日本唯一の砂漠地帯、鳥取砂丘に一人の少女がさ迷っていた。
お腹の虫を鳴らしながら。
「はひいい~、いけどもいけども砂ばかり。
いいかげん空腹で限界です~……」
彼女――サシャ・ブラウスは人類の敵である巨人と戦う兵士だった。
だが、未曾有の大災害により住んでいた壁の中の世界から外へと避難しなければならなくなった。
取り巻く状況はもはや巨人どころではなくなっており、仲間ともはぐれてしまった。
いつの間にやら砂丘に迷い込み、土地勘もないので完全に迷子になったようだ。
サシャは体力自慢ではあるのだが、慣れない砂漠では体力の消耗が非常に激しく、なけなしの食料もとうの昔に食べつくした。
砂漠では狩れる生き物も見当たらず、食料の自給は不可能だ。
「もう……ダメ……」
体力消耗と空腹が限界に達したサシャの肉体が限界を迎え、その場にドサリと倒れ込んでしまう。
(こんな食料もない不毛の地で死んでしまうのか……)
このまま砂漠にいれば餓死の運命が待っている。
しかし、今のサシャには自力で立ち上がることも叶わない。
大往生手前の万事休すである。
(もっと……色んなものを…食べたかった……)
やがて目を開けているのも億劫になってきたところで、サシャは気を失ってしまった。
哀れな彼女は何もできないまま、土に還ってしまうのか?
ズリッ……ズリッ……ズリッ……
そこへ、救いの神が手を差し伸べた。
* *
「……こ、この匂いは……」
数十分後、何かの香りで鼻腔をくすぐられたサシャは気絶から醒めた。
目を開けると視界には少し緑がかった長髪をした小柄な少女がいた。
見た目の可愛さだけなら同僚のクリスタと同じかそれ以上だ。
その少女が膝枕をしてサシャの介抱をしていた。
「大丈夫? なかなか目を覚まさないから凄く心配だったんだよ」
「あなたはいったい……?
!! その手に持っているモノは!!」
起き上がったサシャの視点が少女から、少女の持っているモノ――骨付きの肉に移っていた。
肉は歯ごたえがありそうなほど引き締まっていて、さらに程よく脂がのっていて旨そうであった。
はしたないという気持ちも忘れてサシャは思わずヨダレを垂らし、グーグーと腹の虫を鳴かす。
そんなサシャを見て少女はニッコリと微笑み、肉を差し出した。
「これはさっきそこらで手に入れたお肉だけど……お腹が空いているんでしょ? 食べてもいいよ」
「ええ、いいんですか?!」
「いいのいいの、お肉はまだまだ沢山あるからジャンジャン食べてね」
「うう……神様はここにいたんだ……いただきまーす!」
餓え死にしかけた自分を見捨てずに助け、なおかつ食料まで恵んでくれる少女の優しさにサシャは感極まり涙する。
少女の優しさを無碍にもできないため、さっそく肉に齧り付く。
「~~~!! んまーーーい!! ミィィィト!!」
砂漠のど真ん中でサシャはオーバー気味に叫んだ。
叫ぶに値する美味しさを持ち合わせていたからだ。
肉は難しい調理は施されていないにも関わらずジューシィで噛め噛むほど味が出る。
壁の中の世界でもこんなに美味しい肉は食べたことがなく、手と口の動きが止められなかった。
気が付けば、食べた肉の名残である骨が大量に積まれており、その頃には彼女のお腹は満たされていた。
「ぷは~~~、ごちそうさまでした~! あなたは命の恩人様、救いの神様です!」
「そう、あなたの口に合うようでよかった」
崇めるようにサシャは恩人に深々と頭を下げる。
一方で少女はサシャに懇願した。
「う~ん、お肉を上げたギブアンドテイクということで、あなたに手伝ってもらいたいことがあるんだけどいいかな?」
「ハイ、なんでしょう?」
「私には例の大災害の時にはぐれちゃった大切な人がいるの。
郁紀って名前なんだけど、日本中を一人で捜すのは大変だと思うの。
だから、あなたに私の人捜しを手伝って欲しいけど……ダメかな?」
少女の願いにサシャは即答する。
「もちろんOKですよ、肉の恩はしっかり返さなきゃいけませんしね」
「ありがとう」
自分の呼び掛けにサシャが一切難色を示すことなく受け入れてくれたことに、少女は顔に笑みを浮かべた。
「そういえば、まだお互いの名前を聞いてなかったね。 私は沙耶。 あなたは?」
「私はサシャ・ブラウスです。 ……なんだか私たち、名前の響きが似てますね」
「そうだね、これからよろしくねサシャ」
「ええ、こちらこそ沙耶さん」
* *
沙耶とサシャとは少し離れた地点には水野灌太という少年がいた。
砂漠で便利屋を営む、通称・砂漠の妖怪”砂ぼうず”だ。
殺し合いにおける現在のスタンスは対主催でもなくマーダーでもない生存優先型。
ついでに美人の女(特に巨乳)を確保して安全な場所でチョメチョメすることだ。
そんな灌太は砂漠の真ん中にいるサシャたちを少し前に発見し、遠巻きから観察を始めた。
「おお、美人発見! 胸は……あるほうだな」
彼が最初に目を付けたのは黒髪ポニーテールの美少女サシャ。
乳はボリュームが欲しいところだが年はまだ若そうだし、これからの成長を期待できるだろう。
若干、気品にかける芋臭さはあるが顔は美人でスタイルも良い。
確保対象にあるべき及第点はクリアしていた。
灌太はサシャと話している沙耶にも目を向ける。
しかし……
「ゲッ! なんじゃありゃ!?」
いやらしい目付きでサシャを見ていた灌太の表情が酷く強ばる。
まるでこの世のものとは思えないものを見たような顔だ。
……それもそのはず、灌太の目線の先には可憐な少女ではなく、醜くグロテスクな肉塊が蠢いているのだから。
そして、その肉塊こそが沙耶の正体でもあった。
Q,つまりどういうことだってばよ?
A,沙耶は人の脳みそを弄って、自分をあどけない少女の姿と認識させる能力がある。
サシャは気絶中に脳みそをいじられたため、沙耶が可愛い女の子に見えるようになっている。
逆に脳みそをいじられていない灌太のでは醜悪な肉塊の姿に見える。
「しかもアイツらが喰っているのは……人肉じゃねーか! 」
サシャが貪り喰っているのは、形状やサイズから人間をバラして作った肉であると灌太は見抜く。
人肉もごちそうに見えるようにまでサシャは脳を弄られているのだ。
ちなみに、沙耶も人肉を餌にしているのだが、サシャだけは餌にしなかった。
理由は、しばらくの食料となる人肉は既に必要分確保しており、これ以上採っておく意味がない。
また、恋人である郁紀を捜すにはやはり一人では大変なため、同行者として生きた人間が一人は必要であると考えた結果でもある。
「クソッ……どうするべきか……」
見る限り、サシャは肉塊に騙されてだけにも見える。
本来の灌太なら迷わず肉塊をぶっ殺して美少女を助けだし、恩を売ってチョメチョメを狙うのがパターンだが、今回ばかりは事情が違った。
名状しがたき肉塊を見ていると、どんどん正気を失っていく感じがするのだ。
灌太は基本的に呪いや迷信を信じない男だが、あの肉塊だけは触れてはならぬものと本能が警告している。
このままでは”SAN値! ピンチ!”状態になりかねない。
そして灌太は止まらない冷や汗をかきながら決断する。
「よし、アイツらは見なかったことにしよう。 どこかで他のボインちゃんが俺を呼んでるぜ!」
仕方なく諦めた。 サシャたちは忘れることにした。
さっさとその場から離れたい灌太は踵を返して、支給品である立体機動装置を使ってスイスイと砂漠を移動していった……
【一日目・9時00分/鳥取県 鳥取砂丘】
【サシャ・ブラウス@進撃の巨人】
【状態】満腹、脳みそいじられた
【装備】ロングボウ@現実
【道具】支給品一式(食料はない)
【思考】
基本:生き残り、旨いものを食べる
1:恩人である沙耶についていく
2:沙耶の知り合いを探す手伝いをする
3:肉うめぇww
※脳みそをいじられたため、沙耶(肉塊)が可憐な少女に、また人肉が旨そうに見えます
【沙耶@沙耶の唄】
【状態】健康
【装備】ブフーの包丁@風来のシレン
【道具】支給品一式、大量の人肉
【思考】
基本:郁紀を探す
1:サシャに郁紀を探す手伝いをさせる
2:とりあえず鳥取砂丘から出ようか
【水野灌太@砂ぼうず】
【状態】SAN値減少(中)
【装備】立体機動装置@進撃の巨人
【道具】支給品一式
【思考】
基本:生存優先、ボインちゃんは確保する
1:ボインちゃんを探す
2:沙耶とサシャの一件は一先ず見なかったことにする
【マルコ・ボット@進撃の巨人 死亡確認】
【ポックル@HUNTAR×HUNTAR 死亡確認】
【タケシ@ポケットモンスター 死亡確認】 死因:沙耶によっておいしいお肉になりました
最終更新:2013年05月26日 21:15