「うおおおおおおおお! さとりちゃんのパンツゥゥゥゥゥゥ!!!」
「あの、クマ吉さん? 流石に恥ずかしいので、絶叫はやめて欲しいのですけれど……」
拳を掲げ叫ぶ変態紳士と、顔を真っ赤にした少女――クマ吉とさとり――は琵琶湖の木陰にいた。
友達になる
それを条件に、クマ吉は念願のパンティを手に入れたのだ。
それも今回は本人の同意を得た、合法手段で。
彼のこれまでのあまりの所業からすれば、この結果は奇跡と言って差し支えないだろう。
(友達……)
そして奇跡は少女さとりの身にも起きた。
あらゆる種族から忌み嫌われる覚妖怪が、会って間もない人と友達になれたのだ。
如何に交換条件を出したとはいえ、これまでの経験ではこんなことはなかった。
そもそも、こういった人種と出会うこと事態がなかった。
自分が心を読む妖怪だと告げても全く動じないで、じゃあこれからは友達だよ!
などと手を差し伸べてくれた人種など。そして……
「でもさとりちゃん、よかったのかい? これじゃあ僕が一方的にお得じゃないか」
(でもさとりちゃん、よかったのかい? これじゃあ僕が一方的にお得じゃないか)
「うふふ、お礼を言うのは私の方ですよ」
「?」
(?)
こうも表裏のない、心を読んでも読まなくても変わらない真っ直ぐな人種も、初体験だ。
できればその真っ直ぐすぎる情熱を他の方向に持っていってほしいと思わないでもなかったが……
なんにせよ友達は友達である。
やっとできた友達、これがこんな殺し合いの最中の出来事でなければ、さとりはもっともっと喜べただろう。
そう、今は殺し合いど真ん中なのだ。
「ところでクマ吉さん、先程のお話ですけど……」
「よいしょ、と。ん? 僕の体質の話かい?」
憂いの表情で切り出すさとりに対し、クマ吉は貰いたての下着を頭に装備しご満悦の表情。
その表情に、嘘偽りはない。
(どうしてクマ吉さんはこんなに……)
目の前の、なんの悩みももっていなさそうな、この変わった友人。
しかしその裏で、深い悲しみと重過ぎる宿命を背負っているなど、誰に予想できようか。
本人の口から、心からそれを聞いて。あまりの壮絶さに絶句したというのに。
(こんなに……強い心を持っているの……?)
さとりは、クマ吉の生き様に感銘を受けた。
――
野比玉子症候群――
原因不明、何者にも解明叶わぬ混沌の病。
感染者は、無惨に殺される運命を決定付けられる。
感染者は、路傍の石以下の扱いで、あらゆる理不尽な災厄が降りかかる。
感染者は、死しては世界各地で強制的に蘇生させられ、再び死ぬことを強制される。
感染者は、極稀に健康な身体に戻ることがあるが、代わりに新たな人間が同じ症状になる。
感染者は、戻った後に再び発症する可能性もある。
感染者は、たとえ時空が異なったとしても症候群から逃げること叶わず。
クマ吉の体質、彼が患っている悪魔の病。
信じがたい話であるが、心を読んでもそれが事実であることしかわからなかった。
さとりはその過程で、知りたくない事実も知った。
この殺し合いが、理由に差異があれど幾度となく開かれてきており、クマ吉はその犠牲になり続けてきたということを。
「僕はまだマシだよ。それこそ玉子さんなんて、僕よりもずっと前からこの体質なんだから」
会話の中で、彼はこう軽く言ってのけた。
曰く彼は7番目の大規模な殺し合いの世界からこの体質になったそうだが、玉子という女性は始原の時よりこの体質だという。
確かにそれと比較した場合、マシととれなくもないが、それでも自分が死に続け、それを苦しんで自殺することも許されない、
時空をまたいでまで殺し合いを見せ続けられ、巻き込まれ続けるなど、普通の人間に耐え切れようはずがない。
だというのに、このクマ吉の心には、絶望の感情が一切ないのだ。
「確かに、僕はいつ死んでもおかしくない身体さ。だからこそ、今を精一杯生きる。
死ぬその瞬間まで、僕は僕のやりたいことを貫き通す。たとえそれが、実を結ばなくても。
眠りこけてる人妻に手を出そうとしたら最終兵器に焼かれたこともある、それでも諦めなかった。
ショックで倒れてたアイドルにルパンダイブしようとしたらスキマダイブ、これでもめげなかった。
友達になれた野菜と、緑の巨乳巫女さんを襲おうとして……教授のイチモツで男のプライドを砕かれたこともあったよ。
他にも色々あるけど……僕は、絶対諦めない。きっとウサミちゃんも、それを望んでいるはずさ……」
「クマ吉さん……」
一瞬、クマ吉の顔から笑顔が消える。
彼の大切な友人だという少女は、この殺し合いで早くも命を落としてしまったらしい。
それでも、クマ吉は歩みを止めない。
幾度道を阻まれようとも、友を、そして自分を殺されようとも。
その歩みが、世間一般には受け入れられないものであったとしても。
鋼よりも、金剛石よりも更に強固な心、不屈の精神は称賛に値するだろう。
「さて、さとりちゃんのパンツで気も引き締まったことだし、そろそろ出発しようか」
「え? どこにですか?」
「そりゃ日本中さ。僕のやりたいことを実現するには、各地をまわる必要があるからね。
さとりちゃんだって、妹のこいしちゃんが心配なんでしょ? なら動いて探さなきゃ!」
(こいしちゃんも、僕が友達になるだけでパンツを譲ってくれるかな!?)
再び差し出される、クマの手。
まごうことなき変態紳士の手であり、戦闘が得意といった感じではない。
しかし悪意のない、やる気に満ち溢れた、どこか頼りがいのある手であった。
「はい!」
気がつけば、さとりはその手を握り返していた。
彼ほどでなくてもいい、今の自分にできる精一杯を頑張ろうと決心して。
覚妖怪を受け入れたクマと、変態紳士を受け入れた少女。
嫌われ者だった二人は、どこへとなく一緒に歩いていくのであった。
【一日目・08時15分/滋賀県・琵琶湖】
【古明地さとり@東方project】
【状態】健康、頭痛、はいてない、クマ吉に羨望の眼差し
【装備】なし
【道具】支給品一式
【思考】
基本:友達が欲しいです
1:クマ吉さんと友達になれてよかった
2:こいしを探す
3:日本以外の国が消滅した事件……一体誰が。
【クマ吉@ギャグマンガ日和】
【状態】健康
【装備】全裸、頭部にさとりのパンツ
【道具】支給品一式
【思考】
基本:世の中のパンティ(およびスクール水着、ブルマー)を自分のものにする
1:さとりちゃんと一緒に行動
2:こいしちゃんからもパンツを頂戴する
3:当然他の女の子からも
最終更新:2013年03月18日 17:42