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イエーガーというのはドイツ語で狩る者…つまりハンターという意味であり、ジプシー・デンジャーをはじめとした巨大ロボの総称である。
その狩人は対怪獣用の兵器である。
よって、ただの人間など相手にもならないわけで、戦いにすらならないのだ。
だから、騎士と影薄達はズタボロになって地面に這い蹲っている。

「クッ、まさかこれほどやられるなんて…」

鎧の所々にひびが入り、身体も鎧と同じようにボロボロな混沌の騎士が立ち上がろうとする。
横には同じくボロ雑巾と化した日之影が横たわっている。

「全くだ、前回かっこつけたこと言ってたくくせに…こんなんじゃ笑い話にしかならねぇよ……」
「大丈夫っすか皆さん……」
「……」
「……」

桃子が周囲を気遣う。黒子は既にスタミナ切れでうつ伏せになって倒れている。
あかりにいたってはレイプ目状態で倒れており、何の反応も示さなくなっていた。
この絶望的状況が表す通り、これこそがイエーガーと彼らの力の差に他ならない。

「それにしても、圧倒的だな……」
「ええ、私はどれほど無力なんでしょうね…」
「あぁ…」

騎士と影薄達が一瞥する。その先には

各所に火花を上げ、膝をつくジプシー・デンジャー、そして……
刀を持った小野塚小町が鬼気迫る表情でジプシー・デンジャーを見下ろしていた。






イエーガーに乗るベンは焦っていた。
確かに圧倒的だった。このジプシー・デンジャーは。
何でも斬れる程度の「斬鉄剣」を持つ混沌の騎士も、箱庭学園最強《知られざる英雄》の日之影空洞も、
キセキの世代『幻の6人目』黒子テツヤも、鶴賀学園麻雀部の副将『ステルスモモ』東横 桃子も、
……『特徴がないのが特徴』の赤座あかりも、全員圧倒的な性能で蹴散らしてやった。

だが目の前のこの少女は…『三途の水先案内人』小野塚小町は何だ?何故倒せない?
ロケットパンチも、冷却攻撃も、プラズマキャノンも、チェーンソードも当たらない。
いや、当たらない…というよりは届かないのだ。
それだけではない、避けられないのだ。相手の攻撃が。
ジプシー・デンジャーはデカイとはいえ機体の各所にスラスターがついており、機動性はかなり高い。
生身の人間がジプシー・デンジャーの動きに対応できるはずがないのだ。
のにも関わらず小野塚小町の放つ弾幕が、神槍による伸縮自在の攻撃が必ず全て当たる。
まるで必ず当たるというよりは、逃げられないような……。
サイズの差ゆえ一つ一つのダメージは小さいが、それが少しずつ…長時間にわたる戦闘によりいくつも確実に積み重なっている。
その事実がベンの心を揺さぶる。

小野塚小町の能力は『距離を操る程度の能力』である。
これは呼んで字のごとくで、用途は主に三途の河の彼岸までの距離を変えることに使用される。
この殺し合いでも序盤、船が陸地に着かないよう使われていた。
一見地味な能力に思えるのだがそれを戦闘に使うとどうなるか。
つまり距離を操れば相手の攻撃を届かなくさせたり相手を強制的に有効的な間合いに引き寄せられる…。
要するに『間合いを支配する程度の能力』と化す。
こと戦闘、特にタイマンではとても有用的な能力なのだ。
小町が長時間イエーガー相手に孤軍奮闘できたのはこの能力とあやのを殺されたことに対する復讐の業火のおかげに他ならない。
例え仲間が次々に倒れても小町の炎は消えはしなかった。

小町の能力によって引き起こされる不可解な現象にベンは焦りと苛立ちを募らせていた。
それが災いし大振りで拳を繰り出してしまい、小町には能力なしで避けられ大きな隙を晒してしまう。
無論それを見逃す小町ではない。

「さあて、そろそろ切り札を使わせてもらうかねぇ…卍解――『神殺鎗』ッ!!」

斬魄刀『神鎗』の刃がこれまでとは比べ物にならない程瞬く間に伸びていく。
それは79m程のジプシー・デンジャーを越すどころか、天を貫くやもしれない領域まで。

「これどこまで伸びるか分かるかい?13kmらしいよ。眉唾物だけどね」

13kmは流石に大法螺が過ぎるのだが、実際そうなんじゃないかって程の長さに見えるのは確かであった。
そして、その超尸魂界級の刃と化した『神殺鎗』が、ジプシー・デンジャーに向かって振り下ろされ――ジプシー・デンジャーの左腕を切断した。


ジプシー・デンジャーが左腕を失ったのにも関わらずゴゴは冷静だった。
ゴゴはものまね師である。ベンの行動方針や戦闘技術のコピーはもちろん、カオスロワ第4回ではジャイアンの母やYOKOAZUNAの戦闘力すらものにするレベルのものまね師である。
故に麻雀士の桃子に匹敵する洞察力の持ち主なのだ。そんな彼がこれからすることは…

「俺はものまね師ゴゴ。ならばお前の『距離を操る程度の能力』のものまねをしてみよう」

やはりものまねであった。

「射殺せ――『神鎗』ッ!!」

斬魄刀『神鎗』の刃がジプシー・デンジャーの残った右腕に迫る…がその刃が届くことはなかった。

「何…だと…?」

小町は一瞬驚いた顔をした後唇を噛み締める。
この不可解な現象には見覚えがある。いや、ありすぎる。

「まさか、あたいの『距離を操る程度の能力』を……使ったっていうのかい!?」

そう、『距離を操る程度の能力』をゴゴはものまねしたのだ。
コクピットに座るゴゴとベンは「Exactly(そのとおりでございます)」と言いたげに笑みを浮かべる。
後はもうこちらの攻撃と同時に能力を使い、小町との距離を縮めればいいだけ。
それによるゼロ距離のプラズマキャノン…もう避けられまい。
小町を消し飛ばした後はそこでズタボロになっている可哀想な連中にきれいさっぱり止めを刺してしまおう。
歓喜の笑みを浮かべ、プラズマキャノンの砲口を光らせると同時にゴゴは『距離を操る程度の能力』を使用した――

「!!!!?」

二人は目を疑った。能力使用と同時に小町の姿が消えたのだ。プラズマキャノンの光は空しく空を切る。
プラズマキャノンの砲口の前に来るように距離を操作したはずなのだが…二人は動揺を隠せないでいた。

「あたいの能力を真似したのには驚いたさ。でもそれであたいに勝てるほど甘くはないよ」
「ッ!!」
「あたいの能力を手に入れたアンタが嬉々としてとどめに使うだろうと思ってたよ…だから重ねてやったよ。距離を縮める能力をね」

あの女の声が聞こえるが、どこを見渡しても見つからない。
そんな彼らの様子を知っていたか再び声が聞こえる。

「どこ見ているんだい?あたいはここだよ!」

小町はジプシー・デンジャーの頭上に立っていた。
小町は『神槍』の刃先をジプシー・デンジャーの頭部…コクピットに向ける。
ゴゴの距離を縮める能力に小町の能力を重ね、彼女は一気にデンジャーの頭部に移動していたのだ。

「今度こそ決めさせてもらうよ、射殺せ――『神鎗』!!!」

解号と同時にジプシー・デンジャーの頭部は爆発。
コクピットを失い機能停止した狩人はそのまま倒れ伏し、動かなくなった。






ゴゴは爆発に乗じて脱出していた。
ゴゴの行動方針は決まっている、ものまねである。

「俺はものまね師ゴゴ。次のものまね相手を探して真似してみよう」

ベンは先ほどの爆発で死んだだろう…なので次のものまね相手を探す必要がある。
次の標的を探そうとその場を離れようとした時、冷たい声がかけられた。

「逃げられると思ってるのかい?」

ゴゴが冷や汗を垂らしながら振り向くと後ろには先ほどコクピットを貫いた刀とは違う刀、斬鉄剣を持った小野塚小町が立っていた。
斬鉄剣は倒された騎士から託されたものだ。

「こいつぁアンタが殺した峰岸あやのからの贈り物さ。三途の渡し賃代わりにとっておきな」

次の瞬間、ゴゴの首が宙を舞った。

【ゴゴ@ファイナルファンタジーⅥ 死亡確認】

ゴゴを斬首して殺した小町は物音に気づき、振り向く。
すると、猟銃に防弾チョッキと完全武装した猿…ベンがいた。
だが、ベンは小町を見るなり奇声を上げ怯えたような様子を見せる。
カオスロワが始まってから殺戮しか頭になかったベンだったが、先ほどの戦いやゴゴが目の前で殺されたことで本能的に恐怖が頭を支配したのだ。

「なるほどね、アンタもこいつと一緒になって殺しに加担していたってわけだ。
 だったら、コイツみたいに殺される覚悟はできてるんだろうねぇ?話通じるか分からないけど」

ベンは思った。この女は一体何なんだ?
刀の切っ先、自分を見るその視線。全てが命を刈り取るような形をしているようだった。
まるで死神――
お前は一体何なんだと叫びたかった。
そんなベンの気持ちを見通すが如く小町は答える。

「あたいは三途の川の一級案内人、小野塚の小町。地獄の果てまで落ちても覚えておくんだね」

恐怖極まったベンは一目散に逃げる。
もちろん小町は逃がしはしない。『距離を操る程度の能力』を使おうとする、その時。
小町は全身から力が抜けるような感覚を味わい、そのままがっくりと膝をつく。
彼女の能力には実はパロロワ特有の制限がかかっていた。
それに一回使うごとに体力を消耗するという制限。
復讐心に駆られた小町は消耗に全然気づいていなかった。
何度も能力を使うごとに彼女の身体は確実に限界まで衰弱していたのだ。
これはあまりにも本気を出すのが遅すぎた故の結末なのだろうか。
『そう、貴方は遅すぎた』
誰かの声が聞こえたと様な気がしたと同時に小町の視界はだんだんとぼやけ、小町は完全にうつ伏せに倒れる。

(制限…?はは、多分そんなものじゃないだろうね……。
これはきっと…三途の船頭としてのこの能力を、営業外で殺しに使ったことに対するあたいへの罰なんだよ……。
あぁだめだ目の前が見えなくなってきやがった…あたいはこれでもう死ぬんだろうな……。
丁度いい。あの世での無期限休暇でももらうとするかねぇ…四季様も向こうにいるだろうし……)





小町はぴくりとも動かない死体のようになっていた。
その様に桃子とあかりは涙を浮かべる。

「小野塚さん…」
「死んだのか…?」
「そんな…」
「いいえ、まだ生きています。かろうじて…ね」

小町の左胸に耳をあてていた混沌の騎士はそう答える。
が、その表情は暗い。

「ですが、何とかしなければ彼女はそのまま死んでしまう…」
「こうしちゃいられねぇ…何とかして回復させてやらねぇとな」
「騎士様も手伝ってくださいっす!」
「当然です東横さん。彼女はたった一人で巨大な敵と戦ってくれた。そんな彼女を絶対に死なせはしませんよ」

騎士と影薄達はボロボロの身体に鞭を打って小町の身体を担ぐ。
当てのない回復手段、刻一刻と迫る死へのカウントダウン。
彼らの行く末は一体どうなるのか…?

【一日目・18時30/日本・大阪 病院跡地周辺】

【混沌の騎士@カオスロワ】
【状態】ダメージ(大)、記憶喪失(一部復活)
【装備】斬鉄剣@ルパン三世
【道具】支給品一式
【思考】
基本:殺し合いには乗らず、煉獄へ帰る
0:小町を絶対に助ける
1:煉獄へ帰る前にこの世界で何が起きてるのかを知る
2:できれば記憶の詳細を思い出したい
※主催がバラまいた『何か』(ナノマシン)の存在に感づいています
※5期・6期のごく一部の記憶と、自分が煉獄にいたことを思い出しました

【小町と影薄な仲間たち】
【小野塚小町@東方Project】
【状態】瀕死、尻が真っ赤、心身衰弱(極大)、服がボロボロ
【装備】斬魄刀『神鎗』@BLEACH、デスノート@DEATHNOTE
【道具】舟
【思考】
0:………(死んだと思っている)

【黒子テツヤ@黒子のバスケ】
【状態】顔が包帯でミイラ(顔の皮膚喪失)、スタミナ切れ
【装備】なし
【道具】死出の羽衣@ 幽々白書
【思考】
基本:友人たちと生き残る
1:小野塚さんを絶対に助ける

【東横桃子@咲-Saki-】
【状態】ダメージ(中)
【装備】不明
【道具】不明
【思考】
基本:加治木先輩や友人たちと生き残る
1:小町さんを絶対に助ける
2:峰岸さん……

【赤座あかり@ゆるゆり】
【状態】ダメージ(大)、
【装備】なし
【道具】マムルの肉×2@風来のシレン
【思考】
基本:主人公らしく活躍する
1:小町さんを助ける!
2:全然活躍しなかったけどあかり負けないよ

【日之影空洞@めだかボックス】
【状態】ダメージ(大)、右腕欠損(止血済)
【装備】不明
【道具】不明
【思考】
基本:主催者を倒す
0:こまっちゃんを助ける
1:仲間を守る
2:↑の全部やらなくちゃあならないのが先代生徒会長の辛いとこだな。


【死人が出るぞぉ!!】
【ベン@D-LIVE!!】
【状態】健康、恐怖
【装備】防弾ベスト@現実、猟銃@現実
【道具】支給品一式、クレイモア地雷@コマンドー
【思考】
基本:殺戮
1:死神怖い
最終更新:2014年01月09日 23:24