どこをどう逃げたのかもわからない。気がつけばすっかり息が上がっていた。
「ったく、リアルで誤解フラグなんて冗談じゃねえぞ」
今までカオス2や書き手ロワで自分(と、いうより自分のトリを元にした架空のキャラだが)が包囲網に巻き込まれていてもただ笑ってるだけでよかった。
そんな自分が、まさか本当にロワにおいて包囲網に囲まれてしまうのか?
「いや、まだ一人に見られただけだ……それより、せっかく人の首を切る真似までしたんだ。首輪を分析して……」
と、◆6/WWxs9O1s氏は何故か脇に抱えて走ってきた
柊かがみの頭から首輪を取ろうとして……唖然とした。
(く、首輪が無い!? しまった、落とした!!)
あわてて走っていた気がつかなかったんだ。今更引き返して首輪を探すのは危険すぎる。あの男が追ってきているかもしれないのだ。
せっかく危険を冒してまでやったことが、完全な無駄足になってしまった。
おまけに支給品一式すらない。あの場に置いてきてしまったのだ。
「くそっ、ついてないな……となると、もうこの首は持ってても仕方ないよな。俺はらき☆すたではみなみ派だし……」
だが、うかつにこの首をその辺に放置するのは、余計に包囲網フラグを広げるきっかけになりかねない。
かと言って、いつまでも持ち歩いているのもリスクが大きい。それに、服についている返り血だって人に見られたら……
「ったく、一体どうすりゃいいんだよ!!」
大臣は焦っていた。あれから探し回ったが、なかなか手ごろな死体に巡りあえないのだ。
やっと見つけたと思ったら、役に立たなそうなメガネの主婦だったりする。
死体を復活させ、自分の手足として自分の代わりに人を殺させるという大臣の計画は早くも頓挫しかけていた。
そうして、足取りも重くとあるコンビニの前に通りかかった時。
(これは……血の匂いですね)
ようやく見つけた死体の気配。期待に胸を膨らませてコンビニの裏に回った大臣の目の前にいたのは、生きた人間だった。
「え、ちょ、おま」
かがみの頭部をゴミバケツの中にでも隠そうとしていた◆6/WWxs9O1s氏は、大臣に気付いて硬直した。
服には返り血、足元には血のついた電ノコ、手には生首。どう見ても殺人者にしか思えない姿である。
(ま、また誤解フラグか?)
しかし焦る◆6/WWxs9O1s氏を宥めるかのように、大臣は優しく話しかけた。
「これはこれは。見たところあなたもこの殺し合いに乗ったようですね」
「いや、俺は……」
「隠すことはございませんよ。私も同じですから」
「じゃ、じゃああんたはマーダーなのか?」
「マーダー? それが殺人者を意味するのなら、まさにその通りですね」
◆6/WWxs9O1s氏はますます焦躁した。ますますややこしい状況に巻き込まれているような気がする。
「私は大臣とでもお呼びください。あなたは?」
「そうだなあ、昔使ってたトリにちなんで、◆6/WWxs9O1sとでも名乗っておくか」
「見たところ、なかなかの手廉のようですね。今まで何人殺したのですか?」
「いや、まだ一人も殺してな……」
「しかしあなた一人では限界があるでしょう。あなたが優勝狙いか、誰かのために鬼になっているのかは存じませんが、お一人でこの国の者全員を殺すなどとは
とても無理では?」
「いや、だから……」
「そこでです、よろしければ私と手を組みませんか? 今よりとりあえず一時だけ、私とあなたの二人で協力して他の参加者を殺すのです。もちろんその間はお互いに手を出さないと約束して。
いかがです? 私は死んだ者を生き返らせることが出来る道具を持っているんですよ。もしこのお話に応じるなら、それを少しばかりあなたにお分けしましょう」
◆6/WWxs9O1s氏は泣きたくなっていた。
全然自分の話を聞いてくれないし、いつの間にかこの男の中で自分はマーダーだと確定したようだ。
しかし、ここでもしこの男の話に乗らなければ、ここで殺されるかもしれない。
ならばここはあえて、男に乗るふりをするのが得策ではないだろうか。もちろん実際に人を殺したりはしない。
男の死者を生き返らせる道具というのも魅力的な話だった。それがあれば、もしついうっかり誰かを死なせてしまっても生き返らせることが出来る。
それだけで、包囲網フラグをかなり潰せるだろう。
「わかった。その話、悪くない」
この取引は、大臣にとっても大きな賭けだった。
なにしろ、目の前の男は電動ノコギリを持っているがこっちは武器になるものは何も無い。
もし襲い掛かられでもしたらひとたまりも無い。男が異常な殺人者だというのは一目瞭然だった。
少女の首を切るという殺し方には、流石の大臣も胃液が逆流する思いがした。
が、自分はその賭けに勝った。大臣はそう確信すると、満足そうに微笑んだ。
早速持っていたふっかつそうの一割ほどを彼に渡し、「使えなさそうな人間は殺し、利用できそうな死体は生き返らせて使え」と指示した。
生き返らせてくれたという負い目があれば、誰でも言うことを聞くだろうとも教えた。
「把握。じゃあ早速だが標的を探しにいくぜ。あんたも気をつけてな」
男はそういうと、電ノコと生首をぶら下げながら去っていった。
もちろん、最終的には彼もまた殺すつもりである。そのために、次に会うときまでに何か武器を手に入れておかなければ。
「王さま。この大臣、必ず王さまを優勝させて見せますぞ!!」
大臣は知らない。自らが欺かれていることに。
◆6/WWxs9O1s氏には、死んでいる人を生き返らせる意思こそあれ、誰かを殺すつもりなど全く無かったのだ。
しかし、彼の演技は完璧すぎたのだった。
「んっふっふ~。いけませんねえお二人さん。殺人の共同謀議の現行犯ですよ~」
盗聴器を耳に当てながら、大石蔵人はパトカーのアクセルに力を込めた。
彼の支給品は盗聴器。どうやら他の参加者の首輪についている盗聴器が拾う声を任意で拾えるらしいのだ。
もちろん距離的な制約はあるだろうし、どこから聞こえているのかもわからないので実用性は低い。
しかし、今のようにわざわざ名乗ってから会話している場合には話は別だ。
「大臣さんに◆6/WWxs9O1sさんですか。厄介そうな人たちですねえ」
もっとも、今まで聞こえた声は彼らだけではなかった。
優勝するため、愛するもののため、復讐のため、殺人を決意するもの。
人を殺してしまって泣き叫ぶもの。
そして、何人もの断末魔の悲鳴。
「早いとこ、なんとかしないといけないですねえ……」
走り続けるパトカーの中で、大石は低い声で呟いた。
思ったとおり、電車はほぼ無人だった。
本来なら電車が走っているような時間ではないが、駅にあった張り紙によると、バトロワ開催中は無人運転の電車を24時間運行されているということだった。
別にいくあてがあるわけではないが、移動手段に電車を使ったのは理由がある。
早めに自分の包囲網フラグが広がっているかもしれない地域から出たかったということ。
ほかに電車を使って移動しようと考える人間がそれほど多いとは思えなかったので、これ以上包囲網フラグは立たないだろうと判断したこと。
もしマーダーに出会っても、飛行や船よりは逃げ出しやすいということ。
「しっかし、厄介なことになったよなあ」
◆6/WWxs9O1s氏は、がら空きの電車二人がけのシートにかがみの首と並んで座っていた。
上手く立ち回ったつもりだが、なんだかどんどん泥沼に嵌っているような気がするのはなんでだろうか。
しかし、ふっかつそうを手に入れたのは間違いなく得だったはずだ。
「早速だが、使ってみるか?」
今のところ自分には味方がいない。仲間は一人でもいたほうがいいだろうし、上手くすれば彼女の口から自分にかかっている誤解を解いてもらえるかもしれない。
なにより、一緒に行動する人間が誰かいれば、もし自分が死んでもそいつにふっかつそうを使ってもらえれば生き返ることが出来る。
これは魅力だった。
「しかし……首から下が無くても使えるのかなあ?」
ふっかつそうとかがみの生首を見比べて、やや不安になる。
その時だった。車両の後ろのドアが開く音がして、
「だれか、そこにいるのかい?」
と、若い男のものらしい声がした。◆6/WWxs9O1s氏は青ざめる。
(やべえ、首隠さないと……ってどこに? )
男の足音が近づいてくる。◆6/WWxs9O1s氏は身を縮めて息を殺しているしかなかった。
「怖がらなくてもいいよ。僕は殺し合いなんかに参加するつもりは無いんだ」
男の声に、◆6/WWxs9O1s氏は少し聞き覚えがあるような気がした。
「僕は橘敬介。娘たちを探しているんだ」
【深夜/東京都を走る電車の中】
【◆6/WWxs9O1s氏@現実】
[状態]:健康
[武装]:電動ノコギリ
[所持品]:柊かがみの頭部、ふっかつそう@ポケットモンスター×99個
[思考]:
1・とにかく自分だけは生き残る
2・自分から人殺しはしない
3・出来れば主催を倒す
[備考]:大臣の取引には乗ったふりをしていますが、実際に手を貸すつもりはありません。
【大臣@僕は王さま】
状態:健康
装備:支給品一式
所持品:ふっかつそう@ポケットモンスター×999個
思考:
1:王様を生かすため、他の参加者を殺す
2:死人を生き返らせ、仲間にする
【大石蔵人@ひぐらしの鳴くころに】
[状態]:健康
[装備]:パトカー
[道具]:支給品一式、盗聴器
[思考]
1:赤坂らと合流する
2:殺人を未然に食い止める
[備考]:大臣と◆6/WWxs9O1s氏を危険人物だと判断しました。
【橘敬介@AIR】
[状態]:健康
[装備]:不明
[道具]:不明
[思考]
基本:観鈴を探し出して守る
最終更新:2007年11月25日 11:05