魂の裁断者が翼たちと交戦していた頃、アイスシザースは別の侵入者と交戦していた。
だがその侵入者の戦い方はアイスシザースを内心苛立たせた。
というのも侵入してきた人間は自分を見るや否や懐からボールのようなものを投げた。
すると、中から全身に殻を纏った魔物が姿を現したのだ。
そして人間が魔物に命令して戦わせてきたのだ。
(絶対に許さん…)
アイスシザースは激怒した。
魔物を従わせて自分の代わりに奴隷の如く戦わせ、自分は安全圏で指示を出すという行為に。
しかもその従わせているモンスターは自分と同じく氷系のモンスターであった。
もう一度言うがアイスシザースは激怒した。必ずやこの卑劣な人間を切り刻んでやると。
が、アイスシザースの思う通りにはいかなかった。
まず素早さはこっちが圧倒的に上なので攻撃はくらわないし攻撃を当てるのも容易い。
だが殻の魔物は防御力が異様に高く自分の鎌による攻撃があまり効かないのだ。
人間の使う様々なアイテムのサポートもあってか言ってしまえばgdgdな泥試合。
本当は人間を先に倒して魔物を人の支配から解き放ってやりたかったが残念なことにそんな余裕はないようだ。
死を持って解放するしかないかもしれない。
(骨竜が未だに来ないのは別の侵入者と戦っているのか?
クソッ…それにしてもデスマンティスの奴はどこ行ったんだ?勝手に行動しやがって)
デスマンティスは自分と同じく蟷螂系統のモンスター。
ここでいうデスマンティスは雑魚敵ではなく世界樹4出身のFOEなので立場は自分と同じくらいだ。
やはり同じく蟷螂系統だけあって交流はそれなりにあったのだ。
三度の飯より殺戮が大好きな困った奴だったが。
…あのスキルだけは強制発動だから仕方ない。
ともかく決定打がない以上援軍が来るまで時間稼ぎしかないだろう。
そのときだった。
「ウオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!!!」
聞き覚えのない咆哮が響き渡る。
咆哮といえば木の下の大王だが明らかにそれとは違うものだ。
自分達の軍ではないようだが殻の魔物を使役している人間とも関係ないようで、人間もこの咆哮に驚いていた。
アイスシザースは上に見ると、夜空の中で一際輝く黄金の光があった。
その黄金の光は電撃のようなものを纏うと…殻の魔物に向かって回転しながら急降下。
その一撃をくらった殻の魔物は大きく吹っ飛び倒れた。
突然の出来事に唖然とするアイスシザース。
「まさか横合いからいきなりくらったとはいえここまでダメージを受けるとはね。
やっぱり気合のタスキを持たせて正解だったよ」
殻の魔物は全身ボロボロになりながらも立ち上がっている。
人間の言う気合のタスキとやらのせいなのだろうか。
殻の魔物は瀕死寸前のようだが何故だかアイスシザースは嫌な予感しかしなかった。
下手をするとここで自分がやられるんじゃないかというような…。
人間は余裕の笑みで殻の魔物に指示を飛ばす。
「よし、パルシェン!からをやぶ…」
が、途中で指示が途切れた。
何故なら殻の魔物…パルシェンは白い刃によってその身を貫かれていたからだ。
白い刃の持ち主はアイスシザースのよく知っているデスマンティスだった。
パルシェンに止めを刺したデスマンティスは殻の中身をバリバリムシャムシャと咀嚼した。
中身を完全に喰ったデスマンティスはパルシェンの残された殻を乱雑に捨てる。
「ひぃっ…!」
パルシェンを倒された人間は逃走を試みる。
が、アイスシザースがそれを逃すはずがなく凍土の大鎌でその命を刈り取ったのだった。
【パルシェン@ポケットモンスター 死亡確認】
死因:仕留めの一刃
【エリートトレーナー♂@ポケットモンスター 死亡確認】
死因:凍土の大鎌
※ここからはモンスター同士の会話なので人間には言葉で聞こえていません
「不味いな…ゲテモノは美味いと相場が決まってるもんだが」
「おい」
「よう、アイスシザース。あぶねぇとこだったな」
「ようじゃないだろこの野郎。今までどこほっつき歩いてたんだ?」
デスマンティスがヘラヘラした態度で話しかける。
その態度に対してアイスシザースは苛立ち半分と心配して損したという感情半分で答える。
「決まってんだろ?外の人間をぶっ殺してたんだよ」
「お前な…使命を忘れたのか?新しい住処を守ることだろうが」
「ほんっとお前頭固いのな。外の人間をぶち殺せばぶち殺すほど外の戦力を減らせる。いわばここを守ることに繋がるだろ?」
「チッ、ああ言えばこう言いやがる。とにかくそこの人間の死体はお前が処理しとけよ。…魔物のほうは殻だけでも手厚く葬っておこう」
「へいへい…丁度口直しもしたいしな。そういや俺新しい仲間を連れてきたんだわ。おい、ラージャン」
アイスシザースはハッとする。
あの時殻の魔物パルシェンを強烈な一撃でノックアウトしたあれは何なのだ?
それに関係するものなのか?
「何だぁ…?」
姿を現したのは人間だった。まず目に付くのは天に向かって獅子の如く逆立つ金色の髪。
いや、人に見えるが何かおかしい。人のものとは思えない屈強な肉体。
それに頭部には鬼のような角が二本生えている。そして千切れたような尻尾もついている。
まるで人と魔物が中途半端に混ざり合ってるようなかんじだ。
「おい、こいつ人間なのか?」
「出身地は違うけど俺らと同じ魔物だぜ。なんだか配られてた擬人化パッチで奴でこうなっちまったらしいんだわ。しかもパッチは外せないときた」
「それで人間
みたいな姿にされたってわけか。可哀想にな」
「俺をこんな姿にしやがって…主催めぇSATSUGAIしてやるぅぅ」
「分かったから気を静めろ、な?ラージャンって言ったな。とりあえずまずは他の奴らに挨拶して回ろうか。仕事の説明もしなきゃならんし」
「はい…」
デスマンティスの単独行動は褒められたものではないが、結果的にはOKだろう。
だがアイスシザースは疑問に思った。
先ほどパルシェンを瀕死寸前まで追い詰めたあの戦闘能力、かなりのものだ。
はっきりと分かる。自分やデスマンティスよりも強いだろう。他のFOE連中でも勝てるかどうか…。
そんな魔物をどうやってデスマンティスは仲間にしたのだろうか?
まぁ、考えても仕方ないだろうとアイスシザースは考えるのをやめて戦力が増えることを素直に喜ぶことにした。
【一日目・20時/日本・東京都庁付近】
【アイスシザース@新・世界樹の迷宮 ミレニアムの少女】
【状態】極小ダメージ
【装備】無し
【道具】ちりとり、支給品一式
【思考】
基本:都庁を住処にしたモンスター達で協力して生き残る
1:デスマンティスと共にラージャンを案内する
2:パルシェンを埋葬する
だがアイスシザースは気づかなかった。後ろでデスマンティスが不気味な笑みを浮かべていることに。
(悪ぃなアイスシザース。そして都庁の皆。俺にとっては世界樹よりクラウザーさんのほうが大事なんだ。
俺はクラウザーさんの歌のおかげで味方も自動的に殺しちまう仕留めの一刃を喜んで奮うことができるようになったんだぜ?
そして上の連中はビッグサイトに信者がほぼ集結したときいつか都庁軍もSATSUGAI対象にすると言っていた…。だから魔物勢である俺とラージャンがその時まで都庁に潜伏しろとな)
それ以上の指示は受けていないが要するに狂信者が本格的に都庁に進撃した時に裏切れということなのだろう。
たった二名でもここぞという時のタイミングでの裏切りは大打撃となりうる。それで勝敗が決してしまうレベルで。
(いいぜぇ、その時になったら俺は元の仲間でさえも笑ってSATSUGAIしてやるよ…。クラウザーさんのためだからな)
白い死神と黄金の暴力は殺意を静かに研ぐ。いずれ来るクラウザーのための聖戦(ジハード)の時まで。
【デスマンティス@世界樹の迷宮4】
【状態】健康
【装備】無し
【道具】支給品一式
【思考】
基本:SATSUGAI
1:しばらくは都庁軍に潜伏
2:パルシェンが不味かったのでエリートトレーナーで口直しする
【ラージャン@モンスターハンター4】
【状態】健康、ギルクエレベル100、擬人化
【装備】擬人化パッチ
【道具】支給品一式
【思考】
基本:SATSUGAIし尽くすだけだぁ!
1:しばらくは都庁軍に潜伏
2:都庁の仕事を覚える
最終更新:2014年02月06日 14:13