アットウィキロゴ
「どうしてこうなった」

天魔王の忠実な下僕、悪魔神官アントリアはそう呟かずにはいられなかった。
最近までは、十数年ぶりの復活に心躍らせていたというのに。
時を経てのリメイク、それは大抵の場合悪役に強化補正がかかるものである。

「どうして……」

自慢じゃないが、自分は序盤の壁になっていると確信していた。
高威力の閃熱呪文べギラマ、強靭な肉体から繰り出される火炎斬り。
防御を貫通し、場合によっては一撃で敵対者を棺桶送りにする念じボール。
そして、自身の弱点さえも克服してしまえるマジックバリア。
隙のない、磐石の構え。これに補正がかかったら、一体自分はどれほど強くなってしまうのだろうか?
その強化された自分を見た人間達の絶望する姿を想像したら、笑いが止まらなくなった。

悲しい現実を見るまでは。

「どうして、私じゃなくて幼女の方に補正がかかったんだー!」
「邪悪なる魔物よ、また人間同士の殺し合いを企てるなど、許せません!
 今一度滅びるといいであります!」
「ぅゎょぅι゛ょっょぃ」

嘆き悲しみながら、アントリアは異常な威力の会心の一撃をぶちかます幼女の前に完全敗北した。

【悪魔神官アントリア@ドラクエ7】 死亡確認

【一日目・7時30分/日本・池袋】
【フォズ大神官@ドラクエ7】
【状態】健康
【装備】賢者の杖
【道具】支給品一式
【思考】
基本:魔物が化けているであろう偽の総理を倒す
1:邪悪そうな魔物は倒す
2:仲間がいれば探したい




「……えげつないわねぇ」

そんな様子を、影からこっそりと覗いている男がいた。
長い前髪をファサァと優美にかき上げながら覗いている男が。

「まったくもう! 美しい私たちを微妙に弱体化させたのも許せないけど……
 誰なのよ日本以外の大陸潰した奴は!? それに主催者のノダもどこよ!?
 世界に一つだけ島国残して後は制圧済みって、この私とキャラが被ってるじゃない!
 生かすも殺すも自由自在、支配者となるべき者も万物の王たる私以外にありえないでしょう!?」

かなり激昂した様子で、しかし要所要所で無意味にポーズをとったりしている男が。
この男こそ、先程殺害されたアントリアが崇める天魔王、オルゴ・デミーラ。
公式が認めるビジュアル系の魔王である。

かつて神を葬ったり、大陸を細かくわけて封印したり、封印後も優秀な部下を送り込んで人間を絶望のどん底に落としたりと、
やりたい放題なこの男、自身を万物の王にして天地を束ねる者と称する程に傲慢、かつそれだけの力を持っていた。
そんなデミーラであるが、何があったのか支配予定の国は全て潰されて残った国は日本のみ、
その日本でもノダという男が主催者、つまりは今の日本における頂点に君臨しているというのだから、黙ってはいられなかった。
バトルロワイアル開始直後から、まずは色々事情を知っているであろうノダを始末しようと動き回っていたのだが……
これが見つからない。
仕方がないので、かつての優秀な部下たちを回収して回ろうと思えば……
今さっき目の前で部下がぼこぼこにされて殺された。
何をやっても思うように事が運ばない。これはよろしくない。

「この私としたことが、なんて美しくない無様な体たらく……
 あってはならないこんなこと! 私の美しさは不滅! あらゆる面において美を教えるべき存在なのよぉ!」

再び髪をなびかせつつ、無駄な回転を加えながら、
美にはうるさい魔王が再び空を舞う。


【一日目・7時30分/日本・池袋上空】

【オルゴ・デミーラ@ドラクエ7】
【状態】健康、美しい人間形態
【装備】不明
【道具】支給品一式、香水、口紅
【思考】
基本:主催者を美しく皆殺しにして自分が支配者となる
1:美しく早く主催者本部を見つける
2:かつての部下を美しく回収する
3:部下にふさわしい参加者がいれば、新しい魔王軍として美しくスカウトする
4:日本以外を潰した首謀者がいるなら、そいつも美しく殺す
5:できれば醜い本気形態にはなりたくない
※美の感じ方は人それぞれです
最終更新:2013年03月11日 01:26