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「うーん、ここら辺に落としたカバンどこ行ったんだろ……?」


沖縄県の浜辺にて、2mはある青色の巨大なヘラジカがカバンとやらを探していた。
そのカバンとは、多分ディパックの事だろう。
名前はランピーという。ついさっき斬首されたフリッピーや、そのフリッピーに殺されたカドルスの友人である。
ただこのヘラジカは優しいが、ものすごく頭が悪い。それはもう、気づかずに人を殺すレベルで。

説明すると、ランピーは、開始時に沖縄に飛ばされ、その後何も分からないまま沖縄県を一通り探索したあと、浜辺に着いたのだが、その間にいつのまにかディパックを落としてしまっていた。
そしてそれに気づき今に至るというわけだ。


「ウーン、ここじゃないのかな?
 ……じゃあこっちかな?」

ランピーは、首をかしげてまたディパックを探し始める。
ランピーは、下を見ていた。
だから前が見えずにぶつかった。


股 間 に 。



「キャァアッーーーー!」

いくらランピーが鈍感なヘラジカとはいえ♂は♂。
ランピーの股間には激痛が走り、その痛みでランピーは悶絶した。
その痛みは金属バットで股間を強打した時と同等のレベルであったとかなんとか……

「いっててて……どこ見て歩いてるんだよ……」



「それはこっちのセリフだ! ノロノロしてんじゃねぇ!」

「えっ?」

ランピーはどこからか声がするのに気がついた。
周りを見渡したが、誰もいない。
誰も居ないので進もうとしたその時――

バチン!

「痛てっ!」

ランピーは背中に痛みを感じたので、後ろを向いた。だが誰も居ない。

「ええっ! 透明ニンゲン!?」
「んなわけねーだろ! 下見ろ!」
「ゑ?」

ランピーが下を覗くとそこには黒猫がいた。ランピーに対してはかなり小さいサイズだった。
その猫は右手にパチンコを持っていた。ランピーはさっき背中に感じた痛みは、たぶんパチンコの玉が当たったのだろうと1分後ぐらいに理解した。

「オイ、テメー何モンだ? どう見ても人間じゃねーけども……」
「俺は、ランピー。キミは?」
「名前を訊いてんじゃねーよ! テメーは何モンなんだよって言ってんだ!」
「えっ、名前訊いたらダメなの!?」
「オメーの名前を訊いてるわけじゃねえっつったんだ! オイラの名前を訊いたらダメだって言ってるわけじゃねえ!」
「えっ、じゃあ訊いてもいいの? じゃあ訊くけど、君の名前は?」
「なんでそうなるんだよ! その前にオメーが何モンかって訊いてんだろ!」
「だから俺はランピーだって」
「だから違げーって!!」



こうして、約30分の時間が経った――



「ヘラジカだぁ?」
「うん。俺、ヘラジカのランピー。
 俺、仲間探してるんだけど見てない?」
「見てねーな。ってゆーか、殺し合い始まってからオイラが初めて会ったのお前だけだし」
「へぇー。偶然だね。俺も君が初めてなんだ」
「それにしても、ここ本当に誰もいねーな。
 誰かいないかと思って探してたけど、人っ子ひとり居やしねー。どうなってんだ?」

ランピーは確かにそう思った。
自分がここに来てから誰とも出会っていなかったのだ。
というか、何故今まで誰とも遭遇していない事に疑問を持っていなかったのかランピーは不思議に思った。だがそれは彼には一生分からないであろう。

「ねえねえ、殺し合いについてどう思ったの?
 俺は難しくてよくわかんなかったから適当に歩いてたけど」
「オイラだってわかんねーよ……よくわかんねーんじゃなくて、ワケわかんねーんだけどな。
 殺し合いとかソウリダイジンって奴は何を考えてんだ……」
「……それで、どうしよっか」
「……決まってんぜ。思いっきり暴れてやんのさ!
 こんなことになったんだ。タダじゃ終わらせねー。とことん暴れさせてもらうぜ!」
「じゃあ、俺もそうしよっかな。他に特にすることないしね」
「……オメー、分かってて言ってんのか?」
「わからないけど?」
「……あのなぁ。まあいいや。着いて来たいんなら着いて来い」

黒猫はそう言うと再び歩き出した。
ランピーも、それに合わせるように歩き始めた。

しかしまだ終わりではない。
まだ話には続きがある。

二人(二匹?)が浜辺から沖縄の街中に移動して間もない頃に、二人がオッドアイの黒猫を見つけた事がその"続き"である。


「おや?」
「黒猫だな」
「え? 君も黒猫じゃないか」
「……オイラは猫じゃなくてサイボーグだ。猫なのは変わんねーけどな」
「ふーん、つまり君は猫のサイボーグってことなんだね」
「おう」
「……で、サイボーグって何?」
「…………」


「つまりお前はただの猫じゃあねえんだな?」


「あ?」
「黒猫サイボーグ君。さっきなんか言った?」
「……オイラじゃねー。そっちの黒猫のほうだよ。それにオイラの名前はクロってんだ」
「やっぱり黒猫サイボ……クロ君じゃないか」
「ちげーって! ……まあいいや。(めんどくせーし)
 おいオメー。オメーもタダの猫じゃねーだろ?」

クロはそう言うと、支給品のパチンコを取り出す。どうやら警戒しているようだ。
ランピーはそれを見てもただキョトンとするのみだった。
黒猫はそれに反応したのか、こちらの方を向き、流暢に人間の言葉を発し始めた。

「『タダの猫じゃない』……か。厳密に言うと俺は猫ではない、って言った方が正しいな」

黒猫は何故か人間の言葉を話している。クロは警戒を強め、ランピーは相変わらずキョトンとしていた。

「わけわかんねーこと言ってんじゃねー! どっからどう見たって猫じゃねーか!」
「この身体はな。でも俺は猫じゃねえんだよ」
「つまりそれって、身体は猫だけど、中身は猫じゃないってことだよね?」
「その通りだ。
 俺は天の邪鬼。人間が俗に言う、妖怪ってヤツさ」
「妖怪……? それって……」
「オバケってこと?」
「オバケェ!?」

オバケ――
ランピーがその言葉を発した途端クロが明らかに動揺したのが分かった。

「へ、へー、なるほどな。で?
 その……オバ……天の邪鬼がなんだってんだ?」
「クロ君、大丈夫? なんかすごい様子が変だけど……」
「お前らに訊きたい事がある」
「え?」


「お前らも霊眠されたのか?」
「えっ」


「…………」
「…………」
「…………」



「(え? レーミンってなに?)」
「(オバケが猫の中に……どういうことなんだこれはよー!!)」
「(まさか、俺と同じようなヤツが二人もいるだと……詳しく知る必要があるかもしれねえな……)」

天の邪鬼のその言葉に、一気に空気が固まったのは言うまでもない。
こうして、ヘラジカとサイボーグ猫と黒猫の中に霊眠された天の邪鬼の、世にも奇妙な物語が始まった。



【一日目・8時47分/日本・沖縄県】
【ランピー@HappyTreeFriends】
【状態】健康、ちんぷんかんぷん
【装備】無し
【道具】無し(失くした)
【思考】
基本:クロ君に着いて行く
1:レーミンってなに? おいしいもの?
2:黒猫の中にオバケがいることもあるのかぁ
3:結局サイボーグってなんだったんだ?

【クロ@サイボーグクロちゃん】
【状態】健康、動揺
【装備】パチンコ
【道具】支給品一式、パチンコ(弾数99/100)
【思考】
基本:思う存分暴れる
1:オバケが猫の中にいるってどういうことだよ……!
2:逃げるなんてカッコ悪りーことできねーし、どうすれば……
3:ガトリングその他モロモロが無ぇ……
4:ジーサンとバーサンが気になる
5:剛やミーくんは……まああいつらなら大丈夫だろ
※クロの所持していた武装は全て没収されています

【天の邪鬼@学校の階段】
【状態】健康
【装備】無し
【道具】支給品一式
【思考】
基本:特になし。あるとすれば猫の身体から解放されることくらい
1:俺のような妖怪が他に居たってのか……?
※黒猫(カーヤ)の姿です。
最終更新:2013年05月26日 21:16