「もうこうなっては致し方ない。王さまが死んでしまってはわが国はおしまいだ。
かくなる上は……例え悪魔になろうとも、我が主君の命を守るのみ!!」
それは、長い長い逡巡だった。何時間も座して悩んだ挙句、大臣はこの殺し合いに乗ることに決めたのだ。
「私が生き残るためではない。王さまに生きていただくためだ!!
たとえ暗愚であっても、私にとっては何を置いても守るべき主君に違いない……」
一人の人間を救うために、他の人間を全員殺す。そう簡単に出来ることではない。人間の所業ともいえない。
それでも、もう大臣には選択肢は無かった。
そうと決まれば、大臣は早速行動を開始した。
殺し合いに乗ると決めても、大した武器も無い自分ひとりでは無理がある。
ならば誰かを味方につければいい。大臣に支給されたのは「ふっかつそう」といい、死んだ人間を一定期間生き返らせるものだった。
普通、「一緒に人を殺そう」と言われてすぐ協力する人間はいないが、死んだものを生き返らせたとしたら
その恩を感じて手を貸すのではないか?
あるいは、自分に手を貸せば再び死んでもまたふっかつそうを使って生き返らせてやると誘うのもいい。
そんなことを思いながら、大臣はプールにやってきた。
見れば、プールサイドでは何人もの人間が死んでいるではないか。これは願っても無いチャンスだ。
大臣は早速その中で一番使えそうな男の死体にふっかつそうをくわえさせた。
途端に、血の気の失せた顔をしていた男はむせかえるように咳をして、息を吹き返した。
「おはようございます。随分と恐ろしい目に遭ったのですね。でも、私がいればもう大丈夫ですよ。あなたは生き返ったのです。
そこで、恩を売ろうというわけではないのですが、もし私に協力するのなら……」
「うう……ここは……どこだ……」
男はふらふらと立ち上がった。そして、そのままバランスを崩して水音を上げてプールに落ちた。
水面にはしばらく泡が立っていたが、やがてそれも消えた。男は二度と上がってこなかった。
「…………」
【深夜/東京都の某プール】
【大臣@僕は王さま】
状態:健康
装備:支給品一式
所持品:ふっかつそう@ポケットモンスター
思考:
1:王様を生かすため、他の参加者を殺す
2:死人を生き返らせ、仲間にする
【タケシ@ポケットモンスター 死亡確認】
死因:溺死
最終更新:2007年11月24日 22:41