「ほら、ほむらちゃん! もう一回!」
「うっ……く、殺そうとして申し訳なかったわ、桃園ラブ……」
「だーかーらー、駄目だってば転校生! 謝る時はもっとちゃんと謝る! ほら目ぇみて目を!」
「だ、だからさっきから何度も謝っているでしょう!?」
「私なんかのために、誰かを殺してまわろうだなんて、そんなの絶対おかしいよっ! おかしいよっ!
大事なことだから二回でも何回でも言うよ!」
「うぐぅ……わ、私はまどかのために……」
1時間以上に渡り、暁美ほむらは正座の姿勢であった。
彼女の探し人であったまどかと、魔法少女仲間のさやかに何度もダメだしを受けながら。
「ふ、二人ともその辺にしてあげて? その子ちょっと涙目だし……」
「確かに殺されかけたけど……ほら、ワドルディ共々元気だからさ!」
「当人がいいって言ってるし、そろそろいいんじゃないさやか?」
その様子に、三人のプリキュアも思わず苦笑い。
特にほむらに殺されかけたラブは、ほむらへの印象を大きく変えていた。
対峙した時こそその態度に驚いたものの、いまやほむらは別人のようにしょげかえっている。
おそらくこちらが本来の姿なのだろう。あの執念も、大切な友達を思っての行為かと思うと憎めない。
……恐怖心が完全になくなったかと言えば、嘘になるが。
なにしろ彼女の使用武器が武器なだけに。
「ほ、ほらまどか? 本人が水に流してくれて……」
「駄目だよほむらちゃんっ!」
「あの子、普段からあんな感じ?」
「いや、普段はもっとクールというか、愛想がない感じ。ただあのまどかがあそこまで怒ってるからねぇ……
……マミさんがいたら全身縛られてもっと怒られてただろうけど。正義の魔法少女が殺し合いに乗るだなんて言語道断だーってね」
「そうだよ、私達と、あの子と、みんなで殺し合いを止めないと」
「あ、あなた達は考えが甘すぎ「ほむらちゃん?」……
ごめんなさい」
この場にまどかがいたのは大きい。
いなかった場合、再びプリキュアと魔法少女の殺し合いが起きていてもおかしくはない状況だったのだから。
この場の全員が、ある種和やかな空気を作り出してくれたまどかに感謝をしていた。
怒られ続けているほむらさえも。
「ガアアアアアアアアアァァァァァァァァァァ!!!!」
「「!!?」」
そんな空気は一瞬で凍りつき、そして破壊された。
ライブハウスの壁を粉砕し乗り込んできた、巨大な蒼き竜の咆哮によって。
「な、なんなのこいつ!?」
「グルル……」
「ひっ……!?」
「っ! まどかから離れなさい、化け物!」
誰よりも早く、ほむらが竜に対して銃撃をしかける。
「あぐっ……!?」
「転校生!?」
「な、何が起きたの!?」
だがしかし、放たれた弾丸は竜ではなくほむらの身体を貫いた。
あまりに一瞬の出来事に誰もが状況を把握できない。
「こ、氷……いや、鏡の盾!?」
遅れてその原因が竜の生み出した反射装甲・ミラーシールドであると気がついた時にはもう遅い。
既に竜の、氷嵐の支配者の三つ首は必殺の一撃の構えに入っていた。
「ゴオオオォォォォォォ!!!」
「「――――!?」」
全ての生命を拒絶する絶対零度の吹雪が、少女達に放たれる。
その一撃はまさに天災、人間が浴びていい代物ではない。
だが……
「くっ……!」
彼女は、人間ではない。天災級の魔女と幾度となく戦ってきた魔法少女。
盾に魔力を集中し防御力を高め、吹雪を四散させることで、ほむらはその場の全員を守り抜いた。
『ほう、魔力からただの人間ではないと思っていたが、我が洗礼を耐え抜くとはな』
「こ、こいつ直接脳内に……!?」
『やはり、私の声も聞けるか。ならば、話は早い……
この娘、頂くぞ』
「きゃ!?」
「ま、まどかぁ!?」
テレパシーで語りかけるやいなや、支配者はまどかを連れ去り、どこかへと飛び去っていった。
ほむら達も後を追おうとするが、吹雪の威力を完全には殺しきれず、寒さで体の動きも鈍ってしまっている。
「は、はやくまどかを助けないと……!」
「無茶だよ! あんたはあたし達庇ったうえに、銃弾も跳ね返されてるんだよ!? 今回復するからじっとしてて!」
「ぐっ……このままじゃ、まどかが、まどかがぁ……!」
「落ち着きなって! わざわざ攫ったんだ、すぐには殺さないって! あんたとみんなの傷を治したら、すぐに追いかける!
みんなもそれでいいよね!?」
「もちろん! まどかちゃんを、貴方の大切な友達を助けないと!」
「あ、貴方達……」
くしくも、かつて敵対した魔法少女とプリキュアは同じ目的のために、共に行動することとなった。
これもまた、まどかのおかげと言えるのだろう。
【一日目・19時20分/大阪・ライブハウス】
【暁美ほむら@魔法少女まどか☆マギカ】
【状態】ダメージ大(ジェムは無事な為、命には別状なし)、変身中、寒さによる体の痺れ
【装備】ソウルジェム@魔法少女まどか☆マギカ(穢れ35パーセント)
【道具】支給品一式、ベレッタM92(残弾95)、レミントンM870(残弾20)、ミニミM249(残弾50)、M16クレイモア×10、L16 81mm迫撃砲×5、M84 閃光手榴弾×20、88式地対艦誘導弾、長ドス、ゴルフクラブ
【思考】基本:まどかを守る
1:まどかを早く助けたい
2:桃園ラブに僅かに罪悪感
【ケルベロス(小)@カードキャプターさくら】
【状態】健康
【装備】無し
【道具】支給品一式
【思考】基本:桜を探す
1:えらいこっちゃ!
【相田マナ@ドキドキ!プリキュア】
【状態】ダメージ中、変身中
【装備】キュアラビーズ@ドキドキ!プリキュア、ラブリーコミューン@ドキドキ!プリキュア、ラブハートアロー@ドキドキ!プリキュア、シャルル@ドキドキ!プリキュア
【道具】基本支給品一式
【思考】基本:殺し合いを止める。
1:ここにいるみんなと一緒に殺し合いを止める。
2:まどかを助けに行く
※前回のロワとは関係ありません。
【桃園ラブ@フレッシュプリキュア!】
【状態】ダメージ中、変身中
【装備】リンクルン@フレッシュプリキュア!、キュアスティック・ピーチロッド@フレッシュプリキュア!
【道具】基本支給品一式、大量のドーナツ
【思考】
基本:絶対に殺し合いを止めて、みんなが助かる方法を探す。
1:誰かを探しながら、ワドルディを守る。
2:ここにいるみんなと一緒に殺し合いを止める。
3:まどかを助けに行く
4:ほむらはまだ少し怖いが、仲良くしたい
※9期とは関係ありません。
【蒼乃美希@フレッシュプリキュア!】
【状態】ダメージ中、変身中
【装備】リンクルン@フレッシュプリキュア!、キュアスティック・ベリーソード@フレッシュプリキュア!
【道具】基本支給品一式、不明支給品
【思考】基本:殺し合いを止める。
1:ここにいるみんなと一緒に殺し合いを止める。
2:さやかが何だか他人のような気がしない。
3:死んだキュアピースの分も頑張る。
4:まどかを助けに行く
※放送の内容をラブ達から聞きました。
【美樹さやか@魔法少女まどか☆マギカ】
【状態】ダメージ小(自動回復中)、変身中
【装備】ソウルジェム@魔法少女まどか☆マギカ(治癒魔法使用のため、穢れ蓄積中)
【道具】基本支給品一式、不明支給品
【思考】基本:マミさんの為にも、殺し合いを止める。
1:ここにいるみんなと一緒に殺し合いを止める。
2:美希が何だか他人のような気がしない。
3:ほむらを治療後、まどかを助けに行く
※8期、9期とは関係ありません。
※放送の内容をラブ達から聞きましたが、上条恭介の死を知りません。
【ワドルディ@星のカービィ】
【状態】混乱
【装備】なし
【道具】支給品一式、不明支給品
【思考】基本:殺し合いには乗らない。
1:ここにいるみんなと一緒に行動する。
2:みんなの役に立ちたいけど……
※6期とは関係ありません。
※アニメ出展なので、喋る事ができません。
……
『さて、ここならいいか』
「きゃっ!?」
しばらく飛行した後、支配者はどこかに降り立った。
現地の地理に疎いまどかに、ここがどこかなどわかりはしないだろう。
わかったところで、この竜相手に逃げ延びることなど不可能なのだが。
「わ、私をどうするつもりなの……?」
『少女よ、お前は私の声が聞こえるか?』
「は、はい……聞こえます……」
『であろうな。そうでなければ、わざわざ攫わずにあの場で凍結させている』
「ひっ……!?」
支配者の言葉に、まどかは思わず竦みあがった。
あの一瞬の戦闘だけで、ベテラン魔法少女であるほむらがおそらく深手を負ったのだ。
自分如き小娘など、一秒たりとも持ちこたえられないに決まっている。
『少女よ、問おう。……その身から溢れる魔力はなんだ? とても人間の持つ魔力ではない』
「その、キュゥべえにも言われたけど……私なんかが、そんな凄い力をもっているわけが……」
『我が目に狂いは無し。その気になれば、私を消し飛ばすことぐらい容易いであろうに……それに、その魔力の波長は……』
「え?」
目の前の、人智を超えた力を持つ竜の言葉に、思わずまどかは聞き返す。
恐ろしい外見であり、友人達を傷つけた存在なのだが……何故か、不思議と会話を続けてみたくなっていた。
最初に自分を襲ってきた怪物とは違う、蒼き竜はどこか知性を感じさせ、先ほどまで抱えていた恐怖心も薄れてきている。
「魔力の波長……ですか?」
『そうだ。誰しもが様々なものを持っているが、少女よ、お前の……」
「あ、私、鹿目まどかって名前で……」
『……まどかよ、お前の魔力の波長はそう、我が第二の故郷であるグンマーのそれに限りなく近い……』
「え? グンマーって、あのグンマーですか? 世界樹の迷宮とまで呼ばれていて、イャンクックさんとかがいる?」
『そのグンマーだが……妙に詳しいな?』
「その、私が住んでいる見滝原市は、グンマー圏に最も近い市なので……」
『見滝原の者だったか……。あの地域は、とあるグンマーの民が作った特別な場所なのだ』
「そ、そうなんですか!?」
まどかは思わず叫ぶ。
自分の住んでいる見滝原と、グンマーとでは、明らかに方向性が違う為だ。
『その昔、東京などの都会の人間はグンマーの自然の素晴らしさを理解せず、未開の地と馬鹿にし続けていた。
その程度の戯言は放置すれば構わぬが、それを信じ込み、グンマーに面白半分で乗り込む愚者も急増したのが問題だった。
屍を喰らうことはできるが、持ち込まれた機械や科学製品などはグンマーの生物も喰うことはしない。つまりグンマーの環境が穢された。
それに怒った一部のグンマーの民は、あえて森の外に超文明の街を作り上げた。それが見滝原だ』
「どうして、そんなことを?」
『超文明都市を存在させることで、未開の地と蔑ませないためというのも理由の一つだが……
見滝原ほどの科学力をもってしても、グンマーに侵攻するのは不可能であると言うある種の警告の役割もはたしている。時定市なども、同じような理由だ。
ちなみに見滝原に存在する大部分のものはグンマーの術により生み出されたもの故に、地域全体を自然に還しやすい反面、魔力含有量も凄まじい。
その影響から野良生物が吸い寄せられたり、魔の存在も集まりやすい場所でもあるな』
「確かに先生がよく鹿に襲われるって話、聞いたかも……」
『そんな環境下で生活していれば、魔力を持つ人間も生まれやすいのだが、お前の場合は祖先にグンマーの民がいて……何らかの理由で、その力を覚醒させたのだろう』
「そうだったんだ……と、ところで、いくつか質問しても、いいですか……?」
『む、構わないが』
ここでようやく、まどかは一番気になっていることを目の前の竜に尋ねることにした。
話が一段落した今であれば、話の腰を折ったとして殺されることはないだろう。
「貴方は、私とこうしてお話してくれている。でもさっきは、ほむらちゃん達を、私の友達を傷つけた。それは、どうして?」
『決まっているだろう。この殺し合いの状況を利用し、自然を汚す人類をこの世から残らず滅ぼすためだ』
「そ、そんな!?」
『人類は、身勝手だ。己の利益ばかり追い求め、争う。利便性を求めて、どこまでも科学を発展させていく……
科学の全てを否定はしない。時に科学は動物や自然を助けることもあるからな。問題なのは……それの使い方だ。
科学を制御しきれない、扱いきれないにも関わらず、人間はそれでも手を伸ばし……自滅していく。周囲の環境も生物も巻き込みながらな。
残された地は日本のみ。ここの大地の再生が叶わねば、どの道人類には未来はないというのに……』
「そ、それなら、国の偉い人に訴えかけるとか……」
『この殺し合いを開いたのは誰だ? 上層部の人間ほど腐った人間は多い。それに私のこの姿で乗り込んだところで、話の前にまず撃たれるであろうな。
先ほどの火薬臭い少女も、まず撃ってきたな? 私が傷つけたのではない。彼女が私を傷つけようとしたから、私は身を守っただけだ』
「っ!」
言い返すことはできなかった。
人類が環境を壊していることも、いくら状況を説明したところで、野田総理らがそれを聞き入れるわけがないことも、ほむらが先に攻撃をしかけたことも。
全て、竜の言う通りだからだ。
「そ、それじゃあ、どうして私はまだ殺さないんですか……?」
『感じ取った魔力の波長がグンマーに近いものだったからだ。我らは人類を憎むが、グンマーの民など自然を愛し守る者には敬意を表し、また彼らの敵も討つ』
「私は……グンマーの人たちほど、自然に感謝できてないよ……お花の咲く弓矢とかいいなぁとかは思ったりするけど……」
『そこから考えを改めていけばよいのだ。……まあ、本音を言ってしまうとだな、我ら竜や他の魔物にも、色々な感情や好みがある』
「?」
『赤竜の一族は金髪美女の騎士が好きだし、雷竜の一族はああ見えて、熟女の人妻と酒が好物だ。そして我ら氷竜の一族は……』
『桃色の髪の低身長少女をみかけると、つい攫いたくなっちゃうんだ☆』
「えええええええええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!??」
『ああ、安心するがいい。私のモットーはイエスロリータ! ノータッチ! だからな』
「何をどう安心すればいいんですか!?」
知りたくもない、先ほど感じさせた知性とは真逆の性癖を聞かされてしまったまどか。
しかし逆にそれが、彼女の心を揺さぶった。
外見で判断してはいけない、魔物達にも心や思うところがあるのだという事実。
人間と魔物、どちらが正しいのか?
(……人も魔物も、みんなで、仲良く出来たらいいのになぁ……)
【同時刻/日本・大阪のどこか】
【氷嵐の支配者@新・世界樹の迷宮 ミレニアムの少女】
【状態】健康
【装備】無し
【道具】とけないこおり@ポケットモンスター、支給品一式
【思考】基本:自然を汚す人間を滅ぼす。
0:大阪近辺でしばらく暴れる。魔法少女たちが追ってきた場合は迎え撃つ
1:グンマーの民のような人間は殺さない。
2:鹿目まどかの魔力に興味。可能であればこちら側(都庁軍勢)に引き入れたい
3:状況によっては都庁の仲間と合流する
4:誘拐はノータッチに分類
※一定の魔力を有する相手であれば、テレパシーで会話可能
【鹿目まどか@魔法少女まどか☆マギカ】
【状態】健康、混乱
【装備】なし
【道具】支給品一式 その他不明
【思考】基本:とにかく生き残りたい
0:どうしようもないので、氷嵐の支配者に同行する
1:できれば人間が殺されるのを止めたいが、魔物が殺されるのも止めたい
2:魔法少女たちが心配
3:本当に強い魔力があるなら、キュゥべえを探して願いを叶えてもらう……?
※ライブに夢中で放送を全く聞いていませんでした。
※極めて高い魔力を有しているが、現時点では持ち腐れ状態です
最終更新:2014年02月06日 02:34