズル・ザビ。
その後ろ姿を見かけ、つい先ほど貼られたばかりのチラシを剥がし、
連れる白ヤギと黒ヤギに渡す銀色のアイドルがひとり。
「おや、白ヤギさんに黒ヤギさん。またお食事がみつかりましたね」
「めぇ~」
「めぇー」
「そして、どうやらこのチラシはあの殿方が貼られていたようですね。
飢えに悩むわたくし達に恵みを与えてくれた慈愛に感謝せねばなりません」
「めぇ~」
「めぇー」
「ですが……わたくしはまだ、お腹が空いています。
さあ――――では食べに行きましょう、『らぁめん』を」
銀色は、腹を鳴らしながら妖艶な笑みを浮かべる。
ああ。食べるものにも困る世の中が、ああ、ただただ、憎らしい。
◆ ◆ ◆
究極にして至高のラーメン
◆ ◆ ◆
「な……なんだこりゃあッ!?」
街の電柱に貼られたチラシを見てザビ家にたどり着いた阿散井恋次がザビ家の扉を開けてみると、
そこには空のラーメン丼ぶりが4つ、床にはヤギの糞が地面に点々と並び、
なにより壁と天井もろもろに意図的に赤ペンキをぶちまけたような流血のシミが……。
どうにも何があったのか分からないが人が死んだのは確かなようだった。
「くっ――吼えろ、蛇尾丸!」
死神としても上位の実力者である恋次は即座に周囲を警戒しつつ、
自らの武器、蛇尾丸を始解して敵襲に備える。
蛇腹のように繋がり折れる刃の列が、円を描いて恋次を取り囲む。
耳を澄ませて辺りを探ると……台所から水音がした。
「誰かいるのか! 出て来いコラァ!」
音を確認、直後恋次は蛇剣を振る! 轟音と共に台所の壁が破壊される!
先手必勝だ。誰がいたにせよダメージは免れないはず。
だが、恋次は警戒を解かずに砂煙をじっと見つめた。手ごたえが無かったのだ。
「……何だとォ? 女?」
「歯ごたえは悪くありませんね、その剣。わたくしはもう少し柔らかめが好みですが」
壁が破壊されたことによる砂煙が解かれると、
刃の軌道から少しそれた場所に立っていたのは、銀色の髪を波打たせた美女だった。
単なる美女ではない。何かをもぐもぐと咀嚼するその姿が美しく見えるほどのだ。
あまりに浮世離れしているその美しさは、この世の人間ではないかのよう。
無論、この世の人間でない点においては阿散井恋次もたいした違いではないが。
銀色の美女の傍らには白と黒のヤギ。
こちらも何かを咀嚼している。ときおりめーめ~と鳴きながら。なんだ? 何を食べている?
阿散井恋次が感じた疑問はしかし、次の瞬間氷解した。
「ざ、蛇尾丸」
「ザビマルというのですか。貴方様もザビなのですね。
――先ほどのザビさんたちと同じ味がするのでしょうか?」
ぺろり、と舌なめずりの音。阿散井恋次は目を疑った。
目の前の銀色美女が右手に持つ箸には、歯型状にその刃を掛けさせた蛇尾丸の刃のひとつがあったのだ。
慌てて目線を先ほど振った刃に戻すと――途中から先が、「ない」。
「お前ッ……斬魄刀を『喰った』のかっ!?」
「め~」
「めー」
「ええ。しかしやはり無機物はあまり味がしませんね。食べるならばやはり、『らぁめん』です。
貴方様、至高のらぁめんの作り方はご存知でしょうか?」
「ら――ラーメンだとぉ!? なにをふざけた……」
ばっ。
阿散井恋次の懐に二匹のヤギがいつのまにか入っている。
下を向いて位置を確認するその刹那にはもう、ヤギは角で恋次の身体を宙に浮かせていた。
「ぐおっ」
肉切り包丁の閃きが。
跳ね上げられた恋次の視界に映り、そしてそのまま目に突き刺さる。
一秒立たずそれは眼窩から脳髄へと到達し、恋次の意識を朱色からブラックアウトさせた。
銀色の美女、四条貴音が。ヤギを斥候とし恋次にそれを突き立てるまで、わずか三秒。
空腹によって人間の潜在能力が発揮されたのか?
あるいはもともとそういうことが出来る少女であったのか?
ともかくそれは、死神の常識で言う、瞬歩に良く似た動き。
それを少女はダンスのステップの応用によって知らず知らず発現させていた。
ああ。恐るべきはその食への探求心だ。
赤髪をばっさりと切られ、脳髄を開かれ、肉をミンチにされ、小麦粉と混ぜられて恋次は、
その時にはもう死んでいたのに左目から涙を流しながら、ゆっくりとラーメンになっていった。
◆ ◆ ◆
究極にして至高のラーメン
◆ ◆ ◆
「“ざび”のらぁめん、まじ美味。でありました」
「めぇ~」
「めぇー」
「ですが、まだ足りませんね。もっと町のほうにも行ってみましょう」
【ギレン・ザビ@機動戦士ガンダム】
【ドズル・ザビ@機動戦士ガンダム】
【キシリア・ザビ@機動戦士ガンダム】
【デギン・ソド・ザビ@機動戦士ガンダム】
【阿散井恋次@BLEACH 死亡確認】
【一日目・4時00分/東京・ザビ家】
【四条貴音@アイドルマスター】
【状態】空腹
【装備】白ヤギさんと黒ヤギさん@やぎさんゆうびん
【道具】支給品一式、調理器具とか食器とかもろもろ
【思考】
1:食欲を満たす
※ヤギさんたちもお腹が空いています
最終更新:2013年02月16日 15:29