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高速道路には、その車以外に一台の通行車も無かった。
ハンドルを握る男に、助手席に乗った男が話しかける。
「もう一度確認しておくが、あんたはこの殺し合いに乗る気は……」
「ああ、全く無い」
話しかけたほうの男はいかにもシェフという感じの白い服装にジャムおじさんみたいな帽子まで被っていた。
さらに手には武器代わりのフライパンが握られている。
「この世界はやがてはわしが支配し、誰もが笑って暮らせる科学の王国を作るために存在している。
殺し合いだかなんだか知らんが、この世界が滅んでしまったら支配することもできないからなあ」
ハンドルを握っている悪の科学者は、アクセルを踏みながら答える。
「それで、あんたには味方のアテがあるんだよな?」
「ああ。わしが昔作ったミュータント連中に久しぶりに顔を見せにいくつもりだ。ミュータントの癖に心優しいし、
バグ技を使うような失敗作だったが、連中と手を組めれば少なくともこの状況を打破する助けくらいにはなる」
「しかし、あんたの話ではそいつらはあんたを憎んでるんだろ?」
「なに、奴らはお人よしさ、こっちと最終目的が同じならば一時的に手を貸すくらいはするだろう。もしダメなら、
土下座でもなんでもしてやるさ。わしはこんなところで死ぬわけにはいかんからな」
運転手は邪悪な笑みを浮かべる。
「それにしても、お前さんが突然車の前に飛び出して来たときにはびっくりしたぞい」
「すまぬ。あのとき私は冷静さを欠いていたのだ。しかし理解して欲しい。我が主君の一大事に命を投げ出せぬものなど臣下ではない」
「大した心意気よ。して、お前さんの主君とはそれほど立派な人物なのかな?」
「とんでもない」
シェフは大声で笑った。
「わがままだし、意地悪いし、頭悪いし、食事に野菜を入れたら投獄されたこともあるし、三食卵ばっかり食ってるメタボ予備軍だし、
君主らしいことをしたところは長い作品史上で一回も無い。でもな、そんなしょうもない主君にでも命を捧げられるような奴じゃなきゃ、
何も守ることなんか出来ないんだ」
「ふん、それには同感じゃよ。ところで一度どこかで休憩しないか?流石に深夜ぶっつつけで走り続けるのは辛かろう」
「そうだな。どこかに安全な場所があればいいのだが……」
その時、運転手は急ブレーキを踏んだ。


「どうした?」
「今、目の前に人が倒れて……」
車が停止する。助手席のコックが前を覗くと、確かに誰かが倒れていた。
「やってしまったか?」
「いや、車が何かにあたった様子は無かった。最初から倒れていたんだろう」
助手席のコックはドアを開けて、倒れている少女のもとに駆け寄った。
「大丈夫だ、息はある」
少女を抱えて戻ってきたコックが運転手に告げる。
「大きな怪我は?」
「見たところ無いな」
「よし、後ろに乗せていこう。もしかしたら、味方になってくれるかもしれない」
「しかしただの子供のようだぞ?」
「味方がいないよりはいいさ。さて、ではどこかのサービスエリアででも腹ごしらえするかの」
こうして車は再び発進する。それぞれ別の思惑を抱えた三人の人間を乗せて。



【一日目・深夜 東名高速道路】
【ドクターモービス@チーターマン】
状態:健康
装備:支給品一式
武器:不明
思考:
1:チーターマンらと手を組み、主催を倒す
2:その後で世界征服

【コック@僕は王さまシリーズ】
状態:健康
装備:支給品一式
武器:フライパン
思考:
1:王さまの命を守る
2:とりあえずモービスに協力するが、王さまの居場所がわかり次第そこに行く

【桂言葉@スクールデイズ】
状態:気絶
装備:支給品一式
武器:不明
思考:不明
最終更新:2007年11月24日 22:25